多文化社会コーディネーター倫理綱領を策定しました

多文化社会コーディネーター倫理綱領

科学研究費助成事業(基盤C)研究
「多文化社会における専門人材研究―専門職の知と専門性評価に関する研究」
研究代表者 杉澤経子

前文
 私たち多文化社会コーディネーターは、多文化社会の問題を解決することによって、多文化共生社会の実現を目指す専門職である。専門職として業務を遂行するために、私たちは、個人の利益に走らず、専門職の自覚と責任を持って、この倫理綱領を順守する。


1 多文化社会コーディネーターの定義
 多文化社会コーディネーターは、あらゆる組織において、多様な人々との対話、共感、実践を引き出しつつ、問題解決のために「参加」→「協働」→「創造」のプロセスをデザインしながら、言語・文化の違いを超えてすべての人が共に生きることのできる社会に向けてプログラム(活動)を構築・展開・推進する専門職である。


2 業務のあり方
 2-1 目指すべき多文化共生社会
  多文化社会コーディネーターは、言語・文化の違いを超えてすべての人が共に生きることのできる社会を多文化共生社会と捉え、業務にあたる。

 2-2 参加・協働・創造のプロセスの循環の推進
  多文化社会コーディネーターは、問題を解決するプロセスにおいて、多様な人・機関の参加の場を設定し、問題を共有することによって、協働を促し、新たな活動・事業・施策・仕組み、ネットワーク、知識、文化を創造する役割を担う。その中で発見される新たな課題を見逃さずその解決に向かうために、常に参加・協働・創造のプロセスの循環の推進を意識して業務にあたる。


3 倫理基準
 3-1個人情報
  多文化社会コーディネーターは、個人情報保護法に沿って、業務上取得した個人情報を適正に管理し本人の同意の範囲でのみ活用する。

 3-2 プライバシーの尊重
  多文化社会コーディネーターは、個人のプライバシーを尊重する。

 3-3説明責任
  多文化社会コーディネーターは、関わるすべての人に対し、必要な情報を適切な方法・わかりやすい表現により提供する説明責任を果たす。

 3-4 権利の擁護
  多文化社会コーディネーターは、関わるすべての人と組織の権利を十分考慮し、それを擁護することに努める。

 3-5 倫理上のジレンマ
  多文化社会コーディネーターは、実務において倫理的ジレンマに直面した場合、自らの役割とその倫理の根幹に立ち返り、適切な判断をする。

 3-6 専門性の向上
  多文化社会コーディネーターは、多文化社会に関する研さんを怠らず、かつ、自らの実践を振り返り、その暗黙知を言語化することに努める。また他のコーディネーターなどとの協働による省察の場(実践コミュニティ)を通じて、常に自らの専門性の向上につとめる。

以上

日時: 2015年07月01日