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2013年5月 月次レポート(杉山香織 フランス)

ITP-EUROPA
5月月例レポート

ボルドー第三大学派遣 杉山香織

 5月7日から26日まで日本へ一時帰国をし、本学への博士論文提出に向けた準備を行いました。まず、指導教員の川口裕司先生にお会いし、内容について最終確認を行いました。そして、副指導教員の海野多枝先生にもお会いして 、最終的なコメントを頂きました。根岸雅史先生からも、6月提出について肯定的な意見を頂くことが出来ました。そこで、諸先生方から頂いたコメントを基に、3週間弱の滞在の間ほぼ毎日大学に通い、6月提出に向けた最終的な準備を行いました。そして、6月3日に無事に博士論文を提出することが出来ました。これも偏にITP-EUROPAのご支援のおかげです。どうもありがとうございました。
 博士論文のタイトルは「フランス語学習者の発話における使用語彙分析」です。本論文の目的は、日本人フランス語学習者がフランス語を口頭産出する際に、母語話者の口頭産出と比較してどのような差異が見られるのかについて、使用語彙の観点から考察し、計量的・質的に記述することです。先行研究より、体系的に構築された日本人フランス語学習者話し言葉コーパスは存在しないことが分かったことから、フランス語学習者コーパスの構築から行いました。そしてこのコーパスを使用して、学習者の使用語彙について「語彙の豊かさ」、「特徴語」、「コロケーション」、「N-grams」という4つの観点から計量的そして質的な分析を行い、学習者の特徴の記述をしました。 博士論文は計10章から構成されており、計376ページになりました。博士論文の分析結果については、既にいくつか発表しています。「語彙の豊かさ」については、2つの論文を発表しています1。「特徴語」については、その一部である人称代名詞の特徴的使用について4月に行われた学会で発表しました2。そして、「N-grams」については、昨年12月に行われたJournée IPFC2013で過少使用N-gramsの特徴について発表しました3。また、6月に行われるAFLSという学会で、過少使用語と、過少使用N-gramsの特にディスコースマーカーの過少使用に焦点を当てて発表する予定です。この内容については、来月の月次レポートでまとめたいと思います。

 

 

1"Lexical Profile of French Learner Speech: The Case of Japanese University Students". In Y. Tono. et al. (eds.) Developmental and Crosslinguistic Perspectives in Learner Corpus Research. Series: Tokyo University of Foreign Studies Studies in Linguistics (TUFS SL) 4. Amsterdam: Benjamins. pp. 279-298. (2012年)

 「話しことばにおける語彙の豊かさー言語コーパスに基づく中間言語分析ー」, 『フランス語の諸問題4』, 三修社.  pp.243-256. (2013年)

2« Les différences dans l'utilisation des pronoms personnels entre les débutants japonais du français et les francophones - analyse comparative basée sur les corpus », Le 2ème colloque estudiantin "Que disent les sciences du langage", MSHA, Bordeaux. (2013年4月12日)

3« Comparaison de l'usage des « multi-word units » (unités multimots) entre les apprenants japonais du français et les francophones natifs», Journées IPFC2012, FMSH, Paris. (2012年12月10日)

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