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2019年9月 アーカイブ

2019年9月 3日

断韓考

アヴェ政権が、消費税25%増税(8%→10%)その他の
政策から目をそらそうとして、紙媒体、電子媒体、電波の
メディアを嫌韓で染めようとしていて、

それに呼応して、「断韓」ということばも上記の平面、
空間を跋扈しています。

曰く、「韓国と断交せよ」「韓国人、朝鮮人は祖国に
強制送還せよ」等々。

それで気持ちよくなっている人たちがいるようなのですが、
韓国人(おそらく含朝鮮人)と今後一切関わらないように
するような「断韓」って、現実問題としてできるのでしょうか。

目を他に向けて、国交の無い中華民国を見ると、
人的交流も、経済的交流もいつにもまして盛んになっています。

となると、「関係を絶つ」ためには、「断交」だけでは
まったく効力はないことが明らかです。

となると、「断韓」を叫ぶ人たちは、本当にそれを望むのであれば、

1. 江戸時代的な鎖国をするか、

2. 冷戦時代の共産主義全体主義国家的になるか、

3. それを今でも続けている朝鮮民主主義人民共和国のようになるか、

の選択肢しか無いと思うのですけど。

今の国際情勢からすると、韓国、あるいは朝鮮半島二国を
そういった状況に押し込めることは、まったく現実的ではありません。

となると、残る選択肢は、日本を「そういう国」にすることだけです。

右寄りの方たちは、本当にそれを望んでらっしゃるのですか?

--

追記。純粋な日本人だと自負なさる方々の血潮に流れる、
歴史上の「渡来人」のDNAと血は、今回は問題にしない
ことにしておきます。

2019年9月 4日

conversion therapy

Conversion Therapy Group Founder Comes Out As Gay, Issues Apology To LGBT Community

https://thegailygrind.com/2019/09/03/conversion-therapy-group-founder-comes-out-as-gay-issues-apology-to-lgbt-community/

同性愛者を心理学的と称するセラピーによって、
異性愛者にコンバートするというグループの
創始者が、ゲイだとカムアウトして、
LGBTコミュニティーに謝罪したと。

まあ、映画、Boy Erased
http://www.boy-erased.jp

そのままですね。

まあ、Michael Glatzeは、そういうセラピーの
世話になることなしに、ということは、
性的指向は変えずに、異性結婚とその
ライフスタイルを選んだんだろうけど

https://www.youtube.com/watch?v=gLDouGAFVaE
https://en.wikipedia.org/wiki/I_Am_Michael

日本だって、時代の流れの中で、
異性結婚しているホモは沢山いるわな。

ところで、このコンバージョンセラピーって、
なんか「西側」な感じがする。

七公会オルトドクス教会だと、
コンバートしろとは言われない感じがする。

「性的指向?んー、わからないけれど。
 そのままでいいから、(異性と)結婚するか、
 独身でいなさい」

って言われる感じかも。

教会によっては、

「禁欲しなさい」

っていうところもあるかも。

(これは、牧会の放棄だと思うけど、
 「受け入れている教会が他にあるでしょう?
  そっちに行ったらどうですか?」
 って言われた人はいる。)

まあ、現状では、おおっぴらにカムアウトは
しませんけどね。

噂で漏れ聞いて知っている人はいますけど。

2019年9月14日

中国の電話番号

中国のサイトや、アプリで、
日本の電話番号を入れて、
SMSを送ってもらおうとおもうと、
届かないことが多い。

ってことで、ググってみたら、
まずは、VPNで、カナダの
電話番号をゲットして、

その上で、textメッセージを
受ける箱を作って、やりとりする
方法が出てきた。

でも、やってみたら、中国から
カナダにも届かなかった。

もうちょっと探してみると、
中国の電話番号をゲットし、
長期的に使うには、使用料を
払う方法が出てきた。

https://alis.to/mayu13th/articles/3757BR1Zg0ON

https://ja.blog.shiftall.net/archives/501/

Wechat上で、eSenderというサービスを使って、
中国大陸の電話番号が利用できる。

でも、行程としては、この頁に書いてあることの
他に、パスポートの写真と、自撮りを送るという
行程がありました。

で、このサービスを使ったら、中国の
サイトから、ちゃんとSMSが来ました。

2019年9月19日

NHK政治マガジンの良記事について~荻上チキ「これは政治スキャンダル」

【音声配信】「NHK政治マガジンの良記事について~荻上チキ「これは政治スキャンダル」」◇2019年8月21日(水)TBSラジオ「荻上チキ・Session-22」平日22時~生放送
https://www.tbsradio.jp/402016

これがNHKマガジンの、チェキさんが言う良記事:

官邸への訪問記録を発見!
ところが...
https://www.nhk.or.jp/politics/articles/feature/21544.html

ソンタカないNHK社員もまだいるんですね!

ちょっと安心した。

NHKのみならず、紙メディア、放送メディアが
総忖度メディアになりかけているところで
心強いです。

2019年9月24日

条件反射制御法〜Conditional Reflex Control Technique

条件反射制御法〜Conditional Reflex Control Technique

という言葉(日本語の方)が、
荻上チキSession 22の昨日(2019.9.23)の放送で出てきていて、
https://www.tbsradio.jp/412233

それは、ストーキングとか、依存症の治療として、
使われるテクニックだということだったんだけど、

それを聞いて、以前の同性愛治療っていうのも、
その手のものだったんじゃないかなと
直感的に推測しました。

そこで日本語で、「条件反射制御法 同性愛」で検索してみても
大したものは上がって来なかったのですが、

英語で、「conditional reflex control technique homosexuality」で
検索したら、出てきましたよ。

Kurt Freund: The Beginning of the End of 'Gay Conversion Therapy' in the 1950s
https://brewminate.com/kurt-freund-the-beginning-of-the-end-of-gay-conversion-therapy-in-the-1950s/

チェコの精神科医Kurt Freund(クルト・フロイント)が
1962年にチェコ語で、1963にドイツ語で出版した本で、
「同性愛的性的指向(当時はまだその用語じゃなかったでしょうが)は、
 変えることができない。」
ということを指摘して、それによって、一部の法改正にも繋がった
という話です。

素人目に考えても、もし、同性愛的性的指向を
条件反射制御法(同性に対する性的欲情に、なにか
マイナスの刺激を与えることによって減じていこうと
する方法)というのが、ある程度成功することがあったとしても、
それは、同性に対する欲情を感じたときに、
なんらかの心理的な痛みを感じるように条件付けられて
避けるようになるということがあるだけであって、

異性への興味が芽生えるようには、どう考えても
ならないでしょう。というように思います。

その他、上記の検索語で、色々上がってきたのですが、
どれも興味深かったです。

でも、英語のものばかりですので、
英語が読めるかたは、検索してみてください。

言語音考

ちょっと、日本語の言語音に関して考えたことを。

1.
私がロシア語学科の1年生だったときに、
ネイティブの先生がアルファベットを発音するのを聞いて、
Бがどうしても、ベーではなく、ブェーか、ボェーみたいに
聞こえてたんです。でもまあ、大学1年生ですから、
音声学の素養も無く、そのままにしていました。

先日、ロシア語母語話者に、厳密な最小対には中々見つからなかったのですが、
外来語にはある、/e/の前の非硬口蓋化音(ロシア語学では硬音と呼ぶ)の/m/を
発音してもらったのです。

/mer/ 「市長」

そうしたら、

[mˠer]

という感じに、軟口蓋化していました。
(わからなかったら、音声学をお勉強してくださいね。)

下記は主格ではなく、「ゲージ、メジャー」の複数・属格の形ですが、

/mʲer/ [mʲer]

と最小対をなしています。

ここで思い出されるのが、Юさんがソシュールを引いて言っていた、

「フィーチャーのプラスとマイナスの対立というのは、
 プラスの方にそのフィーチャーがあって、
 マイナスの方にそのフィーチャーが(消極的に)無いというという
 対立ではなく、
 マイナスの方は、そのフィーチャーが無いということを
 積極的に表現する」

ということです。

まさに、硬口蓋化が無い方の/m/は、硬口蓋化というフィーチャーが
無いことを積極的に表現するために、余剰的ではあるかも知れないが、
軟口蓋化[mˠ]を帯びてしまった、ということのようです。

これが、私が大学1年生のときに聞き取っていた、
ブェーか、ボェーの正体なんでしょう。すなわちアルファベットのБは

/be/ [bˠe]

という風に、T先生の発音では、軟口蓋化を帯びていたんでしょう。


2.
TBS Radioで、平日22時から、Session 22という番組を持っている
荻上チキさんですが、

/CVri/という音素の並びがあったときに、その/ri/ 「リ」の部分が良く
[ɹ̩ʲ](有声歯茎接近音。音節主音となっていて、硬口蓋化している。)
と発音されることを観察していたのですが、

別個に、複数回
/ri:da:/「リーダー」を、
[ɹ̩ʲ:da:]

と発音なさっているのを観察しました。

これは、音素としては、/ri/という子音と母音の分節音が
ならんでいるが、それが実現した音声型では、
[ɾʲi, lʲi, ɹʲi]などのように、時間的に前後に配されるのではなく、
[ɹ̩ʲ]という風に、同時に実現していて、それがさらに、[ɹ̩ʲ:]と長くも
なるということです。

あ、チキさん!聞き取りに弊害がそれほどあるわけでは
無いので、STのところに通って治すほどではないですよ!

ただ、音声学徒、言語学徒にとっては、面白い題材に
なってくださっているというだけです。


3.
先日、J-WaveのDrive In Japanを聞いていたのですが、
大阪府出身の山口智充さんが、

両方を[ɟo:ho:]と発音していました。

音素表記をすれば、

/ryo:ho:/とでもなるものですが、

その最初の/ry/が、語頭なので、[ɖ]か何かの
破裂音で実現しようとして、さらに硬口蓋化/y/は、
音素/d/であったら[dʑ]などをもたらすところですが、
/d/と/r/は違うのでそのルールは適用されず、
でも、やっぱり硬口蓋化のせいで、
舌と口蓋の接触面が[ɖ]よりは後ろに広がって、
[ɟ]になったということでしょう。


4.
「ユッカヌヒーのポーポー」
というのが話題になっています。
https://j-town.net/tokyo/column/gotochicolumn/289968.html?p=all

「の」以外わからない、と。

そりゃそうでしょう。「の」は東京共通語の「の」ですから。

「ユッカヌヒー」というのは、旧暦の四日の日(ヨッカノヒ)で、

東京共通語とウチナーグチの母音の対応関係をしっていれば、
謎解きは途中までできます。「ヒー」が長いのは、また別な
説明が必要でしょう。

とはいえ、前提的知識が無い、東京共通語話者が、
「ユッカヌヒー」を見ると、何のことやらわからなく
なってしまうんですね。

そこで思い出されるのが、世田谷のE先生が言っていた、
「トマトはなぜ、和語ではなく、外来語と感じられるのか」

という問題です。

授業中に答えをくださることは無かったように思いますが、
何か、音素配列論的に、エキゾチックなところがある
かのように仰っていた感じがします。

でも、第1モーラと第3モーラが同じものだったら、
「憩い」とか、「酢蓮」とか、無いことは無いですよね。

私が私なりに考えているのは、

特に母語に関しては、音素配列論云々ではなくて、
「語彙」の中にある音素連続と、「語彙」の中に無いものに
違いがあるのではないかということです。

「語彙」の中に無い音素連続はエキゾチックに感じてしまう
のではないかと。

(ということは、皆さんがときどき行う「無意味語」の
 調査というのも、実は、慎重にやらないとイケないこと
 なのかも知れません。)

私が、以前、アラスカに行っていたころ、
現地の中年層より若い人たちの母語は既に英語になっていましたが、
私の名前Nobu [noubu:]を言わせようとすると、
Noboになったり、Nuboになったりして、
なかなか正確には覚えてもらえなかったのです。

これとて、英語の音素配列論に、それほど逆らっているとは
思えなかったんですけれどもね。

そんなときにとある現地人が、「Your name sounds like homebrew, eh?」
(君の名前って、密造酒みたいな発音だね?)と言ってきて、
その後しばらくは、私のことをHomebrewと呼んでいた人が
いました。

英語の(そして現地の人々の)語彙にある「Homebrew」は記憶しやすかった
けれども、「no」や、「boo」がいくら英語として適格だと言っても
それら2つを組み合わせたものは、やっぱりエキゾチックすぎて
覚えられなかったということでしょう。

ユッカヌヒーも、ヨッカノヒからちょっとずれただけで、
もはや、東京共通語話者には処理不可能になってしまったって
ことなんでしょう。

2019年9月27日

TISLR 13 1日目

昨日は、TISLR1日め。

Yesterday it was the first day of TISLR.

https://www.idgs.uni-hamburg.de/en/tislr2019.html

最初のkeynoteの、Jordan Fenlonの発表が面白かった。
例えば、英国手話に関しては、英語と違って、
OSV語順であると言われたり、
Topic-Comment語順であると言われたり、
Noun Adjective語順であると言われたりするけれど、
それは、英国手話が見せる特徴のごく一部であって、
学習者もそこに固着させてしまうのは良くないと。

The first keynote presentation by Jordan Fenlon was interesting.
E.g. BSL, unlike English, is said to be of OSV word order,
of Topic-Comment order, etc. but these features are only
small parts of what actual BSL is and it is not a good way
that BSL learners only get stopped at that point.

私は、Fenlonのように、corpus研究ができるような
環境ではまだないけれど、でも、少ない研究居力者から、
様々な文体、レジスターの違いを観察している。
TTM(マダガスカル手話)を教えることも無いけれど、
TTMは、◯◯語順と教えることは得策ではない。

I, unlike Fenlon, am not ready to pursue corpus study on
TTM (Malagasy Sign Language, Tenin'ny Tanana Malagasy),
but from a few linguistic consultants, I have observed
various styles and various registers.
I do not teach TTM either, but I know that it is not a good
choice/start to tell students that TTM has ◯◯ word order.

ポスターからは、フランス人男性による、手話の書記法に
関する研究が面白そうだった。雑誌にじきに掲載されるそう。

From the posters, a study by a French man on writing systems
was interesting. It will be published soon in a journal.

カレン・エモリーの、脳に電極を付けて行った研究の
Keynoteも面白かったけど、昨日は、心理学、神経科学
など、私には手の届かないものが多かったです。

Karen Emmorey's study, having gathered data
from voltages emitted by the brains, was interesting.
It seemed most of the studies were psychological
linguistics or studies related to neurological sciences,
which are out of reach from me.

ところで、Susan Fischerと、S.-Y. Kuroda's "categorical and thetic judgement"に付いて話すことができた。良くご存知で、Topic-Comment関係の研究とは、かなりoverlapすると言っていた。

BTW, I got a chance to talk to Susan Fischer about S.-Y. Kuroda's "categorical and thetic judgement". She knows it quite well and she said it overlaps with the Topic-Comment studies.

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