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2013年8月 月次レポート(水沼修 ポルトガル)

月次レポート(8月)

水沼 修

今月は,大学が夏季休業期間ということもあり,主に自宅や図書館(国立図書館及びリスボン大学文学部付属図書館)で作業を行いました.

 現在は,リスボン大学博士後期課程の中間報告に向けての準備を行っています.これまで,博士論文のテーマである,ポルトガル語の「複合時制の歴史的発展」に関する先行研究の整理を行ってきました.先日,それらをまとめたものを指導教員(Esperança Cardeira先生)に見ていただき,コメントを頂きました.先生にご指摘いただいた点を踏まえ,また,諸研究における記述をより正確に反映させた上で,自分がこれから明らかにしなければならない問題等を明確にさせたいと考えています.

 また,現代ポルトガル語の直説法現在完了に関する研究については,Peres (1996)1, Campos (1984)2, Mateus et al. (2003)3といったポルトガルにおける代表的な諸研究を中心に整理を行ってきましたが,ここのところ比較的最近の研究がブラジルで多く見られるようになっていることもあり,これらを踏まえ,現代ポルトガル語の用法について,より網羅的な記述を行いたいと思います.

 これと並行して,電子コーパスを用いた用例の抽出作業も行っている最中です.今後は,個々の用例を,主に形式(形態・統語論)的観点に基づいて分析していくことになります.特に,複合時制形式の助動詞としての"ter"および"haver"の文法化のプロセスと,これらの動詞の他の形式における文法化のプロセスとの関係に注目しながら,調査を進めていく予定です.

 また,来月には,現在のところ課題となっている,意味論的観点に基づく分析について,意味論がご専門のRui Marques先生と相談を行うことになっています.これに向けた準備もしっかりと行っていきたいと思います.

 当地は,日中40度近くなる日が続いていますが,日本ほど湿気が無いため,エアコンのない自宅においても,今のところ快適に作業を行うことができています.新学期に向けて,引き続き気を引き締めて調査研究を行っていきたいと思います. 

 

1 Peres, João Andrade, "Reconsidering Perfectives in DRT or Being Fair to the Past Participle", Cadernos de Semântica 19, Faculdade de Letras da Universidade de Lisboa.
2 Campos, M. H. C. 1984, "Pretérito perfeito simples/Pretérito perfeito composto: uma oposição aspectual e temporal", Letras Soltas 2, 9-53.
3 Mateus, M.H.M, A.M.Brito, I.Duarte e I.H.Faria, 2003, Gramática da Língua Portuguesa, 5ª edição, Ed, Caminho, Lisboa

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