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2013年1月 月次レポート(横田さやか イタリア)

月次レポート 2013年1月 
博士後期課程 横田さやか 
派遣先:イタリア、ボローニャ大学


 2013年は、健康に新年を迎えられたことに感謝しながら、穏やかな年明けを迎えた。これまで長い時間をかけて進めてきた研究が、今年いよいよ博士論文として形になるということを考えると、実感が沸きあがるとともに、感慨深い思いである。一次資料の徹底した調査を課題に留学を開始したのが2009年であり、ちょうどそれはイタリア未来派が初めて「未来派宣言」を発表してから100周年の年だった。そして、博士論文の中心的論題となるダンス作品を創作したバレリーナ、ジャンニーナ・チェンシが生まれたのは1913年のことであり、報告者が研究を完成させる予定の今年は、ちょうどチェンシの生誕100周年にあたる。モダン・バレエの歴史を考えてみても、この年は、バレエ・リュスがストラヴィンスキーの作曲による『春の祭典』を初演した年である。現代音楽史にも舞踊史にも大きな衝撃を与えた、節目の年といえる。そんな些細な偶然も意味のあるものと考えてみると、なんだかいっそう気が引き締まる思いである。
 さて今月は、大学院の講義は予定されておらず、計画通りに博士論文執筆に専念し、充実した時間を過ごした。しかし、毎日時間が経つのがあまりにも早く感じられ、毎晩その日いち日を振り返って執筆に費やした時間と執筆を終えた枚数を比較すると愕然とするばかりで、どうしても焦りが生まれてきてしまう。けれども一方で、イタリア語での執筆作業という点については、これまで失敗やミスを山のように積み重ねてきた経験がようやく活かされてきたのか、以前に比べ書き損じなどが確実に減り、また、頭にイメージする概念や主張、それだけでなく文章のリズムや色みのようなものも、それらと確実に等価のものを書き表せているという手応えも感じるようになった。また執筆の速度も上がってきているように実感する。来月は既に執筆を終えている節について、指導教員に面談指導を仰ぐ予定である。

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