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2011年7月 アーカイブ

2011年7月12日

キエフ行ってきました!

8日朝に帰国したのだが、それからまた何だか忙しく、報告が遅れてしまった。さて、ウィーン経由で入ったキエフ、驚くほどかつてのソ連時代の面影を残していた。街も、人も。言葉が通じない(英語なんてほとんど役立ちません、はい)不都合は、数時間遅れて合流したクラウス(ベルリンから)&ミケル(ヴェネチアから)との「文殊の知恵」でたいていしのいだが、街中でのさまざまな場面でも、学会でも、驚くことが多々あった。これまでに訪れたプラハやブダペストなど、旧東欧諸国の都市と共通するところもあるが、キエフのほうが格段激しい。もともとロシア正教の聖地があり、目を見張るような教会も数々あるが、そこにスターリン時代に特徴的な建物が侵入し、教会の屋根を(もとは金色や銀色だったものを)くすんだ緑色に変えた。それがところどころ剥げている状態だ。さらにその合間を縫って、ザ資本主義、ともいうようなスーパー(それもオーストリアなどの)や携帯電話会社の広告、コカコーラなどの外国系大資本の看板が立ち並んでいる。変な景色である。以下、街の中心街にその一角&ソフィア大聖堂のショットを。

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学会は「ウクライナ国際経済学会」で「ポストクライシスエコノミー(危機後の経済)」がテーマであった。初日(3日夕方)に車で街をドライブしてくれた助手さんサーシャにきくと、2008年の危機後、多くの人(何万人も)がキエフから田舎や国外に帰ったり出て行ったりしたという。「危機後」のイメージはかなり違うのかもしれない、とさっそくクラウス&ミケルと話をした。われわれのもってきたネタは、相当に浮くかもしれないと。

続きはまた、後ほど。

これはちょっとすごい

目下、7月16日のシンポジウム「核と未来」の準備に鋭意邁進中である。今日はゲストのおひとりの広河隆一さんとお打ち合わせをした(萱野さんとは去る8日にお打ち合わせ済み。ユーチューブで様子を見られることについてはまた後ほど)。
さて、広河さんといえば3.11以前からチェルノブイリの事故後をずっと追い、写真や執筆、NGOなど各種の活動を通じてサポートをしてきた仕事が、先ごろウクライナからも認められた(有功勲章受章)ことが記憶に新しいが、3.11後はすぐに福島入りし、現在進行中のところまで全力で福島を支援中である。何度も現地に足を運び、放射線量をはかり、ご本人が編集長を務める写真雑誌DAYS JAPANで状況を伝え、資金援助を行い、本を書き、文字通り命を賭けて日々を闘っている。これはちょっとすごい。「人間の戦場」(これも広河さんのタームだ)、という視点のことを申し上げたところ、「そうです。敵はいないのではなく、IAEAだったり日本政府だったりを発信源とする、いいかげんな情報ですから、これと闘う武器(たとえば食品の放射線量測定器など)をもたなければ」と核心を突いたおこたえがかえってきた。16日当日は時間の許す限り、広河さんのお話を伺えるように準備を進めたいと思っている。 Ustream配信、ツイッター受付もあるので、全国のみなさんにぜひ聞いていただきたい!もちろん、外大@226教室におはこびいただけるかたには、15時をめざして(早めのご入場をお勧めしますが)いらしていただければ、それにこしたことはないです!この、またとない機会をぜひ!

核と未来…

追伸(一日に何度もすみません)

萱野さんとのお打ち合わせは、youtube、萱野さんのお名前、「核と未来」で検索すると容易に見つけられるようである。イケメン2ショット(?)で当日のベースになるミニ対談が展開されているので、ぜひご覧くださいませ。(8日の朝、成田に着いたばかりで時差ボケのナカヤマは、声と怪しい手の表情で参加している)


以下、キエフの深すぎるメトロへのエスカレーターと、滞在中のメトロ最寄り駅の壁の絵。ソ連時代の「産業振興」スローガンがそのまま残っている? 左の人が手に持ってるのは核シンボル? その下に描かれているのはまさか原発?!(キエフはチェルノブイリから60kmだよーん)  ああ核と未来…
 
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(いずれもクラウスことThomasbergerさんが送ってくれたショットです。クラウス、ありがとう!!)

キエフ報告はまた近いうちに書きます! くう 忙しいよおお

2011年7月14日

謹んで訂正

今しがた、授業の準備をしていて気付いたのだが、キエフはチェルノブイリから130キロ(~140km:)であった。キエフで出会った学者さんが60kimと話していたので、そのまま鵜呑みにしてしまったのだ。謹んで訂正させていただきますー。

クーデルカ「プラハ1968」

キエフ報告の続きも書きたいが、今日はちょっと別のことを。7月18日(月)まで東京都写真美術館で開催されている「ジョセフ・クーデルカ「プラハ1968」」という写真展、今日見なければたぶんもう見られないだろうと思い、仕事帰りにダッシュで見てきた。木曜、金曜は20時まで開館というのがありがたい。

1968年8月、ワルシャワ条約機構軍によるプラハ侵攻「チェコ事件」への市民の抵抗を写したこれらの写真は、当時秘密裏にアメリカへ持ち出され、翌1969年に(写真家の生命の安全のために)匿名の写真家の作品として発表されて、ロバート・キャパ賞をとったものである。しかし作者名は容易に特定され、作者がようやく名乗りを上げることができたのは15年後、チェコに残った父が他界した -つまり父に危害が及ぶかもしれないという心配のなくなった― 後の1984年のことであったという。「この写真を一度として見ることのなかった両親に捧げる」という、写真展全体へのキャプションは、亡命し住まいを転々と変えざるを得なかったクーデルカの、祖国への思いを端的に示している。
「プラハの春」とその後の鎮圧という歴史的事実は、よく知られたものであるかもしれない。しかし、写真を通じて再現された歴史的断片の集積は、戦車から立ち上る煙やこびりついた血の匂いまで感じられそうな迫力で、見るものに迫ってくる。かつて加藤周一さんが「言葉と戦車を見据えて」という対比でこれを論じたのは、比喩ではなかった。侵略・鎮圧は文字通り、戦車によって行われたのだ。

図録を買って帰ってゆっくり考えたいと思ったら、売り切れであるという。図録は平凡社から刊行された市販の書籍であるにもかかわらず、在庫切れだそうだ。写真集としての質もきわめて高い。重版されることを強く願う!

2011年7月16日

本日!

ついにシンポジウム「核と未来」当日です!みなさまご来場&ユーストリーム訪問、よろしくお願いいたします!!

そんなときにナンだが、シンポが終わったらきっとキエフの記憶が薄れるので、ちょっとだけ続きをー。学会参加者の大半はウクライナからの先生&院生など若手研究者とロシアからの数名であり、クラウス(トマスベルガ―)、ミケル(カンジャーニ)と当方がいわゆる資本主義世界からの代表(;)みたいな恰好である。われらがそれぞれ、グローバルインバランス、ネオリベの歴史、R. シラーにおける主観主義的分析への批判を示し、2008年以降の危機を引き起こしたメカニズムを批判的に検討しているのに対し、なぜか前者のみなさんが金融商品の分類みたいな報告を次々出しているという「ねじれ」状態である。ことにロシアからの一女史は、ipad を始終誇らしげにいじり続け、髪はブロンドに染め(ているのが見えている;)、バリバリの資本主義ウーマンです!といった張り切りようで、みていると実にイタかった。彼女の眼には当方はどう映ったのだろう。しょぼくれ日本ウーマン?いや、むしろノー眼中だろうか。

それでも3人の報告に、みなさんが大いに関心を持ってくれて、3人は「ウクライナ国際経済学会」の栄えある国際会員第一号から第三号をあたえられたのだ!(ひょえええ ナンダソリャ) 少なくとも当方が、今後この学会に何か役立つとはおよそ考えにくいが…。以下、会長さん(去年ボルドーでお目にかかったフィリペンコ教授である)と国際会員3名、ラストディナー(お昼です)をご一緒したみなさんのショットを。

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2011年7月17日

シンポジウム「核と未来」無事終了!

相変わらずの炎天下を多くのお客様が来てくださり、7月16日(土)のシンポジウム「核と未来」を何とか無事に終了することができた。いらしてくださったみなさま、ネットで見てくださったみなさま、どうもありがとうございます!!

さて、シンポジウムでの議論のポイントの一つは「未来」であった。最後の質疑応答で「もっと未来のハナシをしてください」という質問というか要望があったのに対して、広河さんが「これから起こってくることという意味での未来は著書『暴走する原発』に書いたことであり、近い未来はDays Japanにこれまで載せてきたことです」という回答をした。これである。広河さんは基調講演でも、おもにチェルノブイリの写真を交えたお話しをされたのだが、それは歴史的過去の話ではなく、これからFUKUSHIMAで、そして日本や世界(でその放射能が飛散したところ)のあちこちで起こってくる「未来」の話だったのである。「未来」というと明るく広がるイメージを持つ人がおおいのだろうが、これからの「未来」はもはや、放射能や核のゴミとの共存の未来でしかありえない。拙ブログでもしばしば書いてきたことだ。

それでも大学時代の友人や、最近一緒にプロジェクトをした、あるいは研究会をしている仲間たち、先週結婚したばかりの元教え子さん(!)などなどが来てくれて、とても華やいだ気持ちになった。報われる気持ちである。それに今回はまた、若者パワー炸裂で、司令塔は西谷ゼミ院生のお二人、ネット中継はウチのゼミ生Y平君の率いる「げんしけん」ががっちり押さえてくれて、その他の会場スタッフとしては西谷ゼミ、中山ゼミの有志が見事なチームワークを示し、シンポジウムを完璧にささえてくれた。ありがとう!!!以下朝一番乗りの司令塔Mくん、HくんとY平くんのげんしけんチームです。

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あと、元教え子さんのKちゃん、先週の様子(@軽井沢某教会)です。それはそれは美しい花嫁姿でした!どうか末永くお幸せに!
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おまけ:チェルノブイリ博物館に二度フラれる

チェルノブイリといえば、キエフでは空き時間を利用して「チェルノブイリ博物館」を訪問したが、まさかの休館!ガイドブックにはちゃんとやっているはずの曜日と時間帯に満を持して行ったのに(おかしい)…。交渉したかったが英語は通じず、近くにいた坊やがドイツ語ができたので、「はるばる日本から来たのだ」と説明して交渉してもらったが、「今日は休み」の一点張り。く、悔しいよおおお なおあきらめきれず、学会の最終日に再トライするも、何とか到着できたのは閉館10分前。ねばりにねばってエントランス部分だけ見せてもらったが… (クラウス、ミケルが気の毒がって記念写真を撮ってくれた)

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昨日、空き時間に広河さんにそのお話をすると、「今度行くときは言ってくれれば、館長に話しておきますよ」と静かに微笑まれる。うおおお さすが広河さん、お知り合いだったのですねええええ! この4月に同博物館で広河さんの写真展をするはずだったのが、3.11のために延期になっているとのことである。いや、さすがウクライナから勲章をもらった(2011年、ウクライナの有功勲章を受賞)人である… あらためて、おそれいりました! 

2011年7月26日

なつかしの

16日のシンポジウム「核と未来」が終わって、呆けてしまったわけではないのだが、あらあら、ずいぶん日にちが経ってしまった; さてその間、我が大学時代のゼミ師匠、西川潤先生が著作を刊行され、出版記念会を兼ねたOB会が久しぶりに開催された。

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いつも写メでぶれた写真を掲載して恐縮だが、帯にあるごとく、ポスト・クライシスのツボを押さえている。もっとも師匠は30年前からこうした視点で仕事をしてきたのだがー。OB会ではなつかしの諸先輩や近くの代(同期は当方ひとりだったが)のみなさんに会えて楽しかった。西川先生も大変お元気で、「昨年、裏西川会というのが開かれたそうなのですが、どうしたわけか僕には連絡が来ませんでした。しかしそういうネットワークは大変重要です。わっはっは」と挨拶なさっていた。黙っていらっしゃると近づき難く、怖かった師匠だが、それでもどこかにこうした寛容さが滲み出ていて、つまりゼミ生たちからも愛されていた。この日も、比較的急な開催だったにもかかわらず、100人近くが集まったのである。

で、そんな今日は、熊大時代のゼミ生で見事税理士になって活躍中の通称T君(苗字変わった)が上京すると連絡をくれて、久しぶりに会った。かつてと変わりなく見えたが、話を聞くと結構大変な仕事をしている。下記、ご同僚の方とのツーショットを(おしゃべりに夢中になって写真を撮り忘れ、後で送ってもらった。きっとこれがご所属の会計事務所ですなー)。

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今日は時間があわずお茶だけ飲んだが、次はゴハンでも食べようと約束して別れ際、「飲むともっとおもしろいんです」とご同僚に説明する声が耳に入る。ナヌっ? まー当方が我が師匠のように怖かったとは、もちろん思わないのだが… わたし、おもしろかったすか…


核と未来の追記

先日のシンポジウムの際、みなさまから頂戴いたしました「お志」は、7月22日(金)に無事、広河さん@デイズジャパン事務所にお届けいたしました。ありがとうございました。

2011年7月29日

外大の節電ロックアウト週間1

目下、大学に「行ってはいけない」週である。ブラボー、自宅でこつこつ原稿書きの日々、なのだが、なぜかそういうときに限って、はずせない研究会(『大転換』の御訳者さまにお目通りー)とか報告(明日、ワセダの若手研究会)とかあって、その上こんなタイミングでケイタイの更新期限月がきて某脱原発企業に応援乗り換えなどしている。まー原稿の締め切りは絶対間に合わないであろう… はははは(ブログ書いてる場合ぢゃないが、某i phone 初期設定に疲れて逃避行動に出ている)。

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