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2012年2月 月次レポート(水沼修 ポルトガル)

ITP-EUROPA月次レポート(2月)

水沼 修

 今月から,新学期(後期)が始まりました。前期では,「統語論」と「コーパス言語学」の二つのゼミに参加しておりましたが,後期は,指導教官が担当する「文献学(Critica Textual)」のゼミのみに参加することになりました。
 同ゼミは,主に言語学を扱う大学院生(修士)に向けて開講されているゼミですが,実際に参加しているのは,ほとんどが本の出版や校訂などを中心に学んでいる学生のようです(なお,私を含めて10名中7名が外国人です。)。
 各回ごとに,テーマ(「校訂本の理想型」,「転写のルール」,「言語学と文献学の関係」,「文学作品と非文学作品のそれぞれの特徴」など)が設定されており,ポルトガル言語学会(Associacao Portuguesa da Linguistica: http://www.apl.org.pt/)の学会誌に掲載されている論文の中から,各テーマに関連する論文3点が選択され,それらを各自が事前に読んできた上で,問題点や気になった点等について議論する形で進められます。学生と先生による議論が中心ではありますが,言語学が専門ではない学生も多いため,ポルトガル語史や歴史言語学に関する講義が行われることもあります。
 このほかにも,ゼミでは,練習として,中世語のテキスト(インキュナブラ)の校訂版の作成することもあります.ファクシミリ版(約1ページ)を見ながら各自で校訂版を作成した後,それぞれを見比べながら確認していく形で進められます。読みにくい文字や,略字の解釈等,参考になる点が非常に多く,また,想定する読者(一般読者,言語学者,歴史学者等)にあわせて,転写の仕方を工夫する必要性など,改めて考えさせられる点も多いです。
 さらに,今後は,中世語の電子化コーパスを利用した言語学的な調査についても,練習を交えながら,ゼミで扱われる予定なのだそうで,しっかりと準備をしつつ,楽しみにしながら待ちたいと思います。
 また,今月は,日本の学会への投稿を目的とした論文の執筆も進めました。今回の論文では,中世ポルトガル語のテキストの中から,13世紀~14世紀に作成されたとされる「Vidas de Santos(聖人伝)」を選び,同作品におけるhaverとterの使用について調査した結果をまとめようと考えております。今回は,自分がこれまで扱ってきた複合時制形式における助動詞としてだけでなく,所有を表す本動詞としてのこれら2つの動詞の使用についても,分析を試みたいと思います。

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