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気がつけば6月

あれっ? 気がつけばいつのまにか月が変わっていて、5月終わりごろ何をしていたのだろうと首をひねる。そういえば前回、拙ブログに書き込んだ後は、学会の打ち合わせや何やらで出かけることが多かったのだ。さて今日は先日観た「幸せの経済学」(ヘレナ・ノーヴァーグ・ホッジ監督、@アップリンク)のことを書いておこう。映画ばっかり見てるな!と言われると、まあそうなので(ははは)、忙しがるほどのことではない;

それで「幸せの経済学」だが、昨日は「ロハス」を初めて提唱したという何とかさんと配給会社担当者さんのトークがついていた。ちょっとお得?!と思って集まった観客(含・当方)は、上映前に映画の内容を聞かされたりして、なんだかなーとやや盛り下がった。やれやれ、30分ほどのお付き合いの後、ようやく上映。1時間強の構成で語られるのは、グローバリゼーションと対極のローカリゼーションの重要性である。うーぬ。これだけなら、1970年代の成長批判でも、何なら19世紀の資本主義批判でも産業主義批判でも、同じロジックがすでにあったはずである。でもまあ、ロハスがヒッピーから生まれたというトークでの紹介(やっぱ役立ちはした)を思えば、その手の監督が作ったものだろうし、理屈を求めても仕方ないのか。とはいえ、「リーマンショックの後も、大震災の後も、人と人とのつながりがあれば大丈夫」という落としどころでは、やはり説得力がないだろう。3.11直後、有機農業をずっとやっていた、とある人が自殺したという死の重みに、それではまったく答えられない。

拙ブログでこの映画を取り上げようと思ったのは、別の観点からだ。つまり、経済学の教育が今や街なかに「外注」されているのではないかということである。この映画にしても、コンテンツとしては大学の講義1回で話せそうなものだが、若者たちが(いや若くない人もいらしたが)わざわざお金を払って映画を見に来ている。どうも大学、学問の側に問題があるように思えてならない。ふと、『週刊東洋経済』にR.シラーという経済学者が2月ごろに書いていた記事を思い出す。アメリカで経済学が一般の人々の間にブームとして広がっているが、彼の主張は、そのタイトルが示すように、「経済学ブームの陰に経済学への不信あり」ということである。記事自体は必ずしもシャープではないが、この視点は軽視することができない。

蛇足一つ。いつぞや講義で、それこそシラーの仕事とも連動するN.タレブの『ブラックスワン』の話をしたら、「映画のブラックスワンとは関係ないんですね」というコメントシートがあって、何というかびっくりした。映画のブラックスワンはバレエものである(これも観た。わはは)

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2011年6月 3日 14:21に投稿されたエントリーのページです。

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