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2013年11月 月次レポート(水沼修 ポルトガル)

月次レポート(11月)

水沼 修

 先日,リスボン大学でご指導頂いているEsperança Cardeira先生との面談で,博士論文における先行研究のまとめ方について議論を行いました.

 前回までの面談では,関連するすべての先行研究について,時系列順に記述する方向で話し合いが行われてきました.しかし,博士論文のテーマである「ポルトガル語の複合時制の歴史的発展」に関連する先行研究の中には,博士論文で取り上げる一部のテーマのみを扱ったものが多く,それらを時系列順に提示すると,どのテーマに関して,何が明らかになっていて,何が明らかにされていないのか等,全体像がつかみにくいという結論に至りました.

 そこで,はじめに,取り上げるすべての先行研究,及び,ポルトガル語史を扱う文法家の記述等について,それぞれ簡単な紹介を行った上で,問題となるテーマごとに,これまでの研究で明らかにされていることを振り返り,問題点や,本研究で調査すべき内容について述べる,という形をとることになりました.
 
 問題となるテーマは,「過去分詞の性数一致」(特に,当該形式における直接目的語と過去分詞の性数一致がどの時代を境に行われなくなったのかについて),「haverとterの交替」(当該形式におけるhaverとterの交替が行われた時期はいつかについて),「現在完了の意味的発展」(中世語における用法,及び,現代語に至るまでの変遷の経緯について),「haverとterのその他の用法」(特に,所有形式や不定詞を伴う形式について)です.また,「現在完了の意味的発展」については,現代語における用法に関する諸研究も取り上げます.

 また,ロマンス語の枠組みにおけるポルトガル語の特徴を考察する上で,フランス語やスペイン語をはじめとしたロマンス諸語に関する諸研究についても,適宜取り上げます.

 今回の面談では,また,使用するコーパスの問題点について,先生からお話がありました.特に,テキストの校訂の問題や,翻訳の問題等を考慮した上で,コーパス全体のなかで,個々のテキストをどのように評価するのかという点について議論を行いました.その結果,各テキストの性質については,随時確認作業を行っていき,コーパスから抽出したデータの分析が全て終わった段階で,上述の問題を考慮することになりました.

 当地も寒い日が続きますが,次回の面談に向けて,体調に十分注意しつつ,作業を進めていきたいと思います.

 

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