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2012年4月 月次レポート(小久保真理江 イタリア)

ITP 4月報告書

小久保真理江

 今月は主に博士論文の第二章第二節の執筆に取り組みました。この節はファシズム政権下のイタリアでアメリカ社会がどのように捉えられていたかを論じる部分です。これまでの研究では「ファシストの反アメリカニズム」対「反ファシストのアメリカニズム」という構図で論じられることの多かったテーマですが、近年には体制側のアメリカニズムの存在に注目し、政治イデオロギー的図式を批判的に再検討した論考も発表されています。 こうした近年の研究成果を参照しながら、パヴェーゼが1930年代のアメリカ社会についてどのように考えていたのか、評論や書簡をもとに、他の知識人の意見と比較しつつ論じました。
 また今月半ばにはボローニャ大学の指導教員に面会し、先月提出した原稿(第三章第二節)についての意見を伺いました。論文全体のなかで最も長く内容的にも複雑な部分であるため、推敲の作業を入念に行ったものの、指導教員には今回多くの修正をいただきました。また、原稿の前半の何箇所かの文章については、説得力や明快さに欠けるとのことで書き直すよう指導を受けました。論の展開や表現の選択について今回受けた批判や助言は、書き直しの作業のみならず今後の執筆作業を進める上でも最大限活かしたいと思います。指導教員とは来月再び面会し、今月提出した原稿(第二章第一節)についての意見を伺う予定です。
 今月末にはイタリアに短期滞在中の東京外国語大学側の指導教員とボローニャで面会し、論文執筆作業や今後の研究活動について貴重な助言と励ましをいただきました。

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