« 規範主義と記述主義 | メイン | 呟きから »

腹具合とパラグアイ

ガ行の子音は、言語変化のまっ只中にあり、
音素的には、2つの音素の1つの音素への合流が
起きており、また音声的には、
選択肢としての分節音の目録の変化と
その中での選択の変化が起きてきています。

以前の標準語(そしてもしかしたら高齢者のことば)では、
2つの音素がありました。

/g/ [g, ?....]
/?/ [?....]

その場合、「腹具合」と「パラグアイ」はそれぞれ、

腹具合 [ha?a??ai]
パラグアイ [pa?a??ai]

のように、「腹具合」は鼻音で、
外来語であるパラグアイは非鼻音(ここでは摩擦音)で
発音し分けていました。

それが、もっとシタの世代では、
1つの音素に合流しており、以前の2音素の
異音が、条件異音あるいは自由異音として
現われるようになっています。

/g/ [g, ?, ?....]

その場合、「腹具合」と「パラグアイ」はそれぞれ、

腹具合 [ha?a??ai]
パラグアイ [pa?a??ai]

で、両方とも非鼻音(ここでは摩擦音)で
発音することが多くなっています。

しかし、前後に他の鼻音がある早口言葉
「生麦生米生卵」では、鼻音[?]が
出てきやすいです。

また、アナウンサーなど、鼻音[?]を発音することの
訓練を受けた人も、やっぱり、これを以前のように
弁別的に使い分けることはできず、両方とも

腹具合 [ha?a??ai]
パラグアイ [pa?a??ai]

の様に、鼻音[?]で発音する場合が見られます。

About

2011年2月11日 09:28に投稿されたエントリーのページです。

ひとつ前の投稿は「規範主義と記述主義」です。

次の投稿は「呟きから」です。

他にも多くのエントリーがあります。メインページアーカイブページも見てください。