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2011年6月 月次レポート(小久保真理江 イタリア)

ITP月次報告書6月
                                              小久保真理江

 今月はチェーザレ・パヴェーゼの詩に関する章の書き直しに集中的に取り組みました。この章については先月ボローニャ大学の指導教員から書き直しが必要であるという指導を受けており、その際指摘いただいたいくつかの大きな問題点を改善することが今月の課題でした。まずは、 作品分析が不十分であるという点を解決するため、パヴェーゼの詩集を注意深く読み直し新たな分析を加えました。さらに、先行研究・関連資料の引用や注の不十分さを解決するため、重要参考資料を見直し、新たに引用・言及すべき箇所を選択しました。そして、論の明確さ、説得性、緻密さなどの点に注意しながら議論構成を再考した結果、章内の構成を大幅に変え、新たなアイディアも取り入れることとなりました。書き直しの作業には想定していた以上の時間がかかっていますが、遅くとも来月半ばにはこの作業を終えボローニャ大学の先生方に原稿を見ていただくことを目標に作業を進めています。
 大学院では今月7日に博士課程の期末報告会があり、そのための報告書も作成しました。イタリア研究科の期末報告会は、院生があらかじめ提出した報告書をもとに教授たちが話し合い院生に助言を与えるという形で行わるため、研究内容について指導教員以外の教授の意見を聞く貴重な機会でもあります。今回はイタリア近現代文学を専門とするバゾッキ先生から、現在執筆中の章で言及すべき文献について非常に有益な助言をいただきました。また、イタリア研究科博士課程のコーディネーターを務めるヴェッキ先生からは、 論文執筆のペースを早めるようにとの助言をいただきました。 議論の緻密さをおろそかにすることなく、かつ執筆のペースを早めるというのが目下の大きな課題です。関連資料を読むことに時間をかけすぎないよう、計画的に執筆に取り組んで行きたいと思います。
 論文執筆の忙しさのため、大学や町中で開かれるイベントに参加することが少なくなっているのですが、今月は友人の研究書 (  "La retorica dei sensi spirituali in Angela da Foligno" )の出版記念会に出席しました。 イタリア研究科の博士課程を約二年前に修了した友人が、博士論文を加筆修整して出版した本であり、こうした友人の姿を見ることは喜ばしく刺激的な体験でした。ボローニャ大学の若手研究者の友人たちからは、それぞれの研究分野に関する学問的な刺激のみならず、博士論文の執筆についても経験に基づいた助言と励ましを受けており、留学中に彼らのような若手研究者と出会えたことを大変ありがたく思います。

 

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