学生インタビュー:実際に活動している学生の声

日々様々なことを感じ、考えながら活動している学生の声を、学生インタビュアーが紹介します。
(インタビュアー:佐々木(ドイツ語専攻))

〈国際理解教育〉
多文化コミュニティ教育支援室(以下、支援室)では、学生が国際理解教育のプログラムをつくり、学校現場に出向いて実践を行っています。

今回は、先月3月9日に川崎市立橘高校で国際理解教育の実践に参加した嶋田さん(日本語専攻)にお話を伺いました。支援室の活動について、自ら「かなり批判的」な人だという嶋田さん。実際に参加してみると、新しい見方をするようになったそうです。

―まず、どんな実践だったのか教えてください。
嶋田さん:高校で授業をしました。授業といっても、いわゆる「授業」ではなくて、「貿易ゲーム」という、南北問題を扱った体験型のゲームを高校生と一緒にやりました。実際の南北問題の実態がわかるゲームなんです。

―なぜ参加しようと思ったのですか?
嶋田さん:まず、私、外大に入ったのは間違いだったと思っていたんです。

―なぜ!?
嶋田さん:「途上国に対して~」とかいうのは自分のフィールドじゃないと思っていたんです。むしろ、自分の身のまわりの「地域」のほうに興味がありました。大きな範囲よりも、目の前の狭い範囲のほうが自分のなかでピンと来るんです。地域福祉とか。...外大って「大きい」視点の人多いじゃないですか。支援室も「外国」を全面に出している感じで、かなり違和感がありました。

―なるほど。わかる気がします。
嶋田さん:でも、何もやらないで何も知らないのに、否定することはできないと思ったんです。とりあえず、なんかやろうと思って。

―実際にやってみてどうでしたか?
嶋田さん:「貿易ゲーム」に対してっていうより、高校生とか、一緒に活動している外大のメンバーに対して、自分の中で何かが変わりました。激変です。イナズマが走りました(笑)。

―というと?
嶋田さん:高校生に、「搾取とか貧困ってよく聞く話じゃん」みたいな反応をされたんです。この現実に「慣れちゃってる」んですよね。ずっと同じ状況だし。変わらないし。...そんな反応をされたからこそ、自分も実は高校生と同じように感じていたりとか、実際に見に行ったことがないことに改めて気づかされたりしました。
でも、かといって、すごい専門家とかが授業をやっても、高校生にとってそういう人って遠い存在だと思うから、やっぱりうまくいかないと思うんですよね。だから、大学生が高校生と同じ目線で一緒に考えようとすることに意味があると思いました。

―なるほど。大学生がやることに意味があるんですね。一緒に活動した外大生についてはどうでしたか?
嶋田さん:やる前は、いろいろ感じていたことはあったんですけど、やっぱりちゃんと知り合いになって話を聞いてみると、イメージだけでひとくくりになんてできないと思いました。みんないろんな意見を持ってるし、すごくよく考えてる。

―そうですよね。同感です。最後に、これから支援室で活動するみなさんに一言!
嶋田さん:私は、支援室にとても入りづらかったです。でも、支援室ってそこにいる人が全員支援室の活動をしているとは限らないんですよね。活動してないけど、昼ご飯食べに来てるとか(笑)。
いろんな人がいる場所で、いろんな人がいることですごく柔軟なコミュニティになってると思います。だから、活動してる人もしていない人も来てみてください!!

―ありがとうございました!!


〈日本語・学習支援〉
多文化コミュニティ教育支援室では、外国につながりのある子どもたちへの日本語や教科学習のサポートに、多くの学生が携わっています。

今回は、去年の12月から府中国際交流サロン(以下、サロン)で学習支援活動をしている中本さん(ヒンディー語専攻)にお話を伺いました。サロンの様子は、イメージとはかなり違っていたようです。

―こんにちは。まず、始めたきっかけを教えてください。
中本さん:去年の夏に、フィリピンのストリートチルドレンの支援をするツアーに参加してから、「大学生としてなにかやりたい」と思うようになりました。同じ語科の友人が支援室の活動に関わっていることを知って、府中サロンでの活動を始めました。

―初めてサロンに行った時はどうでしたか?
中本さん:勉強だけしているイメージがあったのですが、実際は走り回って遊んだり、子どもが大学生にすごくなついていてアットホームな感じでした。

―どんな子を担当しているのですか?
中本さん:最近中国から来たばかりの小6の男の子を担当しています。その子は日本語が全くできない状態で、最初は、自分は中国語ができないしどうしようと思っていました。でも、もちろん言葉の壁を感じることはあるんですけど、最近は言葉が通じなくても伝えられることがあると思うようになりました。

―というと?
中本さん:サロンの友人から聞いた話なんですけど、「学校から帰ってきたときとサロンから帰ってきたときの子どもの顔が全然違う。嬉しそう」って保護者から言われたらしいんです。サロンが休みだとわかった時にすごく悲しそうな顔をしたこともあったとか。大学生が思っているよりサロンって子どもには大切な場で、子どもは楽しんでると思うんです。

―大学生が思っているよりも?
中本さん:学校とは違う雰囲気で、なかなか言えないことも言えるみたいなんです。大学生は年齢的にも近いから、姉弟みたいな。長く一緒にいると本当の姉弟みたいに思えてきますよ!最近は、普段日本語はあまり話さないのに、自分に日本語で呼びかけてくれたりするようになったんです。その子の成長を見られた時は一番嬉しいです!

―いいですね!今年はどんなふうに関わっていきたいですか?
中本さん:どんどん関わっていきたいです。将来は外国につながりのある子どもの支援をしたいと思っています。実は留学も考えていて、まずはちゃんと外国語を話せるようになりたいです(笑)。そして、語学だけではなく、異文化理解など、今後のサロンでの活動につながることも学びたいです。
留学から帰ってきてからもサロンは続けたいですね。その子がどのくらい話せるようになっているか楽しみです!

―たしかに。僕も話せるようになりたい(笑)。担当の子ともっともっと深くかかわれるといいですね!最後に、まだ活動を始めていない人に一言!
中本:両立できるかとか悩むと思いますが、自分のペースで続けられるし、一人で悩むことはないと思います。周りの学生と協力できます!あとは...言葉の壁を最初から自分でつくるのはやめたほうがいいです(笑)。
やってみないとわからないことがあると思いますね。私にとってはサロンは楽しいことしかないです!!一度見学に来てください!!

―ありがとうございました!!

多文化コミュニティ教育支援室は2012年の東京外国語大学の改組にあわせ、 より広いボランティア活動をサポートするためのボランティア活動スペースとなりました。
(本サイトはアーカイブとして公開を続けています)