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2010年4月 月次レポート(石田聖子 イタリア)

月次レポート
                             (2010年4月、博士後期課程 石田聖子)(派遣先:ボローニャ大学 [イタリア])

 今月は、中旬に、私用のために得た一時帰国の機会を利用して今後必要となる在宅資料等を入手してきた以外は、先月に引き続き、博士課程在籍者のためのゼミや各種シンポジウムに出席しながら、自身の論文執筆作業に集中してあたった。今月は、イースター、及び、所蔵資料整理期間のために図書館の利用が著しく制限されたことから、作業は、専ら自宅で行うこととなった。経済的な理由をはじめとした様々な理由から、イタリアの学生のあいだでは共同でアパートを借りることが一般的であるために、当初、ひとり暮らしを選択することには若干の迷いもあったが、落ち着いて研究できる環境を自宅に整えておいたことは有意義な判断であったことをここにきて再確認した。
 今月中に行った作業の具体的な内容としては、まず、先月より執筆を続けていた博士論文の導入部にあたる笑い理論史の執筆を終え、導入部全体の整合性のチェックを行った。そして現在は、本論執筆に向けての資料精読作業を進めている。導入部では、論文の拠って立つ方法論の提示を行ったことから、本論執筆に向けての足場が整い、展望も開けてきたように思われる。導入部の執筆を終了した時点ではまた、引用・参考文献リストの整理に加え、より具体的な章立て構想と目次の執筆を行い、それら資料をもとに、今後の展開をも視野に含めた指導を派遣先大学指導教員により受けた。以前にも同様の指導を受けたことがあるが、今回は、実際に執筆した論文を前提にしての指導であったことから、指導内容はより実際的なものとなった。また、イタリアの博士論文においては、資料的価値を有する補遺を付すことが通例となっているが、その内容についても、指導教員からの勧めを受けて考慮し、現在、今後の資料収集作業の大まかな計画を立てている。具体的には、対象とする作家の資料館とコンタクトをとり、実際に現地へと赴き、当該作家に関する未公開資料の選定、複製、出版許可申請等の手続きにあたることとなる。
 今月に入ってからは、気持ちの良い天気の日が増えてきたこともあり、とある週末に、息抜きを兼ねて、散歩に出掛けた。自宅のある町の中心部から南へと20分ほど歩いたところに、突如として、町中とは風景が一変し、一面に丘の緑が広がるポイントを見つけた。鳥のさえずりが聞こえ出したかと思えば、時間の流れが突然ゆっくりになる。同じく散策に訪れるひともまばらで、汚染された空気に気を乱されることなく思索するにもってこいの場所がこれほど近くにあるとは思いもよらず、嬉しい発見となった。

 

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