アラビア語における数の文法
- 基数詞・序数詞の仕組みと性の問題 -
【 基数詞「1」、「2」 】
数詞の「1」と「2」
数詞の「1」と「2」は、3〜10、100とその双数・複数形、1000とその双数・複数形、100万およびそれに続く数詞とならんで、العدد
المفرد [
al-‘adad al-mufrad
]
と呼ばれています。
しかし、用法は3〜10などの数詞と大きく異なるので、区別をする必要があります。
数詞「1」と「2」の特徴
アラビア語の名詞には、単数形と双数形があります。従って、数詞の1と2に、「تمييز
العدد」(tamyīz al-‘adad)(=数の弁別)という用法を当てはめることは普通しません。というのも、わざわざ「1」や「2」を使わなくとも、数がわかるからです。
【数詞の弁別についてのおさらい】
数える対象となるものが無い限り、「3」や「7」といった数詞がどんなものの数を指しているのかわかりません。アラビア語では、数詞が一体何を指しているのかを明らかにすることを「تمييز」(tamyīz)(=区別、弁別)と言います。
通常アラビア語の文法で「التمييز」(at-tamyīz)と言う場合、重量の内容・種類などを示すために用いられる名詞対格のことを指します。しかし、数の文法で「تمييز
العدد」(tamyīz
al-‘adad)(=数の弁別)と言った場合には、数詞によって数えられる名詞(المعدود)(al-m‘adūd)を、属格もしくは対格にすることによって、数詞の漠然・あいまいさを解消することを指します。
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数詞の「1」と「2」においては、数える対象となる名詞(المعدود)(al-m‘adūd)の後に数詞を持ってくる、形容詞的な用法が通常使われます。どうしても数が「1」もしくは「2」であることを表現したい場合には、この用法を利用します。
数詞の「1」と「2」をアラビア語で書くと
数詞の「1」と「2」はそれぞれ以下のような形となります。
男性形 |
数 |
女性形 |
وَاحِدٌ |
1 |
وَاحِدَةٌ |
اِثْنَانِ / اِثْنَيْنِ |
2 |
اِثْنَتَانِ /
اِثْنَتَيْن |
数詞「2」の格変化は双数名詞と同じで、以下の通りとなります。
対格 |
属格 |
主格 |
「2」の男性形 |
اِثْنَيْنِ |
اِثْنَيْنِ |
اِثْنَانِ |
「2」の女性形 |
اِثْنَتَيْنِ |
اِثْنَتَيْنِ |
اِثْنَتَانِ |
このように双数的な語末変化をする数詞「2」ですが、この語には元になる単数が存在しません。双数だからといって、「اثن」とか「اثنة」といった単数形があるわけではないのです。
数え方
形容詞的な用法なので、数詞と数える対象となる名詞(المعدود)(al-m‘adūd)の性・数・格は一致します。
通常は、数える対象となる名詞(المعدود)(al-m‘adūd)の後に数詞を持ってくる、形容詞的な用法が使われます。数える対象となる名詞(المعدود)(al-m‘adūd)が男性であれば、数詞は男性形になります。数える対象となる名詞(المعدود)(al-m‘adūd)が女性であれば、数詞は女性形になります。
وَاحِدٌ |
= |
كِتَابٌ |
1(冊)の |
本 |
数詞 |
数える対象となる名詞 |
男性・「1」・主格 |
男性・単数・主格 |
وَاحِدَةٌ |
= |
بِنْتٌ |
1(人)の |
少女 |
数詞 |
数える対象となる名詞 |
女性・「1」・主格 |
女性・単数・主格 |
اِثْنَانِ |
= |
كِتَابَانِ |
2(冊)の |
本 |
数詞 |
数える対象となる名詞 |
男性・「2」・主格 |
男性・双数・主格 |
اِثْنَتَانِ |
= |
بِنْتَانِ |
2(人)の |
少女たち |
数詞 |
数える対象となる名詞 |
女性・「2」・主格 |
女性・双数・主格 |
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