ここ数日のすっきりしない天候も、今日はすこし持ち直して、何とか「夏が来た!」感じの週末である。まだまだレポートや試験の採点は残っているが、そろそろ夏休みベースのスケジュールとなり、昨日は金曜午後だったが某N先生の主催する研究会が都内某所で行われた。S先生による「明治日本は開発主義国家だったのだろうか」というテーマのご報告。日本のいわゆる「近代化」の時期、遅れてきた国の「開発」の実態はどのようなものだったか、チャマーズ・ジョンソンの「開発国家」の概念などを手掛かりに、各種データをにらみつつ考えていくという、とても興味深いご報告であった。歴史家や理論家の集うクローズドの研究会で、当方がたぶん一番若手というメンバー構成だが、いつもながらとても勉強になる。しかし報告者のS先生も注目し、聞き手もびっくりしたのは、当時の日本政府が「社会保障」にかけた予算の少なさと、しかもそれがさらに減少して行ったというデータであった。「富国」や「殖産興業」をうたいながら、そして子どもの死亡率が高いのは国際社会にはずかしいと演説する大臣などもいながら、弱者への目配りはまったくなく、とにかく一番貿易に強い国の後追いをする...。今日的日本の源流をみる思いで参加者の先生方全体にため息が漏れた瞬間であった...。