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このところ忙しくてロクに映画にも行けなかったが、今日はシビックセンター(小ホール)で上映された『アンナへの手紙』(エリック・バークラウト監督)を観ることができた。チェチェンの人々の声を聞き、ロシア政府を批判して暗殺されたアンナ・ポリトコフスカヤに関するドキュメンタリーである。何年にもわたって彼女や志をともにするジャーナリストたち、彼女の死後は遺族にも取材して丁寧に作られており、映画としても優れた作品に仕上がっている。劇場公開されるかどうか(どこかでポスターを見た気がする)わからないが、お勧めしたい。というか、久しぶりにいい映画を見て、ああシアワセ~(いや、テーマは重いのだが)。
この週末は京都のナカニシヤ出版の酒井さんとの新しい企画の打ち合わせのため、京都へでかけた。崎山(政毅)さん、山川俊和さんと当方という、なんというか意表をついたとりあわせと酒井さんとで、「最強」の企画の秘密会議(どこが秘密なんだ?)をした。2012年に刊行予定である。新しい企画は、立てる段階が一番わくわくする。実行し、執筆する段になると、たいていの場合ほかの仕事も同時進行していたりして、忙しさでぐおおおとなるのだが、いまのところハッピーハッピーである。
この時期は京都の紅葉シーズン・ザ・ベストだそうで、ホテルはほとんど満室、上記の会合開催もあやぶまれたが、かけこみでひとつだけみつけたのが「スーパーホテル」だった。名前からもビミョウな感じがただよい、行ってみるとさらにその感じがよくわかった。たしかに無駄を省いて「エコ」に特化し、必要なものは意外とすべてそろっている。実に合理的である。ベッドも大きめでゆったり眠れる。朝食に行ってみると、海外からのゲストがかなり多いのも、うなずける。しかし、だ。一列に並んで仕切りに向かって食事を取るところも、部屋の簡素なたたずまいも、どうしても「独房」(いや、入ったことはないが)を想起させる。これはなんともさびしい。21時チェックアウトということで仕事も持って行っていたが、やはり早めにチェックアウトして帰宅した。そういえば、美しい紅葉は、新幹線の窓からしか見なかった; ごーん
週末にかけて、社会思想史学会大会@神戸大に行ってきた。幹事企画の「社会民主主義の再検討」というセッションで、(このごろ流行の?)ベーシック・インカム論の山森亮さんとともに、「カール・ポラニーの社会概念」という報告もさせてもらった。このテーマで人は来るのか?と思いきや、世話人様、コメンテーター様、司会様、あるいは山森様のおかげか、たくさんの方々がいらしてくださった。報告者の持ち時間25分、全体2時間だったが、なぜかあっっ という間に時間が過ぎて、ポラニーとベーシック・インカムとの関連の議論にも、フロアからの多彩なコメントやそれに関する議論にも、十分至らなかったのが残念であったが;関係者のみなさま、ありがとうございました。
全体としては政治哲学的な報告やセッションが多く、「社会的なもの」をめぐるテーマ、社会運動論的テーマが目立っていた。経済の領域については、「あーそれもありますよねー」的な扱いというところか。やるべき仕事は多い。はー