先の社会思想史学会大会のシンポジウム(科学と思想)では、登壇者のOさんが18世紀フランスにおけるダム建設の話から、公共事業と権力、経済の結びつきを分析していた。ふむふむ、やっぱ治水だなと思いながら、一週間前のW大若手研究者とやっている研究会での課題本のことを思い出していた。
これである。少し前に小平市で住民投票に向けた市民の運動が盛り上がりつつもあと一歩のところで力を削がれたのは記憶に新しいが、こちらは見事、住民投票の力で住民の意に沿わぬ公共事業を止めた快挙の記録。テンポよくまとめてあって読みやすく、とても勇気づけられる。(プロセスの詳細については故・姫野雅義さんの『第十堰日誌』も参考になるし、冒頭のカラー写真が圧巻で、こんな美しい場所だったのかと心を打たれる)
もちろんすべての市民運動がこのやり方でできるわけではないが、逆風の局面ではここに語られるノウハウを使える限り使うことも必要だろう。
ところで、いつぞや拙ブログに書いた「人口減少社会」に関して広井良典『人口減少社会という希望』がめちゃ売れしているようだ。次の一歩を踏み出すための良書のタイトルにこうして「希望」が頻繁に付されるのは、それだけ絶望的な現実ということか。そう思うと気持ちが滅入るが、しかし、読書の秋です。頭と心に栄養を。はうーん(気持ちよきことのたとえ)