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2013年1月 月次レポート(佐藤貴之 ロシア)

活動報告(1月)

執筆者:佐藤貴之
派遣先:ロシア国立人文大学

 今月は論文の執筆に集中した。以下、詳細。
 まずは、昨年末から取り組んできたモンゴル系ロシア語話者民族であるブリヤート人の歴史、文学に関する拙論「西と東の終焉――ブリヤート文学の答え」(日本語)の加筆・修正作業を行った。年明けに論文を完成することができたため、執筆者の指導教官である沼野教授に提出し、貴重な御指摘の数々を頂戴することができた。これらの御指摘を論文に反映し、2013年6月に開催予定の日本スラヴ人文学会で報告したいと考えている。6月はまだモスクワに派遣期間中ではあるが、インターネット電話を利用して研究報告を行うことが可能である。
 次に、2012年11月に開催されたヒルデスハイム・セミナーで報告した論文「O.シュペングラーと1920年代のソヴィエト文学――『西欧の没落』の受容と解釈」(英語)の加筆・修正作業を行った。
 今回の作業では、新たな文献を多数参照し、論文に広がりをだすことができたと思われる。また、ローレンス大学のM.S.スミス教授(20世紀ロシア文学専門)には執筆者のつたない英語を見ていただくことができた。スミス教授とは2009年にペテルブルグで開催された国際学会で親交を結び、それ以来たびたび御指導を賜っている。スミス教授にはこの場を借りて、深く感謝申し上げたい。
 また今月は、日本のプロレタリア文学を代表する作家、宮本百合子の創作に取り組んだ。宮本は1920年代末のソ連に滞在し、ピリニャークと交流していた。そして宮本は、ピリニャークの影響を受けて創作を行った形跡がある。宮本とピリニャークの比較研究は日本でも徐々に始まっているが、日本文学者からのアプローチが中心となっている。従って、ロシア文学研究の観点から見た宮本とピリニャークの対照研究は有意義なものとなるだろう。このテーマに関しては今後、機会があり次第、研究報告を行いたいと考えている。

以上

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