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2011年5月 アーカイブ

2011年5月 1日

7月にキエフ

ドイツ人、イタリア人の研究仲間(ポラニー研究のT氏とC氏である)と打ち合わせ、セッションを組んだり関連するテーマでプロポーザルを出したりして海外の学会で会うということをここ数年やっている。2011年は、2010年のボルドーの「異端派経済学会」で出会ったウクライナの先生からの情報で、ウクライナ国際経済学会の大会(テーマは「Post Crisis Global Economy」)に手を挙げてみようということになった。さて、去る3月末ごろ原発一色になってしまった頭に鞭打って(?)ひねり出したプロポーザルに何とかOKが来て、7月初頭はキエフ(@ウクライナ)に行くことになった!わーい!(よって今年も連休はペーパー書く日々)。

そんな折、今日の朝日新聞(Globeとかいう閉じ込みの特集)に、あら「チェルノブイリから130km。キエフの記憶と教訓」という大きな記事。セシウム137の汚染分布図はキエフのほど近くまで迫っている。たまたま今日目にした別の論考には「2009年にウクライナ産のブルーベリー濃縮果汁がセシウム137検出で積み戻しに」という記述もある。いやー25周年のチェルノブイリは参考になりますなあ、わははは。せっかく日本を出て海外の学会にいくのに、キエフにいく私って一体…。

2011年5月 9日

GWも無事終わり…

GWが無事終わり、拙ブログのお休み(自主休業)も終わって大学の授業も再開である。今日は、過日がお誕生日だったMミンのためにみどりんが相変わらず玄人的腕前でケーキを作ってきて、ゼミ後のお祝いお茶会となった(あ、下の写真ではMミンの里帰り土産の栗タルト(大好評!)と一緒に写ってますねー。このケーキ、ほんとうは文字飾りがあって、さらに立派だったそうです)。さっそく公開しちゃいます。

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本日のゼミ報告者ちあきも次の授業前にダッシュでお祝いしました。
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幸福な院生K平くん、「一緒に祝ってほしい」というご指名あって、研究中のところを顔を出してくれました。

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話題になったのが「ここのゼミ生はケーキ(ホール)を作れる人が多数いる」ということ。たしかに4月某日に催された「THE近場でBBQ大会」(?)ではOBのCくんがこれまた立派なチーズケーキをつくってきてくれたのでした…(下記写真はBBQの野外テーブル。うーんすでに懐かしい!(というか純粋においしかった)。超学年企画の楽しい集いでしたねー)

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もちろんみんながケーキ作り得意というわけではなく、「メレンゲ」とはなにか、後でこっそり検索しようと思ったという人々もいたのでしたが… 。
そんなわけでゼミや大学的日常も新たに始まり、ゼミの議論もギンギンに再開です(あー盛り上がった)!

2011年5月11日

えーお笑いを一服

今日、西谷ボスからあまりにおもろい話を教えてもらったので、紹介せずにはいられない。当方のやっていないツイッターネタなのだが、「もんじゅくん」のツイッターがあるという(https://twitter.com/#!/monjukun)。

自己紹介;「…これまでに国費2.4兆円、今も1日あたり5500万円の維持費を使っているけど、発電実績がほぼゼロなのは内緒だよ!最近、福島第一原発が話題だけど、事故を起こすと1番コワイのはボクなんだって。」

ぶあはははは、おかしーい。

「ボク、たくさんメンションもらってうれしいな。でも、リプライに一生けんめいになりすぎると、ナトリウムが漏れそうになるから、全部はお返事できないんだ。ごめんなさい」

だははは、これもたまらん。あら、すみません、わたくしったら。あまりにおかしかったので…。おほほ

今日はそんなツイッターを当方に強力に勧めてくれるゼミ生OBのDちゃんが、渾身の自作CDをもって506にきてくれて、ひとしきりおしゃべりをした。世界や社会を真剣に考える稀有の若手ミュージシャンである。そのうち、その音楽の一端も何とかご紹介したい。

2011年5月22日

Inside Job日本公開はじまる

昨日5/21(土)から、ドキュメンタリー映画"Inside Job"(http://www.insidejob.jp/ チャールズ・ファーガソン監督)が日本でも公開された。この映画、当方は今年2月のアイスランド出張(パリ経由)のときにS君から、アメリカの金融危機の原因を追求しており、政治や大学との癒着も鋭く告発していて、すごくおもしろい!とおしえてもらったのだが、帰りの飛行機に乗ったら、あら!そこで上映しており、さっそく堪能した後、英語版のDVDは入手済みだった。が、なぜか突如、日本で公開されることになったらしい(経緯は知らない)。

「行きたいなー」と繰り返しずるずる考えるのもいやなので、用事の合間にさっと観ようとおもったら、なぜか昨日プレミア初回上映@新宿ピカデリーを観ることに。お客さんの入りは8割というところか。すでに知っていたことだが冒頭タイトルが出るまではアイスランドの話オンリーである。しかし大画面で見るアイスランドの景色はやはり見応えがある。うぬ。さて、本論に入ってしばらく状況説明が続くが、それを超えると、アメリカの政治的中枢部の名前がでるわでるわ、有名大学や経済学者もでるでる、有名な金融機関のエライ人たちが逮捕されたり法廷で糾弾されたりする映像もいろいろ出て、あるいは「○○氏は本編への登場を断った」という淡々とした字幕が、「やっぱ、隠したいことがあるのね」というニュアンスを濃厚に示す。ちなみにIMFとの関係も描かれるのだが、ときの人ドミニク・S某や後任か?のフランスのラガルト女史なども登場して、なんだか旬である;
「危機」の様相はこのたびの地震・津波・原発事故の「危機」と強く連動するところがあり、ぜひとも多くの人に観てほしい! -と思っていたら、帰り道、「ぴあ」のおねえさんに声をかけられた。ので、宣伝しまくっておいた(上記に書いたことをしゃべっただけだが)。顔写真も撮った。てへっ 『ぴあ』に載るかなー?(3人しか載らないらしいから、どうかなあ)

さて、その後、経済系某学会の幹事会に出て、さらにその後、ワセダ若手の研究会「現社研」に出席した。ネタ本は、アラン・カイエの『功利的理性批判』(以文社、2011年)である。功利的理性、はつまるところ(それを「功利主義」ととらえるところには批判が集中したが)市場を絶対視する経済学的思考だが、参加者が口々に語ったのは、経済学者にこうした批判が届かない、という問題であった。そうなのだ。権力の近くにいる人々が批判に耳を傾けないところに、学者が「専門家」としてお墨付きを与えるだけになっている構造は、まさに「経済」をめぐっても展開されているのだ!今はぺらぺら「復興」を語る経済学者たちに、ちょっと待て、Inside Jobを観てもやましくないか?と問いかけたくなる。

2011年5月12日

平和的運動…

今日は非常勤でW大(今年度初!)に行った後、S氏の誘いで明治学院大学平和研究所の「西サハラ難民亡命政府の全権大使モハンマド・ベイサットさんのセミナー」にうかがった。到着してみると公開セミナーではないらしく、超少人数。どえええ、まじかいなー、こちら事情も知らんシロートなんですがあああ、と言って帰るわけにもいかず、そのまま着席。参加者は各種「人権」関係(?)の学者さん数名の他はジャーナリストさんたちが中心だった。(NHKさんの取材は前半でお帰りになった。)

1975年以来、モロッコ(そして背後にフランスの影)の支配下にあるが独立を求めており、今や2011年の中東民主革命の波がここにも。というよりは、西サハラの運動こそが「中東民主革命のはじまり」(by チョムスキー)という見方もあるらしい。ベイサットさん曰く、「わたしたちは平和的な運動を展開しています。ハンガーストライキとか…」。ハンストって平和的なのか…? 
さて、彼らがまず求めているのは独立を賭けた国民投票だが、国連や先進諸国の関心のぶれ、モロッコの王政の変動などに左右されて、いまだ実現していないそうだ。ふーんナルホド。歴史や世界の中での位置や、スペイン、アメリカ、中東、中国などとの関係、経済・資源事情や日本に期待することなど、たっぷり二時間(途中でサンドイッチが配布された。うふ)議論して、学ぶところ大であった。帰宅し、ニュースがみたくてBSをつけていると、国際ニュース、ふくいちダダ漏れのニュースの後で、「アフリカ最後の植民地…」というナレーションとともにベイサットさんのお話がニュースに!うおっ 当方の後ろ姿も一瞬登場。やだー、NHKさん、こっちは撮らないって言ったのにー!

平和的運動のことを考えていて、ふとまたデモのことを思った。先日、某A新聞に出ていた「もう議論は限界、行動しかない」と言って御大層にデモに参加する方々もナンだが、デモ前の集会に呼ばれて「デモは無意味です」と演説するM台さんのスタンスもちょっとなー。
当方が気に入っているのは、道端(しかも車道の道端!お巡りさんたちがずっと誘導してくれるのは良し悪しだが)から東京の街を見る感覚である。いつもは電車で行く映画館や仕事で歩いた道、おしゃれして行ったお店などが別物に見える。街を行き交う人々は、いつもだったら自分かもしれないのだ。それをいつもと違う場所から眺める楽しさが、長い時間を歩くことの程よい疲れ、気が向いたら言いたいことを言ったりする解放感とともに、ココロやカラダに満ちてくる。やっぱり、これこそ平和的運動? あれっ?

ベイサットさんは明日以降も、各党に働きかけたり全国を回ったりと精力的にアピールするそうである(ちゃんと話題を締めたぞ。きりっ)。

2011年5月18日

『原発ジプシー』を読み返す

まー当方、専門領域が20世紀の大戦間期から現代で経済戦争などを考える立場であれば、おのずと核や原子力のことを考えるわけで、昨年(2010年)2月に拙著『経済戦争の理論』を出した後、次なるテーマは「核の経済的次元」だとひそかに(いや、どこでも言ってましたが;)思っていた。しかし3.11後にこのプランはなんだか居心地が悪いものになってしまった。「ザ・ど真ん中」過ぎるのだ。
それはともかく(?)、先ごろ『原発労働記』とタイトルを変えて復刊されたという堀江邦夫『原発ジプシー』(講談社文庫1984年、原著は1979年)を久しぶりに読み返してみた。かつて読んだときにも引き込まれ、深く考えさせられたのだが、このたびは随所のターム(原子炉建屋とか燃料棒とか被ばく線量とか)が妙に親しい。原発に疑問をもってもなかなか納得のゆく情報が得られないことにいら立った著者は、季節労働者的に原発を渡り歩く「原発ジプシー」となるのだが、働いた二つ目の場所がいわゆるフクイチくん(byもんじゅくん)こと福島第一原発なのだ。そしてフクイチに限らず、原発での非正規労働者の労働条件は、これが書かれた時点でもほんとうにひどい。

「…ホースから空気が来なくなることがあるんよ。ホースが折れたり踏まれたりでね。これがこわい。…合図することだ。それでもダメな場合は、マスクを脱いじゃうことだな。放射能を吸いこんじゃうって?その通りさ。…でも、だよ。空気がストップしてその場で死んじゃうのと、放射能を吸ってでも、少しでも長く生きてんのと、どっちがいい。なっ、そうだろ」(74-5頁)

おいおい、「なっ、そうだろ」じゃないだろう!と言いたくなる、シャレにならない「究極の選択」である。 しかし著者が労働中に大ケガをしたときの様子はさらにひどい。

「もしあんたが労災でなければいやだと言い張ったなら、事故が公けになり、東電に迷惑をかけることになる。そうなれば会社に仕事がまわってこなくなり、最終的には、あんた自身が仕事にアブレることになるんだぜ -ということを暗にほのめかしているのだ。…ここに原発の『閉鎖性』が生まれてくる土壌があるようだ。…「いいかい堀江さん。労災だと日当の六割しかもらえんのよ。だけど労災扱いにしなければ、うちで全額面倒みてあげる。ね、どっちがいいかわかるやろ?」… 」(228-230頁)

本来は「労災」でも6割ではなく10割であることを著者は知っていたが、うやむやにされる。日常的な業務のなかでの事故でもこれなのだ。現在進行中の「有事」の現場はいったいどんなことになっているのか―。ちょっと想像してみるだけでも背筋が寒くなる。
ともあれ、同書の復刊は喜ばしい。アマゾンにはすでに高評価のレヴューが2つ出ている(!)ほどの
注目度である。3・11後、必読書のひとつであることは間違いない。

ほんとはグードルン・パウゼヴァング『見えない雲』のことも書きたかったのだが、長くなってしまったのでまたにしやう。ちなみに授業の参考文献に『見えない雲』をあげたら、受講者の一人から「僕の親戚が訳者です」とのコメント。うおおお、世界はおもったより小さい(のか、偏っているのか)!

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