ただいま絶賛発売中の『週刊東洋経済』(2022年9月3日号)に、書評を載せていただいている。対象書籍はロバート・スキデルスキー『経済学のどこが問題なのか』である。スキデルスキーといえばケインズ研究の大御所で、ケインズ経済学にそれほど詳しくない当方が書評をするのもどーなんだろうと心配になったが、せっかくお声掛けいただいたので、恐縮しつつもやらせていただくことにしたのだった。
さて、同書を読み準備を進めていた時に、結構重要な部分でヤニス・バルファキスへの言及のあることがわかった。いうまでもなく例の25分de名著のテキスト『父が娘に...』の著者である。スキデルスキーを含めイギリスやヨーロッパの経済学者にとって、2008年の金融危機と連動したギリシャ危機がどれだけ重要な意味を持っていたのか、あらためて実感する。そんなわけで、拙書評にもその論点を盛り込んでみたところ、ご担当T様がこれをくんでくださり、相談と改稿が進む中でその部分をさらに大きくフォーカスしていただいた。ポイントは、バルファキスが財務大臣時代の経験を書いた著書『黒い匣』に明らかである。この本、現実のことながら小説のように(?)めっぽう面白い。2019年に映画化もされたのだが、日本で公開されることはないのかどうか...。観たいなあ...。実名ががんがん出るからヤバすぎるのか?(いや書籍にだって出ているのだから)
校了までのやりとりで、ご担当のTさんはこの仕事を最後にご定年とのことがわかった。最後の仕事に、当方なんぞを選んでくださり、ありがとうございます。じーん この御恩はいつかきっと...(いや、返すのは容易ではない)。