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2012年1月 月次レポート(小久保真理江 イタリア)

ITP 月次報告書 1月

小久保真理江

 今月は先月に引き続き博士論文の第三章第二節の執筆に取り組みました。この節ではパヴェーゼの詩集『働き疲れて』と映画との関連を「イメージ」の概念を手がかりに分析します。今月半ばには執筆を一通り終えましたが、説得力に欠ける部分が数箇所あったため、月後半には関連文献に再び目を通しながら推敲を重ねました。この原稿は現在友人にネイティブチェックを依頼中であり、修正が終わり次第、指導教員に提出し意見を伺う予定です。執筆の過程では、「イメージ」という多義的な概念をどう論じるかという点で特に悩みましたが、研究者の友人にも相談しながら考えを整理することにより、議論を明確化することができました。ITPでボローニャに派遣されている他の研究者を初め、生活や研究に関する問題を気軽に相談できる友人が近くいることを改めてありがたく思います。
 今月半ばにはボローニャ大学の指導教員と面会し、先月提出した原稿について意見を伺いました。この原稿はパヴェーゼとアメリカ文化に関する先行研究を分析した部分で、博士論文の第一章第二節にあたります。全体的な内容には問題がないということでしたが、より具体的で厳密な議論になるよう、いくつか加筆すべき箇所を指摘していただきました。また、今回もイタリア語の文体については、より正確で滑らかな文章になるよう、指導教員から細かな修正をいただきました。友人や指導教員による添削から学ぶことは非常に多く、毎回丁寧に添削していただけることを本当にありがたく思います。一つ一つの修正から学ぶことで、今後もイタリア語の文章表現力をさらに向上させたいと思います。
 月末には、ボローニャ大学で日頃からお世話になっているステファノ・コランジェロ先生による大学院生対象の授業に出席しました。博士課程の授業は毎回異なる先生がそれぞれの専門分野に関するお話をするという形式で行われており、今月末はコランジェロ先生の担当で20世紀のイタリア詩における韻律をテーマとした講義が開かれました。
 20世紀のイタリア詩の多くは自由律の形をとっていますが、コランジェロ先生は、いくつかの詩を例に「自由律」の詩が伝統的な韻律をどのように残しどのように変えているのかを詳細に解説して下さいました。また、そうした緻密で具体的な分析を通して詩の音と内容とのつながりをどのように読み取ることができるのかも示して下さいました。詩の音に注意を傾け詳細に分析することの重要性を再認識させられる授業でした。今後も韻律の知識を深め、詩の音に対する意識を高めて行きたいと思います。また詩に限らず日頃イタリア語で読み書きや会話をする際も、音により一層の意識を向けたいと思います。

 

 

 

 

 

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