アラビア語における数の文法
- 基数詞・序数詞の仕組みと性の問題 -
【 基数詞「100」・・・「900」 】
数詞の「100」
数詞「100」(mi’ah)は女性名詞です。
対格 |
属格 |
主格 |
「100」 |
مِائَةً |
مِائَةٍ |
مِائَةٌ |
【アラビア語での名称】
数詞「1」〜「10」、「100」およびその双数・複数、「1000」およびその双数・複数などは
العدد المفرد
[ al-‘adad al-mufrad
]
と呼ばれています。
【数詞「100」の語形について】
「مائة
(ミア;100)」という単語に発音とは関係の無い「アリフ(ا)」が書き足されるのは、アラビア文字に弁別点が一切無かった時代に(注:詳細については別のページを参照)、表記上は同じ形をしている別の単語(「منه
(ミンフ;彼/それから) 」など)と区別していたことに由来すると言われています。
単独で書かれる場合、双数形として用いる場合、もしくは3、4、5、6、7、8、9と組み合わせて300、400、500、600、700、800、900という語を形成する場合、この「アリフ(ا)」つき表記が使われます。
しかし、複数形になった場合や、ニスバ形容詞になっている場合には、「アリフ(ا)」無しの表記が用いられます。
ただし、カイロアラビア語アカデミーは、表記の簡易化のため、アリフ無しの数詞「100」の使用を大幅に認めています。
数詞「200」
数詞「200」は数詞「100」の双数形で示されます。双数形なので、格は語末ヌーンの直前に来るアリフかヤーによって表されます。
対格 |
属格 |
主格 |
「200」 |
مِائَتَيْنِ |
مِائَتَيْنِ |
مِائَتَانِ |
数詞「300」・・・「900」
一方、数詞「300」・・・「900」の場合は、「3つの100」・・・「9つの100」という形で示されます。数詞「3」〜「10」によって数えられる名詞は本来「複数・属格」になりますが、数詞「300」・・・「900」をつくる場合は例外的に「100」の部分を単数のままとし、数詞「3」〜「9」の部分とつなげて書きます。
注:ここで、「800」の形に注意してください。
500 |
400 |
300 |
خَمْسُمِائَةٍ |
أَرْبَعُمِائَةٍ |
ثَلاَثُمِائَةٍ |
800 |
700 |
600 |
ثَمَانِمِائَةٍ |
سَبْعُمِائَةٍ |
سِتُّمِائَةٍ |
|
|
900 |
|
|
تِسْعُمِائَةٍ |
【数え方】
数詞「100」・・・「900」の場合、数えられる対象となる名詞(المعدود)(al-m‘adūd)は「تمييز
العدد」(tamyīz al-‘adad)(=数の弁別)
」の仕組みに基づき、単数・属格となります。
この際、「200」の末尾に来るヌーンは脱落します。
【格変化】
「200」
「200」は双数なので、語末ヌーンの前に来る文字によって格を示します。
対格 |
属格 |
主格 |
200人の男子学生 |
مِائَتَيْ
طَالِبٍ |
مِائَتَيْ
طَالِبٍ |
مِائَتَا
طَالِبٍ |
「300」・・・「900」
「数詞+数えられる対象」が文中の位置によって主格・属格・対格になる場合、「300」・・・「900」を形作る数詞「3」〜「9」の末尾部分において、それらの格が示されます。
対格 |
属格 |
主格 |
600人の男子学生 |
سِتَّمِائَةِ
طَالِبٍ |
سِتِّمِائَةِ
طَالِبٍ |
سِتُّمِائَةِ
طَالِبٍ |
【数詞の性と数えられる対象となる名詞の性】
数える対象となる名詞(المعدود)(al-m‘adūd)のいかんにかかわらず、数詞部分の形は変わりません。
كِتَابٍ |
/ |
ثَلاَثُمِائَةِ |
本 |
300 |
数える対象 |
数詞 |
単数・男性・属格 |
(形は変わらない) |
طَالِبَةٍ |
/ |
ثَلاَثُمِائَةِ |
女子学生 |
300 |
数える対象 |
数詞 |
単数・女性・属格 |
(形は変わらない) |
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