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冬は甘酒

冬は甘酒いとをかし、とかいって清少納言に対抗するつもりはないが、甘酒ってお酒じゃないのねー、夏の季語なのねーとネットで諸講釈を仕入れながら甘酒を飲む、寒い夜である。ありゃっ、いかん!内容とまったく無関係なハナシから始めてしまった。

さて、先立っての拙ブログ「研究会のはしご」から早一週間、その内容をご紹介しようと思っているうちに『環境と公害』最新号が届いて、S氏のご報告は「原発災害がもたらしたもの・原発災害をもたらしたもの」(『環境と公害』vol.41 No.3, Winter 2012, pp. 45-50)に活字化されていることがわかった。「福島大学災害復興研究所」の研究成果を生かした福島からの報告とチェルノブイリ後25年のベラルーシ・ウクライナの調査報告が簡潔にまとめられている。論考の焦点は、このたびの災害が従来のいわゆる公害と大きく異なる点でもあるのだが、「避難」という問題である。それは避難を余儀なくされた人々の諸権利(避難しないという選択肢を含めて)の問題であり、またそれを土台にした賠償の問題であるが、それだけでもない。土地が国有のものであった25年前のベラルーシやウクライナ(旧ソ連)と、土地の大半が個人のものである福島では、情報の提示のしかたも政治的対処の仕方もまったく異なったことも考慮に入れなければならない。とはいえ、さまざまな属性をもつ老若男女がそれぞれに暮らしを営んでいた場所が、突然に「自由」を奪われて一括管理の対象へと劇的に変化したことに変わりはない。奪われた自由をめぐって発せられた声に耳をすませ、いかなる言葉を発信していくのかが、社会科学に問われている。

ところで裏表紙にある英語タイトルをつらつら見ていたら、どうも東日本大震災は英語で (the) Great East Japan Earthquake というらしい。おいおいちょっと変じゃないか?と調べてみたが、これが公式見解らしい。それじゃあまるで「大東日本(大英帝国みたいだな)震災」のような気がするんだが... 

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2012年1月26日 23:18に投稿されたエントリーのページです。

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