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2012年9月 月次レポート(横田さやか イタリア)

月次レポート 2012年9月 
博士後期課程 横田さやか 
派遣先:イタリア、ボローニャ大学


 今月初めに一時期国し、ITP-EUROPA及び短期派遣ITP-EUROPA2012年度第2回海外派遣報告会において、2011年度一年間の研究報告と2012年度派遣を開始するにあたっての研究計画報告を行った。今回の報告会では、様々な分野と地域で研究を進めている他の派遣者たちの報告から学ぶところが多かった。日頃の研究生活はある意味では孤軍奮闘であり、客観性を失いがちにもなるが、同じITP-EUROPAから派遣されている若手研究者たちがそれぞれの置かれた環境で、それぞれの異国で、しっかりと成果を上げている様子を伺い、強く励まされた。また、指導教員からは、あらかじめご報告してあった博士論文の構成と内容について、とりわけ、報告者の博士論文の強みでもあり、論証の難しい箇所でもある節について、再度ご助言をいただくことができた。
 報告会を終え、16日より2012年度派遣が開始された。ボローニャへ戻り、まだ学生の姿もまばらな図書館に向かい、いつものように研究を再開してみると、博士論文の提出がいよいよ目前に迫っている緊張感とともに、ようやくこれまでの研究の過程をかたちにできるという実感も湧き、改めて気が引き締まる思いだった。
 ボローニャへ戻って早々に、こちらでの指導教員に面談をしていただき、また、舞踊の研究者たちで構成される「舞踊と研究」の集まりにも参加して近況報告などを行った。これらの機会に、研究の進捗状況はもちろん、博論執筆にあたって行き詰まっていた点や、不安に思う点なども話を聞いていただくことができ、精神的にも非常に助けられた。現在、イタリアで舞踊を研究テーマとしている博士課程在籍者の研究グループを作ろうという動きがあり、報告者もその中に入れていただいている。こうした動きの背景には、まず、イタリアでは、国全体を繋ぐ舞踊研究の学会組織がなく、地域性や分野を越えたダンス・スタディーズ全般の繋がりが求められているという事情がある。また、もうひとつには、学術雑誌等の研究成果発表の場が少なく、僅かにある充実した舞踊研究誌も、博士課程の学生への門戸は開かれていないという、報告者にとってもかなり切実な問題もある。イタリア全土の若手研究者による研究会が実現すれば、今後、報告者が研究を発展させていくにあたって、そこから得られるものは非常に多いと期待される。
 ボローニャへ戻ってからの二週間はあっという間に過ぎ、論文の読み直し、推敲作業と、11月に予定されている、ヒルデスハイム大学と本学の共同開催による国際シンポジウムのための準備、そして諸々の手続きなどに追われた。来月からは執筆作業に専念したい。

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