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2012年8月 アーカイブ

2012年8月 5日

オリンピックより面白い?

毎日毎日暑いが、ともあれ8月、夏休みである。やや追い詰められた仕事があるのだが(いやなに、原稿と原稿と原稿ですわ)、金曜日は映画の試写会と首相官邸前デモ、昨日は久しぶりにワセダ若手の研究会で楽しい週末であった。映画は下記の「歌えマチグワー」、最近某仕事がらみで知り合いになったN田さんの初監督作品である。

machigwa.jpg

沖縄の栄町市場がシャッター街になりかけて...というテーマの音楽満載映画であるが、山梨を舞台にした「サウダージ」などに比べると圧倒的に明るい!とりわけ「おばあラッパーズ」は必見である。それから、イチバで売られている食物がおいしそうで食べたくなるので、空腹状態で観ると辛いかもしれない(?)。8月25日(土)からイメージフォーラムでレイトショーとのこと。みなさまぜひお運びをー(トークショーなんかもあるらしい)。

音楽映画でノリを得たまま、試写会に一緒に行った若者1名と一緒に首相官邸前へ行ったため、二人はおのずと(?)ノリのいい場所を求めて彷徨い、またもや国会議事堂正面に辿りついてしまった。ファミリースペースでまったりと歌う「ふるさと」(いつも19時になると歌うらしい)も悪くなかったが、なおも飽き足らず道路の反対側のニギヤカな一角へ。ちなみにファミリースペースでは、いかにも「一般庶民がデモに参加するようになりました」という結論ありきの写真を撮ってすぐに去るメディア関係者の存在がうっとうしかった。デモの報道をするようになったのはいいのだが、相変わらずどこか信用できない人々に見えてしまう。さて、賑やかな一角では、人だかりでよく見えなかったが、ノリのいいミュージシャンたちが即興演奏のようなものをやっている。リズムに合わせてしばらく揺れていると、ときどきリズムに変化があり、みんなで「サイカドーハンタイ」(ときには「ジンジアン、テッカイ」とか「ゲンパツ、イラナイ」とか言っている人もいる)を連呼するのだ。20時ちょい前までそこで楽しんで帰路についた。この日も何万人もの人が参加したらしい。もちろん、それだけ市民の意識が高まってきているということなのだが、しかし街に出て声を挙げたり身体を動かしたりし、新しい人々と出会ったりするのは、実は家のテレビでオリンピックを観ているよりおもしろいのかもしれない!

土曜日のワセダの「人種研」は安田浩一『ネットと愛国』(講談社)がテキストであった。ネタ的にどうかな感があったので図書館で借りて済まそうと思ったが、世田谷区の図書館ネットワークの貸し出し希望者の予約30人目と言われてやむなく購入。たしかに3か月弱で5刷というバカ売れぶりである。で、内容もおもしろかった。研究会では、政治学関係、哲学・思想関係のメンバーたちの議論がまた大いに盛り上がった。もちろんわれらが社会の抱えるこの闇の問題は根深いのだがー。 しかしひょっとすると、この本に出てくるデモに集う人々も、きっかけはまったく違うが街頭での発散がオリンピック観戦より面白いという側面があるのでは...という思いが頭をかすめる。それじゃあデモのイデオロギーっていったい... 

2012年8月11日

カタストロフィ・戦争・記憶の識閾

はい、いつもの拙ブログにはちょっとないタイトルですねー。これはI福先生が一年余り前に亡くなられた故・多木浩二さんを追悼し継承するシンポジウムにつけたタイトルなのでした。で、こともあろうに当方が登壇者のひとりになっています。多木さんにはお世話になったので、ありがたいことなのですが、そうそうたるメンバーの中で、完全に浮いている感じです... わははは
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9月28日(金)15:00~ メキシコ大使館別館@永田町にて(予約してねん)。この日ばかりは金曜晩の首相官邸デモ(近くでやってるけど)に行かずに討論に全力を尽くします(当たり前か)。もし多木さんが元気でいらしたら、2011.3.11.の破局(カタストロフィ)をどうとらえたのか、そしてかれの問題提起をどのように引き継ぐのか、「亡命」や「瓦礫」を手掛かりに考える予定ですー。

首相官邸前デモは昨晩も盛況であった。お盆前だから人が少ないといけないと思って行ってみたのだが、同じ思いを持つ人が多かったのかもしれない。例によって国会議事堂正門方面の交差点付近まで誘導される。しばらくすると近くにいた若者3人(男性2人と女性1人)から話しかけられ、しばし和やかに談笑した。夏休みに入ったからであろうか、初めて参加したという。メガホンに興味あるらしかったのでしばらく渡してみると、女性はそれはそれは上手にコールをしたが、男性はそれぞれ一度づつ叫んだ。ま、別に上手でなくたっていいし、ずっと叫ばなくてもいい。沿道に腰かけて、ときどき「サイカドーハンタイ」とつぶやく人々もいる。当方も昨日は一日の仕事疲れで結構ぐったりしていたのだが、終わりごろには参加者たちの元気につられて、なんだか元気になった。昨晩も9万人ほどの人出があったとのこと。

ところで、先週のワセダの研究会から関心を喚起され、またもやまさかのSピオを購入した(電車で近くの人が読んでいて、ちっと面白そうだったのだ)。カヴァーストーリーは先週のテキストの域を出なかったが、このテーマにひきつけてK林某がデモ論を展開しているのが興味深い。特集関連のハナシがちょっと長いが、脱原発デモに関する考えはまたもや至極まっとうである(このテーマで本も出すとか...) 脱原発の公論の必要性、デモだけでない議論の場の必要性を訴えて、実際にかれが主催してシンポジウムも行うという。たしかに当方も、首相官邸前デモの主催者たちが首相と面談するというハナシについて、それだけでは単に意見を言って終わるので、むしろ複数の政治家、市民も巻き込んだ(で、ユースト中継なんかもしっかり行うという)フォーラムのようなものが必要ではないかと考えていたところであった。とはいえ、K林の主催するシンポジウムに行く気には...やはりなれない。

2012年8月13日

元気がでる本

そんな折、ワタリウム美術館で故・多木さんへのオマージュでもある「歴史の天使」展をやっているというので、観に行ってきた。1996年に同じくワタリウム美術館で多木さんが企画に関わった展覧会を、このたび2012年バージョンに構成し直したものである。当時、多木さんが書き下ろした「歴史の天使」論を展覧会の構造の軸とし、ダイアン・アーバス、アウグスト・ザンダー、アレン・ギンズバーグらの写真に、チン↑ポムらも加えて、3.11以後の世界を問いかけている。(チラシはこれ↓)

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とても刺激的で考えさせられる展覧会であったし、何人もの若者が訪れて熱心に観ていた。こうして多木さんのスピリットが受け継がれていく。いい感じである。

ところでカタログを手に入れようとショップに立ち寄ったら、チン↑ポムの著書『芸術実行犯』(朝日出版社)が置いてあった。ワタリウムで開催されたひとつ前の展覧会「ひっくりかえる」展(友人K氏に教えてもらっていたのに見逃した;くううー残念)に合わせて出版されたようである。チン↑ポムはウチのゼミ生諸氏が一度ならず卒論で扱っていたりして、当方にもなんとなく親しみのあるアーティスト集団であるが、これがなかなか興味深い本であった。かれらのフクシマへのコミットメントも共感できる。
またその隣には坂口恭平『独立国家のつくり方』(講談社現代新書)もあった。こちらも先日読んだらとてもおもしろかったので、拙ブログで紹介しようと思っていたところであった。この国の政治に飽き足らないので「独立国家」をつくったという。フィクションではない、著者は総理なのである。んでもって、騒乱罪とかで捕まらないように、それはアートだということになっている。いやー若者諸君!それぞれ、やってますなあ。拠って立つところは芸術と思想。もちろんそのビジョンは日本サイズにとどまらない。これはすごく元気、出ますわ。

2012年8月19日

ディア・ヒロシマ -親愛なるヒロシマ

先日、なんでも知ってる卒業生Mちゃんから「『ANPO』を撮ったリンダ・ホーグランド監督が新作を撮った!しかも石内都がテーマらしい」という情報をもらって、相変わらずいろんなことを知ってるなと感動しながら、やはりアップリンクで上映だろうかなどと想像していたら、なんと太っ腹NHKがさっそくBS1で(つまりタダで)放映した。『Dear Hiroshima 』つまり親愛なるヒロシマである。カナダの人類学博物館(MOA)で石内都の「ヒロシマ」展が開催されたことをテーマに、石内や展覧会を観た人へのインタヴューを綴り、2時間弱のドキュメンタリーとなっている。

これがたいへん良かった。被ばくした人々の遺品、とくに色とりどりの衣服などを鮮やかに写した石内の写真がとにかく美しいのが、まず第一の魅力であるが、彼女の語る言葉も仕事ぶりも含蓄深く、でっかいトーテムポールに合わせて設計されたという博物館そのものもすばらしい。途中で出てくるカナダの大学の先生の言葉も印象に残る。いわく、原爆というと人々の記憶に残るのは、きのこ雲の写真ばかりだが、それはきのこ雲の下で何があったかの想像力を人々から奪ってしまうと。もちろん広島の平和祈念館はそれを補うべくヒバクシャの写真や遺品を展示してあるのだが、石内の写真はそこからもう一歩進んで、その直前まで楽しく美しく生きていた人々の生き様を想像させ、再現させるように写真を撮る。「写ってよ!」と念じながら撮るというのだ。遺品は「瓦礫」ではない。その瞬間まで生きていた人の、かけがえのない生の形見である。

放映時間に見ることができず、録画しておいたのだが、同じ日の夕方にホーグランド監督と石内、他2名の座談会が放映される、という予告で録画が終わった。うう、これも観たかったが仕方ない...。こちらももっと早く予告しようよ、NHKさん...残念...

2012年8月25日

首相官邸前小ネタいくつか

22日(水)昼は、首相と首都圏反原連のメンバーが会合し、ニコ動とユーストで中継もあるというのでどーしても気になってしまい、家で某原稿を書きながらちょいちょい見て、いや結局、会合後の記者会見までほぼ全部みてしまった(さすがに現場まで行くのはやめたが)。官邸前抗議のメンバーにはいつもの議論ながら、みなさん言いたいことを言っていてとてもよかった。イルコモンズさんとタンポポ舎さんの発言が特に印象的だった。それでイルコモンズさんのサイトを見ていたら、とある日の首相官邸前抗議の際、とある交差点に立つ警官が「本官も再稼働に反対であります」という看板を掲げている写真があった。うおおお! その交差点では当方も、先週だっただろうか、ある警官氏がメガフォンで「サイカドーハンタイ」を叫んでいるのを聞いて耳を疑った場所であった。「ちょっといい話」の続きである。

22日の会合の様子は大手メディアにも大きく論じられたので、首相のイケてない回答ぶりが全国に知られ、昨晩(24日)の抗議はさらに盛り上がった。民主党本部に向かって「(原子力規制委員会)人事案撤回」を叫ぶというので、昨晩は国会図書館付近に行ってみたが、こちらもなかなか盛り上がっていた。見るからに華奢なお兄さんたちが、マイクを握りコールを行うと、おお!というようなダミ声を出す。たしかにコールはそのくらいの声の方が迫力があって、ブルースっぽくて(?)いい。女の声はどういうのがいいのか、いまだ検討中である。しかし、とにかく鳴り物が重要だというのはこの間次第に分かってきたので、昨日は空いたお茶缶を持って行って叩いていたら、二時間で底がすっかり上げ底になった。どうしても打つ手に力がこもるらしい。仕方ない、使い捨てかー。そういえば、雨宮処凛さんが近くにいた。いやーん、かわいーんと思ったが、握手を求める(?)のも変なのでそのまま見過ごした。いつもの首相官邸前もノリノリだったようだ。そうそう、いつぞや当方が体験したリズム感抜群の音楽隊は、イルコモンズさんたちの「怒りのデモ隊」だったということが判明。やっぱサウンドだな。

そんな間にも、F1フクイチの作業にあたる人々の被曝労働の実態がいろいろに明るみになってきた。先週19日のETVの番組もとても優れた出来であった。被ばく量が閾値に達すると仕事がなくなるという恐怖と、被ばくでいつか死んでしまうかもしれないという恐怖。ひとが普通にはたらいて生きていくのに、こんな究極の悩みを背負ってはならないのだ。そうはいってもフクイチのそれぞれの炉が無事に廃炉になるまでには、途方もない数の作業労働者が必要になるだろう。もしどこかでさらに原発事故が起きてこのような状態の原発がもう一つできたら、もうほんとうに万事休すである。再稼働とか人事案賛成とかおっしゃる政治家はこの状況をどう考えているのだろう(何日か作業してみたらいかがかと提案したい)。首相官邸前に集まる人々も、福島を思いつつ何もできないから、せめて再稼働反対を叫ぶのである。福島の人びとに、忘れてないから、いつも思っているからと伝えられたらと思う。

2012年8月31日

今日も

今日は半日人間ドックに行ってきた。採血、バリウムもあって少し疲れたが、晩には元気に首相官邸前、いや国会議事堂前に行こうと思っている(民主党への抗議エリア)。原子力規制委員会委員を首相の任命でむりやり決めようとしているが、もってのほかである。今日の赤旗新聞に載ったという下記の「全国一斉抗議行動」の情報が拡散されているので転載してみやう。こりゃすごいな。なつかしの熊本やかあさんの実家の街でも...。


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「北海道】札幌市・北海道庁北門前(6時)。旭川市・4条買物公園(6時)。釧路市・栄町公園A面ジスイズ側(6時)

【青森県】青森市・青森駅前(5時)。八戸市・市庁本館前市民広場(5時)

【岩手県】盛岡市・内丸緑地(6時半)

【宮城県】仙台市・勾当台公園(6時10分)

【山形県】山形市・市役所前(7時半)。酒田市・中央公園(6時)

【福島県】福島市・街なか広場(6時)。郡山市・郡山駅西口広場(6時)。南会津町・会津田島駅前(5時45分)

【茨城県】水戸市・日本原子力発電茨城総合事務所前県庁側歩道(6時)

【栃木県】宇都宮市・オリオンスクエア前(6時)

【群馬県】高崎市・高崎駅西口前(6時半)

【千葉県】木更津市・太田山の下「金のすず」駐車場(5時半)

【新潟県】新潟市・民主党新潟県連前(6時)。柏崎市・市役所前広場(6時半)

【富山県】富山市・富山駅マリエとやま前(5時半)

【石川県】金沢市・北陸電力石川支店前(6時)。同市・県庁前(6時)

【福井県】福井市・県庁前(4時)。同市・関西電力地域共生本部前(6時)

【山梨県】甲府市・甲府駅南口「信玄公」前(6時)

【長野県】長野市・長野駅前(6時)。諏訪市・上諏訪駅前(6時)

【岐阜県】岐阜市・岐阜駅前(6時)。同市・金公園(午前11時)。各務原市・市民公園(6時)。大垣市・大垣駅前(6時)。垂井町・垂井駅前(6時)。関ケ原町・国道21号沿い大垣共立銀行前付近(6時)。中津川市・アピタ前緑地公園(6時)。恵那市・恵那駅前(6時)。高山市・中部電力高山営業所前(7時)。

【静岡県】静岡市・青葉公園(6時半)。沼津市・中央公園(6時)。富士宮市・神田川広場(6時)

【愛知県】名古屋市・関西電力東海支社前(6時)。名古屋市・名鉄神宮前東側(6時半)。豊田市・豊田駅前(6時)

【三重県】いなべ市・員弁庁舎元うりぼう前(5時半)

【滋賀県】大津市・関電滋賀支店前(6時)

【京都府】京都市・関電京都支店前(4時)

【大阪府】大阪市・関電本店前(6時)

【兵庫県】神戸市・関電神戸支店前(6時)。姫路市・関電姫路支店前(5時半)

【奈良県】奈良市・奈良駅東口前広場(6時半)。関電奈良支店前(6時10分)

【和歌山県】和歌山市・関電和歌山支店前(6時)。新宮市・関電新宮営業所前(6時)

【鳥取県】鳥取市・鳥取駅北口(6時)。米子市・文化ホール前(6時)

【島根県】松江市・県庁前(6時半)

【岡山県】岡山市・中国電力岡山支社周辺の歩道(正午)。倉敷市・倉敷駅南口2階デッキ(6時)

【広島県】三次市・三次警察署横公園(6時)

【徳島県】徳島市・徳島駅前(6時)

【香川県】高松市・高松三越前(6時)

【愛媛県】松山市・県庁前(6時)

【福岡県】福岡市・九州電力本店前(6時)。北九州市・リバーウオーク北九州前(6時)

【佐賀県】佐賀市・県庁横(6時)

【長崎県】長崎市・市役所前(0時20分)

【熊本県】熊本市・下通(6時)

【大分県】大分市・旧パルコ前(6時)

【宮崎県】宮崎市・県庁前(6時)

【鹿児島県】鹿児島市・県庁前(6時)。同市・九電鹿児島営業所前(6時)。薩摩川内市・九電川内営業所前(6時)。霧島市・九電霧島営業所前(6時)。屋久島町・安房Aコープ前(6時)。奄美市・九電奄美営業所前(6時)

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