特定課題セッション 内容の詳細

(13:40-14:20)
Ⅰ. コミュニティ通訳研究報告
・倫理綱領策定に向けて
・遠隔通訳と認定制度の方向性と課題

多言語・多文化教育研究センターでは、コミュニティ通訳を「言語的マイノリティを通訳・翻訳面で支援することによって、ホスト社会につなげる橋渡し役」と定義し、コミュニティ通訳を専門職として養成するプログラムを実施してきました。講座修了者に対しては、実践的力量形成を目的に2010年10月に弁護士会との連携により「コミュニティ通訳紹介制度」を立ち上げ、その実践のケーススタディを通して専門職としてのあり方を研究する「協働実践型研究会」を、また少数言語通訳者の全国活用を目指して2013年5月からは関東弁護士会連合会との協働による「遠隔通訳実践研究会」を実施しています。さらに、こうした実践活動を通して力量を形成してきた通訳者を専門職として認定すべく、日弁連法務研究財団の助成研究において、「外国人法律相談における通訳人の認定に関する研究」も行っています。
本セッションでは、そうした3つの研究における進捗状況として、コミュニティ通訳の中核をなす専門領域である「相談通訳」を行う際の倫理綱領策定に向けた議論、および現場の弁護士に対するアンケート結果から見えてきた遠隔通訳システム構築と「相談通訳」認定制度に関する課題と期待について報告します。

報告者
内藤 稔(本センター特任講師)
指宿昭一(弁護士/関東弁護士会連合会 外国人の人権救済委員会副委員長)
コーディネーター
杉澤経子(本センタープロジェクトコーディネーター)


(14:30-15:55)
Ⅱ. 多文化社会コーディネーター研究報告
認定制度実施に向けて~専門職の知と専門性評価の方法

本研究会では、2007年度より、「あらゆる組織において、多様な人々との対話、共感、実践を引き出しつつ、『参加』→『協働』→『創造』のプロセスをデザインしながら、言語・文化の違いを超えてすべての人が共に生きることのできる社会に向けてプログラム(活動)を構築・展開・推進する専門職」と定義された「多文化社会コーディネーター」の専門性および力量形成の方法について検討を行い、その成果を『シリーズ多言語・多文化協働実践研究』のNo.6,11,14,15,17の5冊にまとめました。同時に研究会と並行して実施した養成プログラム開発の成果は、同シリーズ別冊の1と3として刊行しています。
2013年度からは、「多文化社会における専門人材に関する研究--専門職の知と専門性評価に関する研究」が科研費に採択され、新メンバーを迎えて、多文化社会コーディネーターが社会的認知を得て活躍できるための認定制度の創設に向けて議論を進めています。
本セッションでは、他の大学・団体における専門的人材養成の取り組みについて事例研究を進めてきた成果を総括するとともに、事例研究と並行して行ってきた「多文化社会コーディネーターの専門性評価のあり方」に関する議論の一端を報告します。また、次年度の研究では、これまでの研究成果を踏まえて、認定を試行し検証することで認定制度の確立をめざします。フロアー参加者との質疑応答・意見交換を通して、さらに議論を深めたいと思います。

報告者
山西優二(早稲田大学文学学術院教授/本学特任研究員)
杉澤経子(本センタープロジェクトコーディネーター/研究会チーフ)
コーディネーター
菊池哲佳(仙台国際交流協会総務企画課企画係主任)


日時: 2014年12月02日