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ことば2題

「△△ featuring ◯◯」

あるいは、

「◯◯をフィーチャーしてお送りします」

という表現。

その「フィーチャー」を
「フューチャー」って言い間違える人が
後を立たないのだけど、
それについてちょっと考察します。

思うに、あらたな言語記号(この場合、語)は
その能記(=シニフィアン)が、
当該の言語の音素配列論的に可能であれば
すぐに受け入れられるという場合だけではなくて、
すでに広く使われている音の配列(=能記)と
まだ使われていない音の配列(=能記)の間には
有為差があるのではないかと考えられます。

そして、意味(=所記、シニフィエ)の
関係ある無しに関わらず、
新参者の音の配列(=能記)は
古参者の音の配列(=能記)の影響を受けて
変形することがあると。

それが、「フィーチャー」が
「フューチャー」に変化するメカニズムかな?
とふと考えました。

そう言えば、僕がアラスカに行っていたころ、
第1言語、先住民語、第2言語、英語の人でさえも、
英語にない人名はなかなか覚えられないということがありました。
僕もNobu [noubu:]と呼ぶようにと言っていたのですが、
ある日、ある先住民が"Sounds like homebrew, eh?"と言って、
その後、僕のことをHomebrewと呼ぶ人がしばらくいました。

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SNSなどで、

「今度飲みに行ける人いませんか?」

みたいな記述が見られます。

そこには、「私と」も「一緒に」も
表現されていません。

その辺りは、文脈から読み取ることが
要求されています。

そして、日本語の母語話者であれば、
難なくそれを読み取れます。

でも、これを英語に直訳して、

"Is there anybody who can go out drinking?"

と言っても、表現されず
ほのめかされた"with me"あるいは
"together"を読み取らせるのは
難しいのではないかと。

というか、"with me"に一意的には決まらず、
"My friend Pat wants to go out drinking with somebody"
などという文脈もおおいに候補に挙がってくるのでは
ないかと思うのです。

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2011年7月 2日 08:56に投稿されたエントリーのページです。

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