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2012年8月 月次レポート(横田さやか イタリア)

月次レポート 2012年8月 
博士後期課程 横田さやか 
派遣先:イタリア、ボローニャ大学

 今月をもって2011年度の派遣期間が終了する。若手研究者インターナショナル・トレーニング・プログラムのもとボローニャ大学での研究活動は引き続き博士論文執筆終了を目指して継続されるが、一年間の節目として研究の進捗状況を振り返りながらひと月を過ごした。ITP-EUROPA派遣二年目となった今年度もまた、前年度に続きボローニャ大学大学院博士課程映画・音楽・演劇専攻の講義を受講したほか、研究分野に関わりのあるシンポジウムへの参加、企画展巡り、舞台鑑賞等を通して刺激を受けつつ研究を深めることができた。とくに、本学における指導教員とボローニャ大学での指導教員にご指導を仰ぎながら博士論文の構成を練り直し、ボローニャ大学博士課程演劇専攻での博士論文進捗状況報告会にて無事に審査を通過したところで、いよいよ本腰を入れて博士論文執筆作業を開始した。
 今月は、第一章第二節を中心に博士論文の執筆作業をすすめた。この節は、未来派とダンスとのかかわりを考察する章のなかでも、専ら作品分析に充てられ、未来主義者たちがいかに「新しい時代の踊る身体」へ関心を寄せていたかが明らかにされる。従来の研究では、実際に劇場で上演された作品や、その企画案等が考察の対象とされるが、ここでは、そうした舞台美術や舞台衣装の考察に留まらず、ダンスを主題とした絵画や彫刻を例に挙げることで、未来派がダンスという身体の芸術そのものを純粋に研究していた様を浮き彫りにすることが狙いである。
 8月に入るとボローニャの街は人の行き来もまばらになり、学生たちは帰省し、また多くの人はヴァカンスへと出かける。実際、どの図書館もすっかり表情を変え、がらんとしていた。おかげで静かな館内で研究に集中することができた。夏期休業期間中は勉強に集中できる環境を確保することがまず最大の課題になるが、あらかじめ大学図書館と公立図書館の開館情報と、それに加え、空調設備情報を収集して猛暑との戦いに備えた。そして、開館している図書館へ通い、できるだけ家に籠らずに作業を進めるように心がけた。月末には一時帰国し、海外派遣報告会にて報告を行い、2011年度派遣期間を締め括る。報告会後、再びボローニャに戻り2012年度派遣期間が開始される予定である。
 最後になるが、今年度もまた、こちらでの研究活動が安全無事に遂行されるよう支えてくださった先生方とITP-EUROPA関係者のみなさまに、この場をお借りして感謝を申し上げたい。ありがとうございました。

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