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2012年3月 月次レポート(太田悠介 フランス)

ITP-EUROPA月次報告書(3月)

太田 悠介

 今月は本学の指導教授である西谷修教授にお会いする機会を得ました。大学の年度末を利用して渡仏し、多忙な日々を送られていましたが、その合間に何度か面会することができ、博士論文について俯瞰的な観点からアドバイスをいただくことができました。とりわけ一度はアラン・ブロッサ教授を交え、報告者が提出した論文の具体的なプランに関して検討していただくことができたのは、報告者にとって有意義であったと思います。
 また今月は二本の口頭発表の要旨を準備しました。まず4月末に予定されているパリ国際学生都市の日本館多分野研究会(Centre d'Études Multiculturelles de la Maison du Japon)での発表です。公式の場でのフランス語での口頭発表は昨年以来となるので、万全の状態で臨めるようにするつもりです。次に10月末に東京で開催される社会思想史学会での発表のための要旨です。博士論文の成果の一部を見せられるように、こちらも十分な準備を心がけたいと思います。
 3月は日本の大学の年度末の時期にあたるということで、多くの研究者の方々がパリに滞在し、講義やセミナーを開催されました。報告者もそのうちのいくつかのセミナーに参加しました。ひとつは東京大学の増田一夫教授がパリ第8大学の哲学科で行った連続講義、もうひとつは同大学の吉見俊哉教授がパリ第7大学で行った講義および講演です。後者に関しては西谷教授のパリ滞在と時期が重なったために一度しか聴講することがかないませんでしたが、増田教授の連続講義には出席しました。ヨーロッパの外部における哲学の位置づけ、メルロ=ポンティの他者論、ヒロシマとフクシマという主題が設けられた各回の講義は報告者の関心に近いいくつもの問題提起を含んでおり、この連続講義からは多くの示唆を得ました。増田教授には文献に関する助言などもいただいたので、今後それを生かせるように努力を重ねたいと思います。

 パリ学生都市日本館での発表などの予定があるため来月以降も留学を継続しますが、今月で本年度のITP-EUROPAプログラムの支援のもとでの正式な留学期間を終えることになりました。プログラムのおかげで、昨年度の7月から長期間にわたって安定した留学環境を提供していただきました。最後になりましたが、ITP-EUROPAプログラムの運営に携わっておられる関係者の皆さまに厚くお礼申し上げます。

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