アラビア語における数の文法
- 基数詞・序数詞の仕組みと性の問題 -
【 基数詞「11」〜「19」 】
数詞の「11」〜「19」について
数詞の11、12、13、14、15、16、17、18、19は、العدد
المركب [
al-‘adad al-murakkab
] と呼ばれています。
1の位と10の位に来る2つの数詞が接続詞を介することなく組み合わさって出来ることから、このような名称がつけられています。
11〜19の場合、1の位の部分と10の位の部分とは区別され、それぞれが「胸、前部(صدر)」もしくは「النيف(an-nayyif)(1の位の1〜9いずれかを指す)」、「尻、後部(عجز)」もしくは「العقد(al-‘iqd)(10の位を指す)」と呼ばれます。
عَشَرَ
10 |
- 13 - |
ثَلاَثَةَ
3 |
العجز(al-‘ajuz) |
الصدر(aṣ-ṣadr) |
العقد(al-‘iqd) |
النيف(an-nayyif) |
【各部の語末は常にファトハ】
前部「النيف(an-nayyif)」と後部「العقد(al-‘iqd)」の語末母音は、数詞「11」〜「19」が文の中で主格・属格・対格のいずれになっても、ファトハであり続けます。
ただし、「12」の場合は語末が双数的な変化をするため、このファトハ規則からは除外されます。
【後部「10」は常に数えられる対象となる名詞の性に一致】
後部「العقد(al-‘iqd)(10の位、つまり「10」を指す)」の性は、直後に来る数えられる対象となる名詞(المعدود)(al-m‘adūd)と常に一致します。
しかし、前部「النيف(an-nayyif)(1の位の1〜9いずれか」に関しては、「1」もしくは「2」の場合と、「3」〜「9」の場合とで性を一致させるか、逆にするかが異なります。
数詞の「11」と「12」
【数詞の「11」と「12」をアラビア語で書くと】
数詞の「11」と「12」はそれぞれ以下のような形となります。
「11」の前半部分と後半部分は、格にかかわらずいずれも常にファトハのままにします。
男性名詞を数える |
数 |
女性名詞を数える |
أَحَدَ عَشَرَ |
11 |
إِحْدَى عَشْرَةَ |
اِثْنَا عَشَرَ
/ اِثْنَيْ عَشَرَ |
12 |
اِثْنَتَا عَشْرَةَ
/ اِثْنَتَيْ عَشْرَةَ |
数詞「12」のみ、前半部分の語末格変化は双数名詞と同じで、以下の通りとなります。双数同様、母音のかわりに「ا」が主格を、「ي」が属格と対格を示す文字となります。
後半部分は、11〜19までの他の数字と同じく、格にかかわらずいずれも常にファトハのままにします。
対格 |
属格 |
主格 |
男性名詞を数えるときの「12」 |
اِثْنَيْ عَشَرَ |
اِثْنَيْ عَشَرَ |
اِثْنَا عَشَرَ |
女性名詞を数えるときの「12」 |
اِثْنَتَيْ عَشْرَةَ |
اِثْنَتَيْ عَشْرَةَ |
اِثْنَتَا عَشْرَةَ |
【数え方】
数詞「11」〜「19」の場合、数えられる対象となる名詞(المعدود)(al-m‘adūd)は「تمييز
العدد」(tamyīz al-‘adad)(=数の弁別)
」の仕組みによって示され、単数・対格となります。
【数詞の性と数えられる対象となる名詞の性】
「11」と「12」の場合、前部「النيف(an-nayyif)」と後部「العقد(al-‘iqd)」の両方が、数える対象となる名詞(المعدود)(al-m‘adūd)と一致します。
ここで、数詞「10」のルール「数える対象となる名詞が男性名詞なら、「ش」につくのはファトハ(母音「a」)。数える対象となる名詞が女性名詞なら、「ش」につく母音記号はスクーン(無母音)。」が関わってきます。基数詞「10」が単独で来るときの形と混同しないように気をつけてください。
كَوْكَبًا |
/ |
عَشَرَ |
- |
أَحَدَ |
星 |
10 |
1 |
数える対象 |
العقد(al-‘iqd) |
النيف(an-nayyif) |
単数・男性・対格 |
男性 |
男性 |
数える対象となる名詞(المعدود)(al-m‘adūd)が男性であれば、「النيف(an-nayyif)(1の位の1〜9いずれかを指す)」、「العقد(al-‘iqd)(10の位を指す)」の両方がター・マルブータの無い男性形になります。
طَالِبَةً |
/ |
عَشْرَةَ |
- |
إِحْدَى |
女子学生 |
10 |
1 |
数える対象 |
العقد(al-‘iqd) |
النيف(an-nayyif) |
単数・女性・対格 |
女性 |
女性 |
数える対象となる名詞(المعدود)(al-m‘adūd)が女性であれば、「النيف(an-nayyif)(1の位の1〜9いずれかを指す)」、「العقد(al-‘iqd)(10の位を指す)」の両方がター・マルブータのついた女性形になります。
数詞の「13」〜「19」
【数詞の「13」〜「19」をアラビア語で書くと】
数詞の「13」〜「19」はそれぞれ以下のような形となります。
各数詞の前半部分と後半部分は、格にかかわらずいずれも常にファトハのままにします。
男性名詞を数える |
数 |
女性名詞を数える |
ثَلاَثَةَ عَشَرَ |
13 |
ثَلاَثَ عَشْرَةَ |
أَرْبَعَةَ عَشَرَ |
14 |
أَرْبَعَ عَشْرَةَ |
خَمْسَةَ عَشَرَ |
15 |
خَمْسَ عَشْرَةَ |
سِتَّةَ عَشَرَ |
16 |
سِتَّ عَشْرَةَ |
سَبْعَةَ عَشَرَ |
17 |
سَبْعَ عَشْرَةَ |
ثَمَانِيَةَ عَشَرَ |
18 |
ثَمَانِيَ عَشْرَةَ |
تِسْعَةَ عَشَرَ |
19 |
تِسْعَ عَشْرَةَ |
数詞「12」のみ、前半部分の語末格変化は双数名詞と同じで、以下の通りとなります。双数同様、母音のかわりに「ا」(アリフ)が主格を、「ي」(ヤー)が属格と対格を示す文字となります。
後半部分は、11〜19までの他の数字と同じく、格にかかわらずいずれも常にファトハのままにします。
対格 |
属格 |
主格 |
「12」の男性形 |
اِثْنَيْ عَشَرَ |
اِثْنَيْ عَشَرَ |
اِثْنَا عَشَرَ |
「12」の女性形 |
اِثْنَتَيْ عَشْرَةَ |
اِثْنَتَيْ عَشْرَةَ |
اِثْنَتَا عَشْرَةَ |
【数え方】
数詞「11」〜「19」の場合、数えられる対象となる名詞(المعدود)(al-m‘adūd)は「تمييز
العدد」(tamyīz al-‘adad)(=数の弁別)
」の仕組みによって示され、単数・対格となります。
【数詞の性と数えられる対象となる名詞の性】
13〜19の場合、前部の性は数える対象となる名詞(المعدود)(al-m‘adūd)と逆になりますが、後部の性は一致します。
ここで、数詞「10」のルール「数える対象となる名詞が男性名詞なら、「ش」につくのはファトハ(母音「a」)。数える対象となる名詞が女性名詞なら、「ش」につく母音記号はスクーン(無母音)。」が関わってきます。基数詞「10」が単独で来るときの形と混同しないように気をつけてください。
قَلَمًا |
/ |
عَشَرَ |
13 |
ثَلاَثَةَ |
ペン |
10 |
3 |
数える対象 |
العقد(al-‘iqd) |
النيف(an-nayyif) |
単数・男性・対格 |
男性 |
女性 |
数える対象となる名詞(المعدود)(al-m‘adūd)が男性であれば、「النيف(an-nayyif)(1の位の1〜9いずれかを指す)」がター・マルブータのついた女性形に、「العقد(al-‘iqd)(10の位を指す)」がター・マルブータの無い男性形になります。
طَالِبَةً |
/ |
عَشْرَةَ |
13 |
ثَلاَثَ |
女子学生 |
10 |
3 |
数える対象 |
العقد(al-‘iqd) |
النيف(an-nayyif) |
単数・女性・対格 |
女性 |
男性 |
数える対象となる名詞(المعدود)(al-m‘adūd)が女性であれば、「النيف(an-nayyif)(1の位の1〜9いずれかを指す)」がター・マルブータのない男性形に、「العقد(al-‘iqd)(10の位を指す)」がター・マルブータのついた女性形になります。
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