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2012年11月 アーカイブ

2012年11月14日

ブエノスアイレス行ってきました!

まーずいぶんとご無沙汰してしまったが、ずっと流星群を眺めていたわけではなく、10月末の週末には国内の学会があってセッションを組織したりN谷ボスがシンポに出たり506付近の院生諸氏が報告を行ったり(社会思想史学会)、その間に書いた原稿のゲラとゲラが出て校正したりしたりと直前までバタバタしたまま、11月4日から12日までポラニー学会でブエノスアイレスに行ってまいりました!11時間+トランジット6時間(@アトランタ)+10時間という長時間を乗り継いで辿りついたその地は、時差12時間で昼夜逆転、南半球で季節も逆転、もっとも過ごしやすい春から初夏かと思いきや、連日35度Cを記録してまさかの猛暑。照りつける日差し。かと思いきや先週金曜になると突然嵐が来て、強風と豪雨。学会会場の教室はまたたく間に浸水して廊下は川になり、同時通訳(英語とスペイン語)システムの電源が落ちた。別の小さな教室に移って数名が固まって通訳さんのささやき通訳を聞くという超アナログに変化しながらも、学会は気丈に続けられた。しかーし!きわめて実り多い学会でありました。続きはまた次回。(すいません、ちょっと時間切れでして)

2012年11月30日

季節はめぐり、なお

今日は久しぶりに首相官邸前に出かけてみた。出張やらなにやらで何週間かご無沙汰してしまったのだが、人数が減っているというので心配していた。しかし辿りついてみれば国会議事堂前は相変わらずのにぎやかさである。主催団体の本部付近に陣取って、スピーチを聞いたりコールをしたりする。主催者も参加者も手慣れたもので、時節柄ときに微妙なスピーチなどがでてしまっても、次のスピーチをする人がやんわりとたしなめたり、コールの盛り上がりでかき消したりしてくれるので、安心してその場に身をゆだねていられる。いや、しかしもちろん寒いのだ。足を踏み鳴らしたり声を挙げたりしているといくぶん温まってくるが、みんな完全な防寒体制である。
中盤を過ぎたころ、都知事候補さまが登場して参加者がしばしどよめいた。短いスピーチのあと、コール(ちょっと慣れてない感じだったが、みんなで盛り上げた;)もなさってお帰りになるときには、「ケンジ、ケンジ」と黄色い歓声。いや、今度こそまともな都知事に就任してほしい。前回の2011年4月の都知事選では、高円寺のデモの盛り上がりに感激しながら帰宅し、デモの様子が少しは報道されるかなーと期待してテレビをつけたらトンデモな結果が報じられていて愕然としたものだ。
さて、本日もコールは次第に熱して「サイカドーハンタイ」「大飯を止めろ」といつもの盛り上がり。気がつけば絶叫していて、ああ。終わったときには声ががらがらに...。それでも心底すっきりして帰り際、あっ!デモ友Iさんの後ろ姿を発見! ダッシュで追いついて声をかけ、久しぶりの再会をともに喜んだ。きけば他のデモ友たちはデモ中の寒さにやられて体調を崩している人が多いとか。ま、たしかにいくら防寒していても、屋外に1時間も2時間も出ているわけですから...。それでもこうやって一人にでも会えると、「またがんばろう!」と意をあらたにできる。まだまだ長い闘いになるという覚悟は、参加者たちに共通する静かな炎である。

2012年11月23日

ポラニー学会@ブエノスアイレス

うわっ!あっという間にまた10日ほど経ってしまいました。学期中はやはり忙しいですね。忘れないうちに先の出張のことを少し。とりあえずの目的は、ポラニー学会(大会タイトルは「カール・ポラニーとラテンアメリカ)に出席して報告し、ポラニー研究仲間のクラウス・トマスベルガー氏、ミケル・カンジャーニ氏と会って交流を深めることであった。今回は彼らの「ポラニー学会仲間」であり、現地ブエノスアイレスで教鞭をとりつつ移民研究をするマリア・レイヴァ氏がホスト役をつとめてくれて、彼女とも交流を深めた。

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ん、一人多い?いや、向かって左端の人物は、アルゼンチンゆかりの諸人物の眠るレコレータ墓地(ペロン大統領夫人のエビータの墓にはたくさんのお花が供えられていた)を案内してくれたおじさんでした。
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さて、学会のテーマに沿ってアルゼンチンはじめブラジル、パラグアイなど南米各国からの多くの参加者があり、カナダ(ポラニー・インスティチュートの本拠地である)、アメリカ、メキシコ、さらにはヨーロッパ(特にフランス、イタリア、スペイン、ちょっとだけドイツ)からの参加者もあったが、アジア人は当方一人であった。プログラムには台湾からの2名の参加者があったがキャンセルしたようだ。内容的には理論と実践の報告が半々というところで、新自由主義とは異なるオルタナティヴな実践(連帯経済、地域通貨、コモンズや公概念の見直し)について、ポラニーの思想とひきつけて考察したさまざまな報告が、とても興味深かった。当方は「ポラニー思想を再考する」というセッションで、ポラニーのマネジメント主義批判、特にJ.バーナム批判(とちょっとだけドラッカーのこと)を取り上げたシブメの報告を行ったのだが、聴衆のみなさんは俄然ドラッカーに食いつきがよかった。日本の状況を問う質問があったので「もしドラ」の紹介をしたのがインパクトがあったからなのか?! それと日本における社会運動の盛り上がりについて、金曜晩の首相官邸前デモ(特に女性たちがアクティブ)の紹介をしたのだが、これにはお世話校できびきびと働いていた院生諸氏(殊に女性院生たち!)がガッと食いつき、セッション後にスペイン語混じりのたどたどしい英語で「遠い国の状況を知らせてくれてありがとう。心から連隊の意を表したい」と声をかけてくれた。オウ、グラシャス、お互いがんばりましょう!(ジーン、と胸が熱くなる)
折しも大会初日の11月8日(あらお誕生日)晩には大規模な反政府デモがあり、市のシンボルであるオベリスコの周りをおよそ200万人が埋め尽くした。彼ら、彼女らも参加していたのかもしれない(学会からは、危ないので近づかないようにという指示が出た)。ちなみにその頃当方はその日のセッションが終わって20時過ぎから、ホテル付近のレストランでクラウス&ミケルと誕生日祝いのディナーを囲んだのだが(はい、もちろん巨大な(500gが標準?!とわかってからはハーフを恃むことにしましたが)ステーキと赤ワインです)、テレビにデモの映像がうつり、その規模に三人で仰天したのだった。
学会には今年89歳になるというポラニーの娘さんが参加されていた。みんなから「カーリー」と愛称で呼ばれており、元気溌剌、現役感満載のチャーミングなおばあ様で、クラウスやミケルが長年親しくしているため、当方も間近でお話しする機会を何度か得た。本で読んでいただけのポラニーが生身で存在する(いや、その子孫ですが)という驚きの感覚!は言葉に表しにくいが、なんというか心が震えた。カーリーは1982年に一度来日しているそうで、そのときのホスト役であった栗本慎一郎氏のことをなつかしそうに語っておられた。氏の『ブダペスト物語』は当方にとってもなつかしい一冊であり、そんな話題で盛り上がったり、また当方の報告も聴いてくださって、おもしろかったとコメントしていただけた。たださすがにご高齢ではあるため、細かい文字は読めなくなっており、本を読むのは人に読んでもらって耳で理解するという。それでも今回の拙稿が完成したら、ぜったいにお送りしようと思った!

すばらしく実り多い出張であったが、学期の真っ最中に一週間以上不在にしたため、仕事がたまりにたまって、片づけに追われる日々。。。トホホ... そんなわけでようやく遅ればせのご報告申し上げます。

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