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「・考」

単語の意味に付いてではなく、
音と、表記法に付いての議論です。

「ホ・オポノポノ」
という仮名表記を見つけました。

http://blog.hooponopono-asia.org/


でも、その推進団体においても、
「ホオポノポノ」という表記と
「ホ・オポノポノ」という表記の間で
揺れているようです。

これは、ハワイ語から英語に入った単語で、
どちらの言語でも、
Ho'oponoponoと書きます。

この「'」(アポストロフィー)は、
何か元々あった音あるいは文字が省略されたことを
表わしているのではなく、
ハワイ語の声門閉鎖音を表わしているものです。

声門閉鎖音は、英語の音素目録には
ありませんが、
uh-oh(あーらら、こらら)というときに、
uhとohの間に現れたり、
声門閉鎖音を仮に「・」で表わすなら、
アメリカ英語のsomethingが
ときにsum・mのように発音されたり、

イギリス英語の地域方言、社会方言によって、
betterがbe・erのように発音される場合があります。

(最後の例は、専門用語で言うと、
 音素/t/の異音の1つに
 声門閉鎖音があると説明できます。)

翻って、ハワイでは、ハワイという名称にも
それがあり、Hawai'iと書かれ、
英語話者であっても、「'」(アポストロフィー)で
書かれる声門閉鎖音を発音することがあります。

また、もうちょっと話をもどして、
「ホ・オポノポノ」という表記の「・」は
この声門閉鎖音を表記しようとした
試みではないかと思うのです。

でも、「・」には他の用法もあるので、
「ホ」が冠詞あるいは前置詞なんではないかという
誤解を与えることがあることは否定できません。

でも、もし仮に、「・」で声門閉鎖音を
表記することができたら、
Hawai'iもハワイ・イと書いて、
よりハワイ語に近く発音することもできます。

しかし、この「・」は、母音と母音の間の
声門閉鎖音以外に使われるようには
ならなそうです。

例えば、沖縄語の「豚」を「・わー」と
書いて、語頭に声門閉鎖音があることを
悟らせるのは、説明すればできるかも
知れませんが、表記が一人歩きしたときに、
なんのために「・」があるのか
わからなくなる可能性が大いにあります。

また、最近の日本語の若者言葉の形容詞の
語尾を取り去った形を、
「うざ・」、「はや・」と書いて、
声門閉鎖音があることを示すよりは、
「うざっ」、「はやっ」と書く方が
視覚的にもなじみがあります。

「ホ・オポノポノ」の「・」は、
折角、言語学者ではおそらくない人が、
あるいは声門閉鎖音を表記するため、
あるいは英綴りの「'」を転写するために
編み出した表記法の工夫のようですが、
声門閉鎖音を表記する記号として
定着させるには、ちょっと困難が
大きそうです。

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2009年6月 9日 01:05に投稿されたエントリーのページです。

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