東京外国語大学語学研究所

ウクライナ語(2/4)

基本データ ことばの概説 辞書・学習書 学習機関

ことばの概説

文字と音声

1.文字

2.音声

(1)母音

a, o , u , e, y, i

 ウクライナ語には6つの母音がある。なお、母音の長短によって意味の区別をすることはない。

(2)子音

b, p, m, v, f , d/d', t/t', z/z', s/s', c/c' , dz/dz', , , , d, , l/l', r/r', n/n', j, g, k, x, h

 上の/'/は、/j/や母音の/i/のように舌の中央部を硬口蓋に近づけて発音することを表す。 このような音をウクライナ語では軟音、それ以外の音を硬音といって峻別する。 名詞類の変化型の区別などに役立つからである。

(3)アクセントとイントネーション

 アクセントはストレスアクセントであり、語義の区別に関与する。単語ごとに決まった位置にある。イントネーションはコミュニケーション上で極めて重要な役割を果している。

言語の構造と特徴

1.句内の語順

 修飾語―被修飾語がふつうで被修飾語―修飾語はまれな語順である。
 数量を表す語‐名詞がふつうの語順で、名詞―個数詞の語順は概数を表す。

2.文の構造

 文の基本的な構造は[主部]+[述部]といえる。 ただし、形態上、語と文との区別のない名辞文やまた、非(無)人称文、普遍人称文、不定人称文など主部が現れない文型もある。

文の種類 主部 否定辞 述部 日本語訳
人称文 Я (не) японець.
японка.
(男性の場合)私は日本人です
(ではあ(女性の場合)りません)。
名辞文 Ранок. 朝だ。
非人称文 なし (Не) холодно. 寒い(寒くない)。
普遍人称文 なし   生きている限り学ぶもの(諺)
不定人称文 なし   Розмову продовжують. 話が続けられる。

3.言語の特徴

 母音連続や子音連続を避ける特徴がみられるなど音声的に繊細な言語である。
 名詞が格変化(主格、属格、与格、対格、具格、所格それに呼掛けに用いられる呼格)することと動詞が完了相、不完了相という相(一般言語学的にはアスペクト)で二分され、相が時制(過去時制、現在時制、未来時制)より重要な機能を果すことが特徴である。