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Inside Job日本公開はじまる

昨日5/21(土)から、ドキュメンタリー映画"Inside Job"(http://www.insidejob.jp/ チャールズ・ファーガソン監督)が日本でも公開された。この映画、当方は今年2月のアイスランド出張(パリ経由)のときにS君から、アメリカの金融危機の原因を追求しており、政治や大学との癒着も鋭く告発していて、すごくおもしろい!とおしえてもらったのだが、帰りの飛行機に乗ったら、あら!そこで上映しており、さっそく堪能した後、英語版のDVDは入手済みだった。が、なぜか突如、日本で公開されることになったらしい(経緯は知らない)。

「行きたいなー」と繰り返しずるずる考えるのもいやなので、用事の合間にさっと観ようとおもったら、なぜか昨日プレミア初回上映@新宿ピカデリーを観ることに。お客さんの入りは8割というところか。すでに知っていたことだが冒頭タイトルが出るまではアイスランドの話オンリーである。しかし大画面で見るアイスランドの景色はやはり見応えがある。うぬ。さて、本論に入ってしばらく状況説明が続くが、それを超えると、アメリカの政治的中枢部の名前がでるわでるわ、有名大学や経済学者もでるでる、有名な金融機関のエライ人たちが逮捕されたり法廷で糾弾されたりする映像もいろいろ出て、あるいは「○○氏は本編への登場を断った」という淡々とした字幕が、「やっぱ、隠したいことがあるのね」というニュアンスを濃厚に示す。ちなみにIMFとの関係も描かれるのだが、ときの人ドミニク・S某や後任か?のフランスのラガルト女史なども登場して、なんだか旬である;
「危機」の様相はこのたびの地震・津波・原発事故の「危機」と強く連動するところがあり、ぜひとも多くの人に観てほしい! -と思っていたら、帰り道、「ぴあ」のおねえさんに声をかけられた。ので、宣伝しまくっておいた(上記に書いたことをしゃべっただけだが)。顔写真も撮った。てへっ 『ぴあ』に載るかなー?(3人しか載らないらしいから、どうかなあ)

さて、その後、経済系某学会の幹事会に出て、さらにその後、ワセダ若手の研究会「現社研」に出席した。ネタ本は、アラン・カイエの『功利的理性批判』(以文社、2011年)である。功利的理性、はつまるところ(それを「功利主義」ととらえるところには批判が集中したが)市場を絶対視する経済学的思考だが、参加者が口々に語ったのは、経済学者にこうした批判が届かない、という問題であった。そうなのだ。権力の近くにいる人々が批判に耳を傾けないところに、学者が「専門家」としてお墨付きを与えるだけになっている構造は、まさに「経済」をめぐっても展開されているのだ!今はぺらぺら「復興」を語る経済学者たちに、ちょっと待て、Inside Jobを観てもやましくないか?と問いかけたくなる。

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2011年5月22日 11:05に投稿されたエントリーのページです。

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