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2017年10月 アーカイブ

2017年10月 6日

監獄テーマの続き

おそろしくご無沙汰いたしました。9月は半分寝込んでおりまして(身体弱くてすみません)、ようやくなんとか復調しましたが、まー、ぼちぼち拙ブログも再開いたします。
さて!そんな中でも9月のまだ寝込んでいなかった前半、『不可視の監獄』のTさんのお誘いで、ベケットと監獄を考えるレクチャー、公演(ゴドー)と展覧会に、ゼミ生その他有志諸氏とともに参加してきた。
そこで問われたのは「なぜベケットの『ゴドーを待ちながら』を監獄で上演すると理解されるのか?」という問いであるが、さらに監獄ばかりでなく、戦場であるいは被災地で、人びとが何かを「待つ」ことの意味を考えるというテーマであった。また社会科学的関心からは、監獄という限定された空間における労働と賃労働の歴史をすり合わせるというK.ポラニー、I.イリイチらの問題提起へと連なる。したがって「世界の監獄化」というテーマは、3年ゼミ生の共通テーマを超えて、なお継続的な関心を呼び起こしているのであった(:局所)。
また昨日は日本におけるPFI(民営化)刑務所の4つのうちのひとつ、喜連川@栃木の見学会に、これまた有志諸氏とともに行ってきた。7月にゼミで訪問した播磨に続く、第二弾である。見学者は、我々7名勢を含め、およそ50名!地元の方々だろうか。年齢層もさまざまな皆様とともに見学や質疑応答をさせていただいた。質疑応答では担当の方からかなり率直な回答をいただけて、労働の問題などについてかなり手がかりを得られた。また帰りのタクシー(バスの本数が少なく駅から遠いので、駅との往復にはほとんどの人がタクシーを用いるのだった)の運転手さんが問わず語りに話してくださった数々の実話(文字通り塀の内と外をめぐるというか...)がキョーレツに面白く、とても印象に残った。
やはりPFIでの経営にはなじまない部分が多い。というか、PFIのために入所者を選別するという発想が矛盾をはらむのだろう。いやー、それにしても日帰りで栃木は遠かった!ただし昼ごはんの宇都宮ギョーザは絶品。参加者のみなさま、お疲れさまでしたー。

2017年10月21日

ソウル行ってきました!

先週12日から14日まで、国際ポラニー会議でソウルに行ってきました!初日の午後に着いたので逃したセッションもあったが、前回の2014年モントリオールでの国際ポラニー会議以来、あるいは2015年のニューヨークでの国際セミナー以来、久しぶりにお目にかかる人びともいて、懐かしく楽しかった。当方の登壇パネルはおもに、日本のポラニー研究者、玉野井芳郎をテーマとしたもので、同氏のご長女かつ地理情報科学の研究者のOさん、科研メンバーのN谷先生とともに、報告をさせていただいた。4人目の報告者はなんと偶然に、昨年当方を静岡(懐かしのシズオカ・アベカワ・オンリー)へ呼んでくださったT先生であった。お客さんもそこそこ来てくださって無事に終了。
ところでソウル市では今や、市当局が社会的連帯経済に取り組んでいて、つまりオルタナティヴな経済が社会運動としてだけでなく、政治的に実現されている。われらのセッションでも、韓国で実践を行う人々から活発な質問やコメントをいただいたが、玉野井思想の実践や静岡での実践について、その勢力を結集させたり政治の変革にもっていったりすることはないのかと問われた。うーん、日本ではなかなか、と歯切れ悪く応えたが...。そもそも今回、会議の開催場所はソウル市庁舎で最終日のクロージング・スピーチはソウル市長によるもの。日本での国際学会ではあまり見ない光景であった。市長はにこやかに、市庁舎はシティ・ホールではなくシティズンズ・ホールなんだと強調されていた。なーるほどー。

それからこの会議の一つの目玉は、御歳96歳になるポラニーのお嬢様カリ・ポラニー・レーヴィットさんがお元気で中心的な役割を果たしていることである。玉野井先生のお嬢様Oさんによる胸をうつご報告とともに、アカデミックな研究交流だけではない貴重な体験であった。

あと、トートバッグがナイス(またかい!)。

ポラニーの顔立ちがこんなポップなデザインになるとは、なんだかウケる...。

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