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2011年12月 月次レポート(佐藤 貴之 ロシア)

活動報告書(12月)

佐藤貴之
派遣先:ロシア国立人文大学

 今月は博士論文を提出するための前提条件として必要となる哲学試験対策の講義がスタートした。哲学というと古典哲学を想起してしまうが、これは「科学哲学」という科目で、学術研究の方法論とも言い換えられるだろう。この講義では20世紀前半にオーストリアで興ったウィーン学団が唱えた論理実証主義の概念や形成過程をはじめ、ウィーン学団が事実上解体した30年代以後の発展過程を学んでいる。これまで主にモーリツ・シュリック、ハンス・ハーン、といった学者らが主導した学術方法論の概論を学んできた。要約すると、いかにして学問研究は経験主義から脱して、実証的な枠組みの中で展開していくかということになるが、科学哲学の研究者のみならず、広く人文系研究に共通した問題ともいえるため、興味深く毎回受講している。この科目は来年の夏まで開講され、最終的には口述試験を受けることとなる。
 また、来年の2月にエストニアのターリン大学付属スラヴ言語文化研究所で開催される第13回若手人文学者国際会議Международная Конференция Молодых Филологовで報告する論文のテーゼを実行委員会に提出、その後、事前審査通過の連絡を受けた。先月の報告でも言及したが、今回の報告ではピリニャークとプラトーノフの創作関係に関して考察を加える。ターリンへの出発は2月15日、会議自体は16日から2日間開催される。会議自体の詳細プログラムはまだ受け取っていないが、言語研究と文学研究の二セクションに分かれており、共通言語は英語、ロシア語、エストニア語となっている。現在は報告原稿の脱稿をめざし、作業に勤しんでいる。

以上

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