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かの映像のオリジナルがそこにー

海外出張から帰って時差ボケしていたところへ、いつも情報通なMみんから「チリの闘い」観ましたか?ときかれ、そういえばIゼミのOちゃんからもお勧めいただいていたな!と思い出し、慌てて観に行ってきた。チリでアジェンデが大統領だった時期から1973.9.11のクーデターの頃までを、まさかのリアルタイムで撮ったもので、第一部から第三部まで通すと4時間以上の大作である。
これまでこの事件を扱った映像にしばしばオリジナル映像の挟み込みがあるのを目にした際に、一体だれがどうやって撮っていたのだろうと不思議に思っていたのだが、今回この映像を観てわかった。ここにそのオリジナルがあったのだ!!それは1970年代初頭当時、まだ学位をとって帰国したばかりだったパトリシオ・グスマン監督とその仲間たちが、厳しい状況の中、フランスのクリス・マルケル監督(!レヴェルVの!)らの助けも借りながら、そして同僚の命という犠牲を出してもなお、命懸けで撮り続け、フィルムを守り抜いて世に問いかけた映像だったのである。
かなり精緻な記録であり(カメラワークに撮り手の苦労や工夫が見え隠れする)、チリ社会がアメリカの介入によって真っ二つに分断され、しかし労働者の自負を持つ人びとがアジェンデ大統領を支援しながら闘っていく様子が力強く映し出される。それに対して、いわゆる右派にのった人びとが総じて伏し目がちに、あるいは目をそらしながら、いかに多くのエライ人たちが自分たちの側についているかを似たようなトーンで語るのも象徴的である(「最後は金目でしょ」に乗ったやましさなのか?)。全体の三部構成がうまく作られており、そこからチリが悲惨な時代に入ることを知っていても、観終わった後にはなぜか勇気が湧いてくる。各部、当時すでに世界の様々な映画賞を受賞しているが、まことに貴重な映像で必見。ただし長丁場なので、分けて観るにしてもかなりの体力を要する。やはり、知性も体力ですな。うぬ
あ!渋谷のユーロスペースで一部から三部を一日二巡ずつ。週末にはイベントなどもある様子ですー。

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2016年9月27日 23:37に投稿されたエントリーのページです。

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