シリーズ 「多文化社会で働くということ① 難民支援最前線―日本の場合」を実施しました (研究―学内連携の推進)


 本センターでは、今年度より学内研究組織との連携による共同研究を推進しています。今年度は、日本の多言語・多文化状況に関わる問題に関心のある学生に対して
(一般市民の参加も可)、第一線の実践家の方をお招きして、その活動の話を聞かせていただく形式の研究会をシリーズで実施します。特に、多言語多文化の問題に関心がありながら、将来の進路の選択のモデルが見えない学生に、「多文化社会で働く」ということのモデルを示す機会としても活用できると考えています。


 その第1回を、去る7月25日、 社会福祉法人日本国際社会事業団(ISSJ) において難民担当ワーカーを務め、また特定非営利活動法人なんみんフォーラム 事務局において活躍される石川美絵子氏を講師として招き、本学総合文化研究所との共催で実施しました。


 ISSJは、在日難民認定申請者への相談援助事業に加え、国際養子縁組支援や国境を超えて離れ離れになった家族の再会援助(無国籍の子どもの国籍取得援助)、カンボジアのストリートチルドレンの自立援助など、実にさまざまな活動を実施しています。


 その中で、石川さんのご担当は、主に難民認定申請中で、許可が下りるかどうかの見通しの立たない申請者の、生活面、精神面のケアをすることですが、ケースを交え、そのお仕事について、大変具体的な内容をお話くださいました。長期間不安定な生活を送る申請者が抱える体の不具合を、その症状や今いる環境から、身体的なものなのか、精神的なものなのかを判断しながら、適切な医療機関や行政機関につないでいらっしゃる様子を聞き、大変なご苦労があるのだろうと、推察できました。専門的な知識と、申請者を支えたいという気持ちの双方があって、このような活動が行われているのだと、参加者一同が実感できたのではないかと思います。


 また、時間をオーバーしながらお話をいただいた後も、途切れない質問に、丁寧に対応していただきました。中には、石川さんの人生観などが垣間見える回答もあり、特に参加している学生にとっては、大きな指針になったことでしょう。


 今後も、志のある学生や、関心の高い市民の方々が、第一線の実践者の経験を共有できる機会を提供できるよう、研究会を継続していきます(今後の予定については、決まり次第本学HP(イベント情報一覧)および本センターHPでご案内いたします)。

なお、講演録は 研究誌『多言語多文化―実践と研究』 Vol.6 に収録されています(ダウンロードできます)。

<講演録>
シリーズ多文化社会で働くということ
 難民支援最前線―日本の場合―
 (PDF:2,019KB)



日時: 2014年07月25日