アラビア語における数の文法

- 基数詞・序数詞の仕組みと性の問題 -

【 数詞と数えられる対象となる名詞の性 】

「数詞の性」

アラビア語では、数詞の種類と数える対象となる名詞（المعدود）（al-m‘adūd）の性とに従って、用いられる数詞の性が決まります。

数詞の性の問題は、「تمييز العدد」（tamyīz al-‘adad）（＝数の弁別）の用法でも、形容詞的な用法の両方に関わってくるため、アラビア語の数詞について学ぶ際には無視できない難関となります。


１）العدد المفرد [ al-‘adad al-mufrad ] - 数詞１、２ → 同じ性

数詞と数える対象となる名詞（المعدود）（al-m‘adūd）の性は一致します。

通常は、数える対象となる名詞（المعدود）（al-m‘adūd）の後に数詞を持ってくる、形容詞的な用法が使われます。数える対象となる名詞（المعدود）（al-m‘adūd）が男性であれば、数詞はター・マルブータの無い男性形になります。数える対象となる名詞（المعدود）（al-m‘adūd）が女性であれば、数詞はター・マルブータのついた女性形になります。

　

２）العدد المفرد [ al-‘adad al-mufrad ] - １００、１０００ etc. → 同形（男女無関係）

１００とその双数・複数形、１０００とその双数・複数形、１００万およびそれに続く数詞の場合、数える対象となる名詞（المعدود）（al-m‘adūd）の性に関わらず、数詞の形は変化せず一定です。


３）العدد المفرد [ al-‘adad al-mufrad ] - ３〜１０ → 逆の性

数詞３〜１０の場合、数詞の性と、数える対象となる名詞（المعدود）（al-m‘adūd）の性は逆になります。このようなルールを「対性の法則」といいます。


４）العدد المركب [ al-‘adad al-murakkab ] - １１と１２ → 両部を同じ性に

２つの数詞が接続詞を介することなく組み合わさって出来る１１〜１９の場合、１の位の部分と１０の位の部分とは区別され、それぞれが「胸、前部（صدر）」もしくは「النيف（an-nayyif）（１の位の１〜９いずれかを指す）」、「尻、後部（عجز）」もしくは「العقد（al-‘iqd）（１０の位を指す）」と呼ばれます。

１１と１２の場合、前部と後部の両方が、数える対象となる名詞（المعدود）（al-m‘adūd）と一致します。

数える対象となる名詞（المعدود）（al-m‘adūd）が男性であれば、「النيف（an-nayyif）（１の位の１〜９いずれかを指す）」、「العقد（al-‘iqd）（１０の位を指す）」の両方がター・マルブータの無い男性形になります。

数える対象となる名詞（المعدود）（al-m‘adūd）が女性であれば、「النيف（an-nayyif）（１の位の１〜９いずれかを指す）」、「العقد（al-‘iqd）（１０の位を指す）」の両方がター・マルブータのついた女性形になります。


５）العدد المركب [ al-‘adad al-murakkab ] - １３〜１９ → 前部は逆、後部は同じ性

２つの数詞が接続詞を介することなく組み合わさって出来る１１〜１９の場合、１の位の部分と１０の位の部分とは区別され、それぞれが「胸、前部（صدر）」もしくは「النيف（an-nayyif）（１の位の１〜９いずれかを指す）」、「尻、後部（عجز）」もしくは「العقد（al-‘iqd）（１０の位を指す）」と呼ばれます。

１３〜１９の場合、前部の性は数える対象となる名詞（المعدود）（al-m‘adūd）と逆になりますが、後部の性は一致します。

数える対象となる名詞（المعدود）（al-m‘adūd）が男性であれば、「النيف（an-nayyif）（１の位の１〜９いずれかを指す）」がター・マルブータのついた女性形に、「العقد（al-‘iqd）（１０の位を指す）」がター・マルブータの無い男性形になります。

数える対象となる名詞（المعدود）（al-m‘adūd）が女性であれば、「النيف（an-nayyif）（１の位の１〜９いずれかを指す）」がター・マルブータのない男性形に、「العقد（al-‘iqd）（１０の位を指す）」がター・マルブータのついた女性形になります。


３）العدد العقد [ al-‘adad al-‘iqd ] - ２０、３０・・・８０、９０ → 同形（常に男性形）

１０の位を示す、２０、３０、４０、５０、６０、７０、８０、９０は、男性規則複数の形をとります。そのため、数える対象となる名詞（المعدود）（al-m‘adūd）のいかんに関わらず、女性を示すター・マルブータをつけて女性形をつくることが許容されません。

そのため、数える対象となる名詞（المعدود）（al-m‘adūd）が男性であっても女性であっても、同形＝男性形のままとなります。


４）العدد المعطوف [ al-‘adad al-ma‘ṭūf ]

「al-‘adad al-ma‘ṭūf 」とは接続詞ワーウでつなぐことでつくられた数詞という意味で、２１〜９９を表す数詞から、上の３で挙げた１０の位を示す、２０、３０、４０、５０、６０、７０、８０、９０を除いたものを指します。

接続詞ワーウの後に来る「العدد العقد（al-‘adad al-‘iqd）」の部分は、女性を示すター・マルブータをつけて女性形をつくることが許容されないため、常に同形＝男性形のままとなります。

【１の位が１か２】 → 同じ性

１の位が１か２となる「２１、２２、３１、３２、４１、４２・・・９１、９２」では、１の位の部分に来る数詞１/２の性は、数える対象となる名詞（المعدود）（al-m‘adūd）の性と一致します。


【１の位が３〜９】 → 逆の性

１の位が３〜９のいずれかとなる「２３、２４、２５・・・９８、９９」では、１の位の部分に来る数詞１/２の性は、数える対象となる名詞（المعدود）（al-m‘adūd）の性と逆になります。

数える対象となる名詞（المعدود）（al-m‘adūd）が男性だった場合、２３といった数詞の「３」の部分は女性を示すター・マルブータがついた女性形になります。

数える対象となる名詞（المعدود）（al-m‘adūd）が女性だった場合、２３といった数詞の「３」の部分はター・マルブータの無い男性形になります。