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教会は同性愛者をどうしたいのか

ふみなるさんのブログ記事:

「礼儀正しい」同性愛差別、ジェントルな抑圧者
https://fuminaru.blogspot.com/2021/04/blog-post_27.html?spref=tw

氏は、キリスト者のうち、あからさまに同性愛を
否定してくる人たちではなくて、むしろ支援者で
あるかのような顔をしながら「議論しよう」と
言ってくる人たちに向けて以下のことを書いています。

 (同性愛が)「議論すべき課題だ」と結論を先延ばしにできるのは、結局のところ「自分には関係ない」ことであり、「結果はどうでもいい」と思っているからです。当事者性が欠落しています。

また氏は、選択肢は、同性愛者の側に付くか、
その反対側に立つか、その二者択一しかなく、
その間の中間的な立ち位置は無いと書きます。

プロテスタントのある部分の教役者、信徒は、
同性愛者(そしてLGBTQ+)の側に立った
発言をし始めています。

カトリックの教役者、信徒でも割合こそ違えど
同じようなことになっています。

東方教会の教役者、信徒は、公には沈黙しています。
面と向かって質問すれば、「否定」する人もいるでしょう。
(密かに支援してくれる人もいるとは思いますが。)

閑話休題。

性的マイノリティーの自殺念慮者(そして既遂者)、
精神疾患の罹患者は、社会全体の中のそのような人々に
比べて、有意に多いと報告されています。

性的マイノリティの自殺・うつによる社会的損失の試算と
非当事者との収入格差に関するサーベイ
https://www.jil.go.jp/institute/discussion/2019/documents/DP19-05.pdf

同性愛者の自殺について考える 精神科医・平田俊明さんインタビュー
https://www.nhk.or.jp/heart-net/lgbt/kiji/entry/article_003.html

社会からの抑圧を受けて、同性愛者、またそれを含む
性的マイノリティーの自殺念慮者(既遂者)、
うつなどの精神疾患の罹患者の割合が、
社会全体の割合より高くなっています。

--

キリスト教界ではどうか。

「あなたはそのままでいいんだよ」と
受け入れている教役者のいる教会では、
時間は掛かっても
自身で、それを真の受け入れと感じて
楽になっている人も多いと思われます。

他方、同性愛者、性的マイノリティーを
拒絶する教役者のいる教会では、

それら当事者は、上のリンクにあるような
社会の中で感じる抑圧に加えて、
教会でも抑圧を感じることになります。

その場合に、自殺念慮者の割合、
うつなどの精神疾患の罹患者の割合は、
より悪くなりこそすれ、よくなることは無いでしょう。

自殺念慮者が増えること、
自殺者が増えること、
うつなどの精神疾患の罹患者が増えること。

これは「人のはたらき」、思慮の浅い
「他人のはたらき」によるもので、
万善な神のし業だとは到底思えません。

--

「あなたはありのままで神様の手による作品であり、
 ありのままで神様に愛されているんだよ」

と言えない教役者、教会は、程度の違いこそあれ
それこそ程度の様々な抑圧的な圧力を掛けていると言えます。

--

「ありのままでいい」と言えない人たちは、
何を目標にしているのでしょう?

「同性間性行為は赦されない」
「同性間性行為が恒常的に行われる可能性のある
 パートナーシップは認められない」

と言いますか?

すでにそれで大きな抑圧なのですが、

念頭にある着地点はどこにあるのでしょう?

・「同性愛を治せ」

これは、西洋諸国で、すでにconversion therapyが
破綻していることことから、難しいことが共通の理解に
なっています。

The Lies and Dangers of Efforts to Change
Sexual Orientation or Gender Identity(英語です)
https://www.hrc.org/resources/the-lies-and-dangers-of-reparative-therapy

同性愛は、少なくとも西洋では、最早治療の対象では
ありません。WHOもその立場をとっており、ICDと言う
疾患リストから、同性愛を削除しました。

Proposed declassification of disease categories related to sexual orientation in the International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems (ICD-11)(英語です)
https://www.who.int/bulletin/volumes/92/9/14-135541/en/

この期に及んで、まだ「治せ」と言い続けますか?

・「性的指向とやらは治さないでいいから、とにかく異性と結婚しなさい」

この着地点は、1970年代までの性的少数者に関しては
割と多数派で、また現在の若いゲイの中にも
「既婚ゲイ」を名乗る、女性と結婚していて、
外でゲイ活動をしている人たちがいます。

異性結婚を推す人たちは、とにかく結婚すればいいと思っていますか?
結婚した上で、外で同性と遊ぶのは黙認しますか?

日本では、同性愛者と結婚させられてしまった女性たちのことは
話題になかなかのぼってきませんが、
中国では既に社会問題化しています。

同性愛者に結婚されてしまった女性は、中国語で
「同妻(トンチー)」と呼ばれています。

「同妻」(同性愛者の妻)の問題
http://palmier105.blog.fc2.com/blog-entry-920.html

同性愛者と知らず結婚した女性たち
https://www.vice.com/ja/article/kzn4av/chinas-tongqi-the-millions-of-straight-women-married-to-closeted-gay-men

そういう被害者女性が生まれることに関しては
どうお考えですか?

ご自身の娘さんが、知らないうちに「同妻」に
されてしまったとしたら、どう思いますか?

とにかく、異性婚をして子供をもうけることが
第一であるから、し方が無いと納得しますか?

先日亡くなったBay City Rollersの
Leslie McKeownの妻Pekoさんは今の中国語で
言うところの「同妻」でしたが、
Leslieが幾度となく同性との浮気をした
(記事では12回と書かれている)
ことをも受け入れた、寛大な「同妻」でした。

Wife of Bay City Rollers Les McKeown was his 'rock' and forgave him for 12 affairs with men(英語です)
https://www.edinburghlive.co.uk/news/edinburgh-news/wife-bay-city-rollers-les-20461102

でも、その立場にも望んで入って行ったのなら
まだ救われますが、知らされずに「同妻」に
されてしまったら、人生最大の災難以外の
何ものでもないでしょう。

・「もうつべこべ言わず、異性と結婚して、同性との浮気もするな!」

キリスト者で、異性愛者で、異性と結婚している人で、
貞操を保っている人は、それこそ(統計があるかどうかわかりませんが)
おそらく多数派でしょう。

でも、その人たちは、少なくとも自分の生まれもった
性的指向(異性愛者であること)は問題にされず、
それに従って、恋愛をして生涯の伴侶を選んだんですよね?

性的にand/or感情的に愛することがままならない
相手を押し付けられる同性愛者とは、そもそも出発点が
違います。

自分がその立場に置かれたらどうなるかと言うことには
全く思いを馳せることもしない人たちなんでしょう。

あなた方はそう言う思いを馳せることすらしないですむ
特権階級に属する人たちです。

・「だったら禁欲しろ!」

例えば、修道士になって禁欲すること。

これは、自由意志で決定されるべきですよね。

(教会によっては、同性愛者が修道士にならないように
 「テストをする」と言う動きがあったことも記憶しています。)

同性愛者だから禁欲しろ!
と言うのはあまりにも乱暴です。

あなた方は、たまたま異性愛者に生まれたことで
「禁欲しろ」なんて言う暴言を投げかけられることのない
特権階級に属しています。

いろんな属性をひとまず置いて、他人から
「禁欲しろ!」と強制されることが、あなた方には
想像できますか?

各地、各時代にうまくいかなかった「禁酒法」のように
すぐに破綻するとは思いませんか?

・「神様にできないことはない」
・「祈りましょう」

あのー、あなた方は、人生の中で
同性愛が異性愛に変わるほどの
劇的な変化を経験したことがありますか?

求めることで与えられましたか?
祈ることで解決しましたか?

まあ、何かが「与えられたり」「解決した」
ことはあるでしょう。

そのどっちが「より劇的な変化だった」かを
判断するのは難しいのでやめておきましょう。

とりあえずそのワイルドカードは無しと言うことでお願いします。

・「祈る」

としたら、同性愛者でありキリスト者である人にとっては、

「同性愛を直してください」

と、いまだに祈ってしまう人もいるだろうけど、

「とにかく、ものすごく辛い、社会と、教会での
 生き地獄から解放してください」

と祈ると思います。

閑話休題。

・「では、性的指向とは何か?」

それは、性行為を誰としたいかだけではないし、

恋愛を誰としたいかだけでもありません。

誰と家族になりたいかだけでもありません。

どんな芸能人、有名人の活動を見守りたいかにも
絡んでいます。

確かに、ナントカ坂が好きなゲイや
Perfumeが好きなゲイはいます。

それは「同妻」が見ても何とも思わないですよね。

でも、夫がジャニーズのテレビ・ラジオばっかり
視聴・聴取していたら、「あれっ?」って思いますよね。

ジャニーズの書籍や雑誌ばっかりを集めていたら、
やっぱり「あれっ?」って思いますよね?

デブ専ゲイが、関取の大きなポスターを貼っていたら、
「相撲は日本の国技だからね〜」って思いますか?

SASUKEの録画ばっかり見ていたり、
男子水泳、男子体操、男子フィギュアスケートばっかり見ていたら、
「うちの人は、スポーツが好きなのね」って思いますか?

BLの本ばっかり集めていたり、タイのBLドラマばっかり見ていたら、
「今、流行ってるよね〜」って思いますか?

まあ、同性愛者を糾弾するキリスト者が問題にするのは
基本的には同性間性行為だけだろうから、
上記の芸能人・有名人の推しがいることは問題にならないだろうけど、

ゲイが異性婚した場合の「同妻」は、
やっぱり、「うちの人、何だか変」って思いますよね。
「うちの人は、社会的な便宜のために私と結婚したんだろうか?」
って思いますよね。

離婚にいたる可能性も高いですよね。

中には、Pekoさんみたいな奇特な人もいるとは思いますが、
知らないうちに「同妻」にされてしまった人に、
Pekoさんと同様の振る舞いを求めることは酷です。

他にも街を歩いていて、異性の尻を見てしまうか、
同性の尻を見てしまうかとか、
異性の胸を見てしまうか、同性の胸を見てしまうかとか。

この辺りは、密かにしていれば、誰にもバレないかも
知れませんし、糾弾されるものでもないのでしょう。

とにかく、性的指向が発露するのは、性行為や
恋愛だけではなく、日常生活のあらゆる場面での
行動、感情の動きに絡んでいます。

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2021年4月28日 13:09に投稿されたエントリーのページです。

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