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2010年12月 月次レポート(小久保真理江 イタリア)

月次レポート(12月)
                                                                      小久保真理江

 今月初旬はITP-EUROPA国際セミナーに発表者として参加するための最終的な準備を行いました。まず指導教官、コメンテーター、ディスカッサントにあらかじめ発表原稿を送り、内容に大きな問題がないか確認していただきました。ディスカッサントのコランジェロ先生からは発表原稿のイタリア語についても丁寧な助言をいただきました。その後パワーポイント資料の作成や原稿の推敲、口頭発表の準備を行いました。
  セミナーが開催された12月9日・10日の二日間は、教授や他の大学院生の発表から多くの刺激を受けました。特に9日の午後における三人の教授による基調演説は、異文化接触や異言語接触についてそれぞれの方法で論じていて、非常に勉強になりました。私はイタリアの作家パヴェーゼとアメリカ文化との関係を研究テーマとしているため、今回の基調演説からは今後の研究にも直接的に役立つ重要な知識やアイディアを得ることができました。例えば、アミトラーノ教授が異文化理解について用いた「共感」の概念はパヴェーゼのアメリカ理解について論じる上でも非常に重要なものであると思います。
  10日の午前には大学院生の研究発表が行われ、私も発表者として参加しました。今回の研究発表では、チェーザレ・パヴェーゼの映画評と詩集を分析し、映画とパヴェーゼの詩との関係について論じました。発表の後にはディスカッサントのコランジェロ先生とコメンテーターのアスカリ先生から発表内容について的確で鋭い意見・助言をいただき、非常に勉強になっただけではなく精神的にも励まされました。また、セミナーを見に来た大学院の研究仲間からもらった感想や助言にもとても励まされました。セミナーの後の夕食会ではコメンテーターのアスカリ先生と研究内容などについてより詳しく話し合う機会が持てました。
  セミナー終了後は、博士論文執筆のための研究作業に戻り、今回の研究発表を通して学んだことをどのように博士論文に生かせるかということを検討しました。教授や他の大学院生から勧められた文献・資料にあたるとともに、博士論文の構成を再検討しました。また、4月上旬には別の国際セミナーへの参加を予定しているため、その準備にも取りかかりました。
  イタリアでは教育予算削減を盛り込んだ教育改革法案に対する抗議活動が今月も続きました。22日には大規模な抗議デモが行われましたが、法案は上院で可決されました。私の所属するイタリア文学科の大学院生にとっても予算削減は大きな問題です。今月半ばには、奨学金の削減や、他学科との合併、大学における無償労働などについての情報・意見交換が大学院生の間で行われました。イタリアの大学はそもそも多くの問題を抱えているがこの新しい法案では問題の解決にならぬばかりかより大学を悪化させてしまうというのが共通した意見のようです。ただこうした状況の具体的な改善策については大学院生もそれぞれ異なった意見を持っているようで、話し合いはあまりまとまらずに終わりました。来月冬休み明けには新学年の新しいカリキュラムについて教授たちによる説明会が開かれる予定です。

 

 


 

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