設立背景

現在、日本には総人口の2%に迫る数の外国人が暮らしています。また近年、彼・彼女らの定住化が進行しています。それに伴い、異なった言語や文化背景を持つ外国人と地域社会との間にはさまざまな摩擦や問題が生じるようになっています。その一つが外国人児童・生徒の教育問題です。

日本語がわからず授業についていけなかったり、文化や習慣の違いからいじめの対象となったりするために、孤立や不登校に追い込まれる外国人児童生徒が少なくありません。これらの児童生徒の中には、非行に走り犯罪に巻き込まれてしまうケースもあります。

こうした状況を改善するためには、教育現場での学習支援が必要になります。児童生徒の母語は、英語以外に中国語、朝鮮語、フィリピン語、ポルトガル語、スペイン語、ベトナム語などさまざまであり、学習支援を行う際には、これらの母語に対応することが求められます。

このような状況に対して、何か力になりたいと学生が自主的にボランティアグループを立ち上げ、川崎市内の小学校を訪問し学習支援を行なったり、保護者と学校側のコミュニケーションの仲立ちをするなどの活動をはじめました。しかし、活動を行っていく中で、いくつかの課題が発生してきました。例えば、グループメンバーでは対応できない多様な言語を要求された場合のコーディネートが必要であること、メンバーに対するボランティア研修の必要性があること、また、活動に対する経済的支援が必要であることなどです。

このような課題を解決するために、「多文化コミュニティ教育支援室」が2004年10月に本学内に開設されました。本支援室の活動は、「在日外国人児童生徒への学習支援活動」として、文部科学省による平成16年度「現代的教育ニーズプログラム」に採択されました。

平成19年度からは、本支援室は多言語・多文化教育研究センターの一部門として活動を続けていくことになりました。

多文化コミュニティ教育支援室は2012年の東京外国語大学の改組にあわせ、 より広いボランティア活動をサポートするためのボランティア活動スペースとなりました。
(本サイトはアーカイブとして公開を続けています)