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2013年6月 月次レポート(説田英香 ドイツ)

6 月レポート
説田英香
派遣先: ドイツ連邦共和国 フライブルク大学

 7月2日をもって、2012年度ITP-EUROPAによる派遣留学は終了となった。最後の派遣月となった6月は、先月に引き続いて史料分析を行うとともに、本派遣期間中の研究成果のまとめと博士論文の構成の見直しを行った。史料分析では、先月に連邦首相官房から送られた、1982-1985年の外国人政策の史料を扱った。綴じられていた史料の大半が、外国人労働者とその家族の主要な送り出し国の一つであった、トルコのEC加盟問題と、トルコのメディアにおけるドイツの外国人労働者および外国人政策についてであった。結果的に、トルコのEC加盟は実現しなかったが、トルコのEC加盟を阻止する事は労働市場政策の観点から、当時の連邦政府にとっては重要な課題の一つとして位置づけられていた事がわかった。これらの史料からは、当初期待していた、1983-1984年に施行された帰国支援政策の結果とその影響についての情報を多く得ることはできなかった。それらについては、次回8/9月に計画しているコブレンツ連邦文書館訪問の際、再度調査する必要があると考えている。しかし、これまでに収集した史料を分析する過程で、連邦政府が民間の研究機関に、帰国支援政策の結果・影響に関する調査を依頼していたことが明らかとなった。それらの調査結果は文書館には所蔵されていないとのことであったため、付属図書館を調べた結果、刊行された一部の調査結果がフライブルク大学とドイツカリタス団体の付属図書館に所蔵されていることがわかった。6月の後半では主に両図書館にてそれらの資料の読み込みを行った。博士論文の執筆も並行して行っていたが、今月はとりわけ、論文の構成の見直しを行った。これまでの構成は論理的ではあったものの、一部の章と節の内容と史料が大幅に欠けており、全体的にアンバランスな状態であった。これまでの研究結果と、この先閲覧が可能な史料の範囲を考慮すると、1983年以降の帰国促進政策の結果と影響に一章分を充てることは、非現実的であると判断した。その代わり、「帰国」と「ローテーション原則」をキーワードに、1960年代の外国人労働者の定住と家族呼び寄せについて、より詳細に扱うことにした。1960年代の外国人労働者雇用政策についての文書史料についてはまだ調査していないが、 比較的まとまった史料が所蔵されており、問題なく史料の閲覧が可能である事が先行研究からもわかっている。6月半ばに行われた論文指導に基づき、8/9月にはコブレンツ文書館での史料収集と分析、そして10月以降からは2014年3月を目標に博士論文をまとめる計画である。

 以上

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