そんなわけで(;)2週連続で某市の市民講座をお勤めさせていただき、とりあえず無事に終了したので、残り半日だけでも「休日」らしく、昨日から公開されているトルコ映画『雪の轍』を新宿で観てきた。たしか数週間前ぐらいの新聞だったと思うが、ロシア文学研究の大御所N氏が評していたのを読んで、ぜひ観たいと思っていたものだ。(今日、別の上映館でそのN氏がわが本務校の元学長とトークイベントをやっていたようだ)。映画評にあったとおり、主要登場人物の対話劇が見事で各人物の描き分けもすばらしい。カッパドキアの冬景色は壮大で、観終わった後もしばらく寒かった(え、冷房のせいだって?)。いやー、何とも映画らしい映画を観るのは、美味しいモノをいただく感覚にも近く濃厚である。はうーん、幸福...。
しかし作中、貧しき者が札束を暖炉に投げ込むシーン(ネタバレご容赦)に快哉!と心の中で叫んだ観客は多かったのではないか。(午前中に話した講座のテーマが「貧困」に関わるものだったから、というわけではないだろう)。社会における貧富の問題、おカネをめぐる人間の弱さと強さが見事に描かれている点も、この作品の注目ポイントである。