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2012年7月 アーカイブ

2012年7月 1日

非暴力・不服従

大飯原発付近のもみあいをユーストリームで一時間以上見ていた。「再起動」21時前後には警察が攻撃をしかけてもみあいになりかけたが、「サイカドーハンタイ」のシュプレヒコールが一挙に「暴力反対」に変わり、人々は両手を挙げて非暴力の姿勢を貫いた。それはそれは見事な対応であった。あっぱれ!

さてこんな時にナンだとも思うが、先週の平和学会での拾いものをひとつ。二日目の午後、ベトナム戦争の頃に佐藤首相に対して焼身抗議した由比忠之進を扱った分科会セッションを聴きに行ったのだが、そこでの報告者、比嘉康文さんの著書『我が身は炎となりて:佐藤首相に焼身抗議した由比忠之進とその時代』(新星出版、2011年)を読んでみた。由比が首相官邸前で焼身自殺を図ったのは1967年11月11日、佐藤の訪米直前であったが、彼は熱心なエスペランティストの平和主義者であり、同書はこれらを含めて詳細に踏み込んで由比を論じている。
由比の抗議の主旨(p. 9「プロローグ」より)は以下の四つであった。

1.政治資金規正法を自民党の圧力に屈して骨抜きにされたことに対する政治への不信感
2.沖縄・小笠原諸島の返還をめぐる佐藤首相の弱腰な対米追従の政治姿勢
3.ベトナム反戦運動に耳を貸さず、米国のベトナム戦争に加担する佐藤政権
4.アジアでのわが国の役割を自覚しない政治家たち

いくつか語句を入れ替えると何だか現代にも該当するような...。「国民がデモをしても、抗議の集会をしても、抗議の手紙を書いても、聴く耳を持たない日本の政治というシステムに対する焦り、憤りは地中から噴き出そうとするマグマのように溜まっていた時代だった」(88頁)とかもねー、今のことのようですねー。これから長丁場で声を挙げていかなければならないだろうが、暴力の応酬や尖鋭化を避けなければならない。「不服従」を追究していく必要がある。

2012年7月 8日

裏腹な週末

6日金曜の晩は例によって首相官邸デモへ。職業倫理上、わが学生諸氏や若者たち(卒業生とかね)にデモへ行くよう呼びかけはしないのだが、「一緒に行きたい」と言われればやぶさかではない。この日は二人ほどお申し出があったので、それとなく待ち合わせることにした。しかし18時直前の地下鉄駅の国会議事堂前は一週間前に劣らぬほどのにぎやかさで、出口はほとんど封鎖されて一方向に誘導されている。地上にでると雨が降り始めており、すでに相当な人出である。有名な脱原発政治家たちの姿もチラホラと。よもやこの人込みの中で約束した二人に会えるとは思えなかったが、奇跡的に二人とも発見することができ、その前に偶然お見かけしたN谷ボスともご一緒して、4人で進んだ(というか立ち止まることができず進ませられた)。次第に雨脚はひどくなり、あまりの混雑のため首相官邸がどちらの方角かもわからなくなったが、とにかく目の前の何かの省庁とおぼしきビルに向かって「サイカドーハンタイ」のお祭り状態である。今回は通勤リュックにメガホンを忍ばせていったので、叫び心地がよかった。若者二人も昂揚していた様子。デモは見知らぬ人との連帯も心地よいが、知り合い仲間とやるシュプレヒコールも悪くない。しかし20時前にパシッと終わって、近くの昭和時代みたいな居酒屋で乾杯。斜め向こうでは比較的年配の4人のグループが乾杯していたが、そのうちのお一人が帰り際にN谷ボスに話しかけてきた。初めてデモに参加したとのこと。いいですね、みなさん。あきらめずにまいりましょう。

土曜の朝目覚めると、午後にピアノ・コンサートを聴きに行くことに変な違和感があった。このところ休日もデモか仕事ばかりで、ブルジョワジー的愉しみにとんとご無沙汰だったからか。しかし友人某のナイスな企画で、ファジル・サイ@鎌倉芸術館である。電車に揺られて小一時間、湘南の気持ち良い空気に包まれるだけでも気分転換になる。そしてまた、このトルコ出身の天才ピアニストの充実のプログラム(前半はモーツァルトK331トルコ行進曲付きとストラビンスキーのペトルーシュカ。後半はムソルグスキーの展覧会の絵)!ジャズのノリと強じんなテクニックを駆使した自由自在の演奏で、会場は沸きに沸いた。彼も気分がよかったらしく、アンコールは大サービスで何と4回。いやはや堪能いたしました。
今日は別の友人と久しぶりに会うことになって、渋谷のイメージフォーラムでフィリップ・ガレルの『愛の残像』を観てきた。ああ、ため息がでるほどに美しいパリの街並みの空気感、ミニマムで核心をつくセリフ回し、愛の不条理。た、楽しい。思わず我を忘れてしまった。はー、やはり持つべきものはよき友とアートな時間である。しかしこの週末、仕事はあまり進まなかった(当たり前か)。

2012年7月20日

有象無象のうねり

去る7月14日(土)に外大506グローバルスタディーズラボラトリーの「沖縄「復帰」40周年:鳴動する活断層」のシンポジウム、15日(日)某地で9月末にあるシンポジウムの打ち合わせ、16日(月・祝)さようなら原発10万人集会と怒涛の連休を過ごして平日の業務に戻り、今日明日が当ゼミの夏休み前集中「卒論構想報告会」である。さすがにいそがしくて拙ブログの更新をご無沙汰してしまった。

そんなわけで先週、今週と金曜晩の首相官邸前に行くことができなかったが、メディアの報道も次第に行われるようになり、雨が降ろうが風が吹こうが「有象無象」の脱原発のうねりはおそらくもう後退することはない。人々は静かに節度を以て行動し意思表明をし始めたのだ。16日の10万人集会も17万人が集まったと発表されたが、何ならもっといたかもしれない(集会の様子をヘリで撮ってくれたのはいいが、ヘリの騒音がうるさくてスピーチが聞こえにくかった!)。当日はうだるような暑さだったが、さまざまな年齢層の人びとが、たとえば団体バスで全国各地から、あるいは集団のノボリを立ててあるいは個人や家族や友人同士で、ほとほとと歩いて代々木公園に集まった。各自、水分を補給したり栄養をとったり日陰で休んだり、デモ行進も都合や体調に合わせて距離や工程を選んだりした。マイペースで何度でも集まる市民たち。金曜晩のデモは、全国各地に広がってきたという。細部にはあれこれ問題や課題もあるかもしれないが、驚くべき成果である。かつてとは違った形での「運動」の成熟が確かな手ごたえとして感じられる。

2012年7月22日

ショーゾーケン

やれやれ、中山ゼミの夏休み前集中ゼミ・卒論中間報告会、9月卒業する一名の卒論発表会、追いコンを兼ねた打ち上げも無事(?)終わって、夏休みまであと一息である。いつもならこの二日間でヘボ写真をバシャバシャ撮っておき、さっそくコメントをつけて拙HPにアップするところだが、目下拙HPの「アルバム集」は休業状態である。というのもこの間、勤め先大学の某委員会でHPやブログ上の写真が問題となり、「先生方の中にも学生さんたちの写真を多数、平気で載せている人がいますが(よろしくないですね)。肖像権の問題がありますから」というハナシがあって、「もしかしてワタシのこと、言われてます?」と気まずい気分になったのだった。そんなこんなでとりあえずリンクを外してある。ショーゾーケン... 普通に考えるとわがゼミ生や当方のささやかな友人、知り合い諸氏が見てくださったり、卒業生がアルバムを開くように訪れたりするぐらいだろうと思うのだが、世間様に公開していれば、こちらが想像もしないような嫌な形で悪用する下司なヤカラもいないとは限らない。そんなヤツのためにマイディア学生たちの成長の記録を残せないのはいささか心外だが仕方がない。私的なサイトでやればとアドヴァイスもいただくのだがー。パスワードとかで何とかできるようになったら再開する予定である。ゼミ生諸氏やご覧いただいているみなさま、しばしお待ちを~。

追伸・そういえば

あっ そういえば「毎週金曜晩の首相官邸前」の延長に下記の日程で「国会大包囲」イベントがあるそうで。

7月29日(日) 15:30 日比谷公園中幸門  デモ出発 16:30
           19:00 国会包囲(集会/キャンドル・チェーン)

詳しくは http://coalitionagainstnukes.jp/

2012年7月28日

ほれほれコール

毎週金曜晩恒例の首相官邸前デモは29日の国会大包囲に備えてお休み、ということだったが他の団体が取り仕切って、首相官邸前にはやはりいつもどおりに人が集まっていた(それでも行ってみるワタシも物好きである)。しばらく「サイカドーハンタイ」をコールした後、同僚のFセンセイからお知らせをいただいていたので、霞が関まで移動してK産省前(別館)に応援に行ってみた。「原子力規制委員会」の人事にムラ出身の人物を起用か?というトンデモな話に抗議しての集まりである。首相官邸前とはうってかわって少人数だが、福島や各地から来た人々がショートスピーチを行うオーソドックスな形式だ。Fセンセイは建物から出てくる人々にビラを配ったりして大活躍である。Fセンセイがにっこり笑ってビラを差し出すと、思わず受け取ってしまう人もあり、あるいは気まずそうに走り去るひともあり、いずれにせよその後デモ参加者たちから「お仕事お疲れ様でしたー」とやられるので、みんな困ったような顔をする。
 おもしろかったのはスピーチの合間合間にやる「コール」で、いつもの「サイカドーハンタイ」だけでなく、「ほれほれコール」というのがあった(ちょっとオレオレ何とかみたいだ)。原発の下を掘ったらおよそ活断層が出てくるから原発を動かせなくなる、ということなのだが、音頭に合わせて小道具のスコップで掘るしぐさをする「スコップ隊」が踊る(?)あたり、首相官邸前とは異なるテイストである。「大飯を掘れ!」とか「掘ってから考えろ」、「関電に掘らすな」、「三菱に掘らすな」、あげくは「掘って掘って掘りまくれ」とかいうのもあって、ダイレクトというかよくわからないというか。やがて白熱してくると、建物の明かりのついているあたりを睨み、スコップを振り上げて「サイカドーテッカーイ!」。うひゃー、なんちゅーか... 
メンバーの中心は「原発いらない女たち」で同省前テント村の座り込みを継続し、院内集会などにもしげく足を運ぶ人たちなので、全体的に首相官邸前よりもラディカルな雰囲気だった。いや女はコワイ(わたしも女ですが)...

2012年7月30日

道路を解放せよ!

2012年7月29日(日)は、脱原発国会大包囲の日であった。朝から恐ろしく暑かったが、若者二人と待ち合わせて日比谷公園へ。メイン会場に据えられたのは、7月16日の集会とはケタ違いに小さな舞台である。マイクが数本、講演者はビールのケースをいくつか並べた上に立ってスピーチをする(山本太郎さんが指摘したので初めて気づいたが)。それでもじりじり焼けるような太陽の下で、みんな真剣に耳を傾けている。16時にデモ隊の先頭が出発し、われわれもそこに加わった。ちんどん屋さん風の音楽隊の後ろのファミリースペース付近で、終始のどかな雰囲気である。途中で若者の一人Aちゃんが日テレの取材を受け、周囲は大いに盛り上がった(あれは昨晩、放映されたんだろうか?)。小一時間のデモ行進の後、いったん解散。仲良しになったおばさんとカフェで一休み、腹ごしらえをして、いざ国会議事堂へ!道中、まだデモ行進するグループに出合ったが、いったいどれだけの人数がいたのだろう。周囲の道路はどこも「脱原発」の目印をつけた人々で一杯である。ノリのいい集団、まったりした集団、場所によってさまざまに声を挙げている。

国会議事堂の真正面あたりに来たところで、Nボスから携帯にメール着信。どうも近くにいらっしゃるらしい。何度か場所確定、合流を試みるも、あまりの人だかりに身動きがとれない。わかりやすいように主催者本部の小さなステージ(またもやビールケース)付近で待っていたのだが、結果的に報道関係者が陣取る場所で、行き交う国会議員さんたちを間近で見ることになった。ナマ志位さんやナマ河野さんと握手、民主党のナントカいう人もいたっけ。スピーチが始まる頃には辺りは騒然とし始めてシュプレヒコールや「道路を開けろ!」の怒号が乱れ飛び、キャンドルやペンライトが揺れる。人数はさらに増え続けているが、道幅が狭く仕切られ過ぎていて、暑さと湿度のなか密集せざるを得ない。じっと立っているのがやっとだ。スピーチはほとんど聞こえず、脱原発高校生(?)藤波心ちゃんの歌う「ふるさと」ぐらいしかわからない。それが終わって少しした頃だろうか、前方の人だかりが急にはけて広がった。バリケードが解放されたのだ。「行こう!」若者二人とともに(先ほどまでご一緒したおばさんは人波に流されて遠くなっていた、ごめん)前方へと向かう。急に涼しい風がわたり、からだがのびのびする。なんという開放感!思わず「サイカドーハンタイ」と絶叫すると、コールが波のように響く。ちょっとヤバイほどの昂揚感である。明りの消えた国会議事堂に向かって、しばらくはただただ叫び続けた。国会議事堂は政治のシンボルであり、それに対峙して叫ぶのは、やはり何かがいつもと違う。その思いは周りの人びとも同じだったのではないだろうか。
近くにちょっとラリッた人も出てきたので、若者たちの身の安全のため、少しづつ最前列を遠のくと、あらあら、そんな人込みの中で、あの知り合い、この友人、けっこう会うものですねー(ほれほれ隊のみなさんも見かけた)。そうこうするうちに20時で終了。余韻に浸る間もなく機動隊のみなさんがものものしく車道を封鎖し始めたが、多くの参加者はわりと穏やかにそれぞれの帰路につき、わたしたちはようやく無事にNボスと合流して、その後偶然出会ったボスのご友人の某社Oさんたちのグループとご一緒に、某店で水分を補給した(熱中症にならないために重要ですね)。「日本の警察は道路を囲みすぎるから危ないんだよ」、Oさんがポツリ。しかし国会大包囲は大成功、大満足の晩であった。本日の新聞にもちゃんと報道あり。よしっ

2012年7月31日

パブコメ

昨日は国会大包囲の様子を書いて満足してしまい、肝心のことを書き忘れた。パブコメすなわち8月12日まで募集されている「パブリックコメント」のことである。集会でも、国民投票の実現が難しいとしてもパブリックコメントで何十万、何百万という「脱原発」=すぐに廃炉、という意見が来れば無視はできないはずだから、みんなで出しましょう!という告知があった。そうはいってもなかなか敷居が高いかもしれない。当方も昨日ようやく、「パブコメ」を出してみた。むずかしいことをつべこべ書くよりダイレクトに考えたことを伝えればよい、ということだったが、書き始めるといろいろ言いたいことがあって、意外と長くなってしまった。でも短くてもいいのである。重要なのは、「原発ゼロシナリオ」で「しかし2020年にゼロ」ですら(選択肢の中ではこれが一番の脱原発)遅すぎる、すぐにゼロに、と明示的に書くことである。

パブコメに関してはこちらのサイトに詳しい。
http://publiccomment.wordpress.com/

すぐに投稿であれば
https://form.cao.go.jp/aec/opinion-0027.html

〆切は8月12日だが郵送の場合などは少し早めに出す必要がある。みなさま、ぜひとも貴重な声をあげてください!

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