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2013年11月 月次レポート(近藤野里 フランス)

ITP-EUROPA
月次レポート2013年11月

近藤野里(パリ第8大学)

 先月に引き続き、Paul Passyによって19世紀末に書かれた「Le Français Parlé (1889)」における母音の分析を行った。この分析では、主に長母音の分布の様子と、位置の法則に関わる中舌母音の分布の様子について観察を行った。分析の際には、Straka, G. (1981). Sur la formation de la prononciation française d'aujourd'hui, Travaux de linguistique et de littérature, 19, 1, pp. 161-248.およびValdman, A. (1978). The 'loi de position' and the direction of phonological change in the French mid vowel system, In M. Suñer (Réd). Studies in Romance linguistics. Washington, DC: Georgetown University Press. を通読し、参考とすることにした。
 この母音の分析については、東京外国語大学フランス語研究室紀要「ふらんぼー」に11月30日に投稿した。そして、12月5日に行われるJournée PFC (http://www.projet-pfc.net/pfc2013.html)で発表する予定である。11月29日には、日本の指導教員である川口裕司先生の博士ゼミで、原稿を代読してもらう形で学会発表の練習をさせていただいた。この発表で得られたコメントを発表内容に反映し、前述のJournée PFCで発表を行う予定である。
 今月は、パリで行われた日本語コーパスについてのシンポジウムに参加した。特に、3日目のフランス国立図書館での発表は、フランスにおける音声資料の保存についての発表であり大変興味深かった。フランスでは、1911年にArchives de Paroleが設立されて以降、政治家の演説や教養人のフランス語といった音声資料が保存されている。私自身は19世紀末以降のフランス語の発音を研究対象としているため、特に19世紀末の音声資料の保存について専門家に質問ができたことは、大変役に立った。ただし、Paul Passy自身の音声はどこに保存されているのかわからない、という情報を得たことは大変残念であった。
 今月も博士論文で使用するコーパスの1つRené Milleranの文法書のデータ処理を先月に引き続き行っている。来月は特にこのコーパスのデータ処理を終了させることに尽力したいと思う。

 

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