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2013年9月 月次レポート(柴田瑞枝 イタリア)

 月次レポート  2013年9月

博士後期課程 柴田 瑞枝
派遣先:ボローニャ大学 (イタリア)

 今月は、まだ半袖で出かけられるくらいの暑い日もあれば、厚手のジャケットが必要なほど気温がぐっと下がる日もあり、天候の変化が目まぐるしいひと月だったように思います。東京に比べると、ボローニャは朝晩でも大分気温差があるので、それに合わせた衣服の調整が難しいです。体調管理には気をつけていたつもりですが、先日軽い風邪を引いてしまいました。幸い、研究にはそれほど影響しませんでしたが、これからますます寒くなるので、気を引き締めなくてはと思っています。
 中旬頃から、まだ数ページではありますが、イタリア語による博士論文「20世紀イタリアにみる女性像―--男性作家による女性一人称作品を中心に―--」(仮題)の執筆に入りました。「女性一人称語りについての考察」と題した第1章では、「女性一人称」というひとつの叙述の様式について概観することを目的としています。男性作家による「女性一人称」という語りの選択が、ある特定の時代や社会において何か意味するところがあるのか(時代精神的な動機が見出せるか)、もしくは、飽くまで一人の作家のごく個人的な文体の選択という蓋然的なものに過ぎないのか、などの諸点について考察するつもりです。現在執筆中の「女性一人称の歴史」と題した第1節では、日本を含む世界の文学において、男性作家によって女性一人称が用いられた例をいくつか取り上げ、その流れの全体像を掴むことを目指しています。先月のレポートでも指摘したように、「男性作家による女性一人称」という叙述形式自体が稀有で、このような語りにスポットを当てた先行研究は多くないので、その歴史を要約するのは容易ではありませんが、それを逆手に取ってオリジナリティのある論文が書ければと考えています。ある程度の量が書けた時点で、知人にネイティヴ・チェックをしてもらい、指導教員の先生方にご意見を伺う予定です。
 30日から大学の講義が始まりました。出席は義務ではありませんが、博士論文のテーマと重なる部分もあり、良い刺激をもらえるので、指導教員のバッゾッキ先生の講義「イタリア近現代文学」へは引き続き通おうと思っています。

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