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2013年12月 月次レポート(柴田瑞枝 イタリア)

月次レポート  2013年12月

博士後期課程 柴田 瑞枝
派遣先:ボローニャ大学 (イタリア)

 今月はボローニャへの派遣期間の最終月にあたりますが、師走という名に相応しく、自宅、大学、郵便局(本などの荷物を日本へ送るため)間を行き来して忙しく過ごしているうちに、あっという間に帰国日がやってきました。
 月初めの数日は、先月に引き続き、イタリア語による博士論文第1章の執筆に費やしました。男性作家による女性一人称作品をいくつか例にとり、分析し、それらの作家や作品における共通点などをまとめたもので、念入りにネイティヴ・チェックをしてもらった後、指導教員のバッゾッキ先生に見て頂きました。先生からは、一カ所、論理の展開に少々強引な点があるので修正するようにという指摘と、もう少しジェンダー・スタディーズの要素を盛り込むとよいのではないかというアドバイスを頂きました。派遣期間は今月をもって終了しますが、私自身は今後も共同学位制度に基づいて博士論文を執筆し、2015年3月の提出を目指す予定なので、帰国後は、博士論文の一節を書き上げる毎に、本学とボローニャ大学の両指導教員にメールで指導を仰ぐことなどを確認しました。
 バッゾッキ先生との面会の後は、博士論文の2章と3章を充てる予定である、アルベルト・モラヴィアの作品La Romana(『ローマの女』、1947年)とLa Ciociara(『チョチャリーアの女』、1957年)の出版当時の書評などを中心に、最終的な資料蒐集に努めました。その際、公立・私立の様々な図書館へ足を運びましたが、どの図書館でも司書の方々が非常に親切に対応し、力になってくれました。なかでも、グラムシ基金の運営する図書館で古い新聞を参照した際、マイクロフィルムに本来あるべき内容とは別のものが記録されているというトラブルがあったのですが、そうしたことにも迅速に対応し、こちらから依頼するまでもなく、数日後には請求していた資料のスキャンをメールで送ってくれるという、嬉しいサービスもありました(あまりの親切さに、「イタリアとは思えない!」とイタリア人の友人とふざけたのもいい思い出です)。どの図書館へ行っても、司書の方々の利用者への対応が極めて丁寧かつ的確で、改めて、ボローニャの文化的なサービス水準の高さを実感した次第です。このような環境で研究ができたことを、大変有り難く思っています。この場を借りて、ボローニャでの滞在を支援してくださった先生方、ならびに事務の方々に、厚くお礼を申し上げます。

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