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2011年9月 月次レポート(小久保真理江 イタリア)

ITP-EUROPA 9月報告書

小久保真理江

  今月17日からITP-EUROPAの派遣により、ボローニャでの研究活動を再開しました。本プログラムによるボローニャ滞在は今年で二年目に入ります。昨年度に引き続き、ボローニャ大学のニヴァ・ロレンツィーニ先生の指導のもと共同学位の取得を目指して博士論文の執筆に取り組みます。
 昨年度の派遣終了後7月末に一時帰国し、夏休み中は日本で論文執筆を進めました。9月15日東京外国語大学で開かれたITP報告会で昨年度の研究成果と今年度の計画を発表した後、17日にボローニャに戻り、再びこちらで論文の執筆作業を続けています。ボローニャには図書館が数多くあり、いずれも徒歩で通える距離であるため、毎日朝から図書館で執筆を行っています。必要な資料がすぐに手に入るという点や、指導教員に会えるという点ではもちろんのこと、毎日イタリア語を話す生活であるという点でも、論文執筆に大変適した環境であると改めて実感しています。また、大学の図書館で研究者仲間に毎日会うことにより、学問的にも精神的にも非常によい影響を受けています。
 今月末には、一時帰国中から取り組んでいた論文の一部分(第一章の第一節)の執筆を終えることができました。この節は、チェーザレ・パヴェーゼとアメリカとの関係についての伝記的事実を、先行研究や様々な資料をもとに自らの視点でまとめたものです。このテーマについては既に多くの批評家が触れているので、どのように独自性や新しさを出すかということが大きな課題でした。従来の研究ではアメリカ文学の批評・翻訳活動のみが扱われがちであったのに対し、私の論文ではアメリカの映画や音楽との関係についても光を当て、これまであまり引用されてこなかった資料や2000年以降の新しい研究に積極的に言及することにより、従来の記述の繰り返しにならないよう心がけました。この原稿は現在イタリア人の研究仲間にネイティブチェックを依頼しており、校閲が終わり次第、指導教員にも読んでいただく予定です。また、この節の執筆終了後は博士論文の構成を再び見直し、時間的制約に合わせたより現実的な執筆計画となるよういくつかの変更を加えました。
 ボローニャの指導教員とは今月電子メールで連絡を取り合い、10月5日に面会の約束をいただきました。面会の際には、8月中に日本から電子メールで送った原稿(博士論文の第三章第一節にあたる部分)についてコメントをいただく他、今後の執筆計画や構成の変更についても意見を仰ぐ予定です。


 

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